1 マタイ
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1章
◆イエス・キリストの系図
マタイ 1:1 アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図。
マタイ 1:2 アブラハムはイサクをもうけ、イサクはヤコブを、ヤコブはユダとその兄弟たちを、
マタイ 1:3 ユダはタマルによってペレツとゼラを、ペレツはヘツロンを、ヘツロンはアラムを、
マタイ 1:4 アラムはアミナダブを、アミナダブはナフションを、ナフションはサルモンを、
マタイ 1:5 サルモンはラハブによってボアズを、ボアズはルツによってオベドを、オベドはエッサイを、
マタイ 1:6 エッサイはダビデ王をもうけた。ダビデはウリヤの妻によってソロモンをもうけ、
マタイ 1:7 ソロモンはレハブアムを、レハブアムはアビヤを、アビヤはアサを、
マタイ 1:8 アサはヨシャファトを、ヨシャファトはヨラムを、ヨラムはウジヤを、
マタイ 1:9 ウジヤはヨタムを、ヨタムはアハズを、アハズはヒゼキヤを、
マタイ 1:10 ヒゼキヤはマナセを、マナセはアモスを、アモスはヨシヤを、
マタイ 1:11 ヨシヤは、バビロンへ移住させられたころ、エコンヤとその兄弟たちをもうけた。
マタイ 1:12 バビロンへ移住させられた後、エコンヤはシャルティエルをもうけ、シャルティエルはゼルバベルを、
マタイ 1:13 ゼルバベルはアビウドを、アビウドはエリアキムを、エリアキムはアゾルを、
マタイ 1:14 アゾルはサドクを、サドクはアキムを、アキムはエリウドを、
マタイ 1:15 エリウドはエレアザルを、エレアザルはマタンを、マタンはヤコブを、
マタイ 1:16 ヤコブはマリアの夫ヨセフをもうけた。このマリアからメシアと呼ばれるイエスがお生まれになった。
マタイ 1:17 こうして、全部合わせると、アブラハムからダビデまで十四代、ダビデからバビロンへの移住まで十四代、バビロンへ移されてからキリストまでが十四代である。
◆イエス・キリストの誕生
マタイ 1:18 イエス・キリストの誕生の次第は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。
マタイ 1:19 夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。
マタイ 1:20 このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。
マタイ 1:21 マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」
マタイ 1:22 このすべてのことが起こったのは、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
マタイ 1:23 「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」この名は、「神は我々と共におられる」という意味である。
マタイ 1:24 ヨセフは眠りから覚めると、主の天使が命じたとおり、妻を迎え入れ、
マタイ 1:25 男の子が生まれるまでマリアと関係することはなかった。そして、その子をイエスと名付けた。
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2章
◆占星術の学者たちが訪れる
マタイ 2:1 イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、
マタイ 2:2 言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」
マタイ 2:3 これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。
マタイ 2:4 王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。
マタイ 2:5 彼らは言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。
マタイ 2:6 『ユダの地、ベツレヘムよ、/お前はユダの指導者たちの中で/決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、/わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」
マタイ 2:7 そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。
マタイ 2:8 そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。
マタイ 2:9 彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。
マタイ 2:10 学者たちはその星を見て喜びにあふれた。
マタイ 2:11 家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。
マタイ 2:12 ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。
◆エジプトに避難する
マタイ 2:13 占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」
マタイ 2:14 ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、
マタイ 2:15 ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
◆ヘロデ、子供を皆殺しにする
マタイ 2:16 さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。
マタイ 2:17 こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。
マタイ 2:18 「ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、/慰めてもらおうともしない、/子供たちがもういないから。」
◆エジプトから帰国する
マタイ 2:19 ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、
マタイ 2:20 言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」
マタイ 2:21 そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。
マタイ 2:22 しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れた。ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、
マタイ 2:23 ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。
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3章
◆洗礼者ヨハネ、教えを宣べる
マタイ 3:1 そのころ、洗礼者ヨハネが現れて、ユダヤの荒れ野で宣べ伝え、
マタイ 3:2 「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言った。
マタイ 3:3 これは預言者イザヤによってこう言われている人である。「荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、/その道筋をまっすぐにせよ。』」
マタイ 3:4 ヨハネは、らくだの毛衣を着、腰に革の帯を締め、いなごと野蜜を食べ物としていた。
マタイ 3:5 そこで、エルサレムとユダヤ全土から、また、ヨルダン川沿いの地方一帯から、人々がヨハネのもとに来て、
マタイ 3:6 罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。
マタイ 3:7 ヨハネは、ファリサイ派やサドカイ派の人々が大勢、洗礼を受けに来たのを見て、こう言った。「蝮の子らよ、差し迫った神の怒りを免れると、だれが教えたのか。
マタイ 3:8 悔い改めにふさわしい実を結べ。
マタイ 3:9 『我々の父はアブラハムだ』などと思ってもみるな。言っておくが、神はこんな石からでも、アブラハムの子たちを造り出すことがおできになる。
マタイ 3:10 斧は既に木の根元に置かれている。良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。
マタイ 3:11 わたしは、悔い改めに導くために、あなたたちに水で洗礼を授けているが、わたしの後から来る方は、わたしよりも優れておられる。わたしは、その履物をお脱がせする値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。
マタイ 3:12 そして、手に箕を持って、脱穀場を隅々まできれいにし、麦を集めて倉に入れ、殻を消えることのない火で焼き払われる。」
◆イエス、洗礼を受ける
マタイ 3:13 そのとき、イエスが、ガリラヤからヨルダン川のヨハネのところへ来られた。彼から洗礼を受けるためである。
マタイ 3:14 ところが、ヨハネは、それを思いとどまらせようとして言った。「わたしこそ、あなたから洗礼を受けるべきなのに、あなたが、わたしのところへ来られたのですか。」
マタイ 3:15 しかし、イエスはお答えになった。「今は、止めないでほしい。正しいことをすべて行うのは、我々にふさわしいことです。」そこで、ヨハネはイエスの言われるとおりにした。
マタイ 3:16 イエスは洗礼を受けると、すぐ水の中から上がられた。そのとき、天がイエスに向かって開いた。イエスは、神の霊が鳩のように御自分の上に降って来るのを御覧になった。
マタイ 3:17 そのとき、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」と言う声が、天から聞こえた。
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4章
◆誘惑を受ける
マタイ 4:1 さて、イエスは悪魔から誘惑を受けるため、“霊”に導かれて荒れ野に行かれた。
マタイ 4:2 そして四十日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた。
マタイ 4:3 すると、誘惑する者が来て、イエスに言った。「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」
マタイ 4:4 イエスはお答えになった。「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』/と書いてある。」
マタイ 4:5 次に、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて、
マタイ 4:6 言った。「神の子なら、飛び降りたらどうだ。『神があなたのために天使たちに命じると、/あなたの足が石に打ち当たることのないように、/天使たちは手であなたを支える』/と書いてある。」
マタイ 4:7 イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてある」と言われた。
マタイ 4:8 更に、悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、
マタイ 4:9 「もし、ひれ伏してわたしを拝むなら、これをみんな与えよう」と言った。
マタイ 4:10 すると、イエスは言われた。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、/ただ主に仕えよ』/と書いてある。」
マタイ 4:11 そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使たちが来てイエスに仕えた。
◆ガリラヤで伝道を始める
マタイ 4:12 イエスは、ヨハネが捕らえられたと聞き、ガリラヤに退かれた。
マタイ 4:13 そして、ナザレを離れ、ゼブルンとナフタリの地方にある湖畔の町カファルナウムに来て住まわれた。
マタイ 4:14 それは、預言者イザヤを通して言われていたことが実現するためであった。
マタイ 4:15 「ゼブルンの地とナフタリの地、/湖沿いの道、ヨルダン川のかなたの地、/異邦人のガリラヤ、
マタイ 4:16 暗闇に住む民は大きな光を見、/死の陰の地に住む者に光が射し込んだ。」
マタイ 4:17 そのときから、イエスは、「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言って、宣べ伝え始められた。
◆四人の漁師を弟子にする
マタイ 4:18 イエスは、ガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、二人の兄弟、ペトロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレが、湖で網を打っているのを御覧になった。彼らは漁師だった。
マタイ 4:19 イエスは、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われた。
マタイ 4:20 二人はすぐに網を捨てて従った。
マタイ 4:21 そこから進んで、別の二人の兄弟、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネが、父親のゼベダイと一緒に、舟の中で網の手入れをしているのを御覧になると、彼らをお呼びになった。
マタイ 4:22 この二人もすぐに、舟と父親とを残してイエスに従った。
◆おびただしい病人をいやす
マタイ 4:23 イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた。
マタイ 4:24 そこで、イエスの評判がシリア中に広まった。人々がイエスのところへ、いろいろな病気や苦しみに悩む者、悪霊に取りつかれた者、てんかんの者、中風の者など、あらゆる病人を連れて来たので、これらの人々をいやされた。
マタイ 4:25 こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ、ヨルダン川の向こう側から、大勢の群衆が来てイエスに従った。
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5章
◆山上の説教を始める
マタイ 5:1 イエスはこの群衆を見て、山に登られた。腰を下ろされると、弟子たちが近くに寄って来た。
マタイ 5:2 そこで、イエスは口を開き、教えられた。
◆幸い
マタイ 5:3 「心の貧しい人々は、幸いである、/天の国はその人たちのものである。
マタイ 5:4 悲しむ人々は、幸いである、/その人たちは慰められる。
マタイ 5:5 柔和な人々は、幸いである、/その人たちは地を受け継ぐ。
マタイ 5:6 義に飢え渇く人々は、幸いである、/その人たちは満たされる。
マタイ 5:7 憐れみ深い人々は、幸いである、/その人たちは憐れみを受ける。
マタイ 5:8 心の清い人々は、幸いである、/その人たちは神を見る。
マタイ 5:9 平和を実現する人々は、幸いである、/その人たちは神の子と呼ばれる。
マタイ 5:10 義のために迫害される人々は、幸いである、/天の国はその人たちのものである。
マタイ 5:11 わたしのためにののしられ、迫害され、身に覚えのないことであらゆる悪口を浴びせられるとき、あなたがたは幸いである。
マタイ 5:12 喜びなさい。大いに喜びなさい。天には大きな報いがある。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。」
◆地の塩、世の光
マタイ 5:13 「あなたがたは地の塩である。だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。
マタイ 5:14 あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない。
マタイ 5:15 また、ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべてを照らすのである。
マタイ 5:16 そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである。」
◆律法について ※1
マタイ 5:17 「わたしが来たのは律法や預言者を廃止するためだ、と思ってはならない。廃止するためではなく、完成するためである。
マタイ 5:18 はっきり言っておく。すべてのことが実現し、天地が消えうせるまで、律法の文字から一点一画も消え去ることはない。
マタイ 5:19 だから、これらの最も小さな掟を一つでも破り、そうするようにと人に教える者は、天の国で最も小さい者と呼ばれる。しかし、それを守り、そうするように教える者は、天の国で大いなる者と呼ばれる。
マタイ 5:20 言っておくが、あなたがたの義が律法学者やファリサイ派の人々の義にまさっていなければ、あなたがたは決して天の国に入ることができない。」
◆腹を立ててはならない
マタイ 5:21 「あなたがたも聞いているとおり、昔の人は『殺すな。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。
マタイ 5:22 しかし、わたしは言っておく。兄弟に腹を立てる者はだれでも裁きを受ける。兄弟に『ばか』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、火の地獄に投げ込まれる。
マタイ 5:23 だから、あなたが祭壇に供え物を献げようとし、兄弟が自分に反感を持っているのをそこで思い出したなら、
マタイ 5:24 その供え物を祭壇の前に置き、まず行って兄弟と仲直りをし、それから帰って来て、供え物を献げなさい。
マタイ 5:25 あなたを訴える人と一緒に道を行く場合、途中で早く和解しなさい。さもないと、その人はあなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役に引き渡し、あなたは牢に投げ込まれるにちがいない。
マタイ 5:26 はっきり言っておく。最後の一クァドランスを返すまで、決してそこから出ることはできない。」
◆姦淫してはならない
マタイ 5:27 「あなたがたも聞いているとおり、『姦淫するな』と命じられている。
マタイ 5:28 しかし、わたしは言っておく。みだらな思いで他人の妻を見る者はだれでも、既に心の中でその女を犯したのである。
マタイ 5:29 もし、右の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が地獄に投げ込まれない方がましである。
マタイ 5:30 もし、右の手があなたをつまずかせるなら、切り取って捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が地獄に落ちない方がましである。」
◆離縁してはならない
マタイ 5:31 「『妻を離縁する者は、離縁状を渡せ』と命じられている。
マタイ 5:32 しかし、わたしは言っておく。不法な結婚でもないのに妻を離縁する者はだれでも、その女に姦通の罪を犯させることになる。離縁された女を妻にする者も、姦通の罪を犯すことになる。」
◆誓ってはならない
マタイ 5:33 「また、あなたがたも聞いているとおり、昔の人は、『偽りの誓いを立てるな。主に対して誓ったことは、必ず果たせ』と命じられている。
マタイ 5:34 しかし、わたしは言っておく。一切誓いを立ててはならない。天にかけて誓ってはならない。そこは神の玉座である。
マタイ 5:35 地にかけて誓ってはならない。そこは神の足台である。エルサレムにかけて誓ってはならない。そこは大王の都である。
マタイ 5:36 また、あなたの頭にかけて誓ってはならない。髪の毛一本すら、あなたは白くも黒くもできないからである。
マタイ 5:37 あなたがたは、『然り、然り』『否、否』と言いなさい。それ以上のことは、悪い者から出るのである。」
◆復讐してはならない
マタイ 5:38 「あなたがたも聞いているとおり、『目には目を、歯には歯を』と命じられている。
マタイ 5:39 しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。
マタイ 5:40 あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせなさい。
マタイ 5:41 だれかが、一ミリオン行くように強いるなら、一緒に二ミリオン行きなさい。
マタイ 5:42 求める者には与えなさい。あなたから借りようとする者に、背を向けてはならない。」
◆敵を愛しなさい
マタイ 5:43 「あなたがたも聞いているとおり、『隣人を愛し、敵を憎め』と命じられている。
マタイ 5:44 しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。
マタイ 5:45 あなたがたの天の父の子となるためである。父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。
マタイ 5:46 自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな報いがあろうか。徴税人でも、同じことをしているではないか。
マタイ 5:47 自分の兄弟にだけ挨拶したところで、どんな優れたことをしたことになろうか。異邦人でさえ、同じことをしているではないか。
マタイ 5:48 だから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。」
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6章
◆施しをするときには
マタイ 6:1 「見てもらおうとして、人の前で善行をしないように注意しなさい。さもないと、あなたがたの天の父のもとで報いをいただけないことになる。
マタイ 6:2 だから、あなたは施しをするときには、偽善者たちが人からほめられようと会堂や街角でするように、自分の前でラッパを吹き鳴らしてはならない。はっきりあなたがたに言っておく。彼らは既に報いを受けている。
マタイ 6:3 施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。
マタイ 6:4 あなたの施しを人目につかせないためである。そうすれば、隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる。」
◆祈るときには
マタイ 6:5 「祈るときにも、あなたがたは偽善者のようであってはならない。偽善者たちは、人に見てもらおうと、会堂や大通りの角に立って祈りたがる。はっきり言っておく。彼らは既に報いを受けている。
マタイ 6:6 だから、あなたが祈るときは、奥まった自分の部屋に入って戸を閉め、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。
マタイ 6:7 また、あなたがたが祈るときは、異邦人のようにくどくどと述べてはならない。異邦人は、言葉数が多ければ、聞き入れられると思い込んでいる。
マタイ 6:8 彼らのまねをしてはならない。あなたがたの父は、願う前から、あなたがたに必要なものをご存じなのだ。
マタイ 6:9 だから、こう祈りなさい。『天におられるわたしたちの父よ、/御名が崇められますように。
マタイ 6:10 御国が来ますように。御心が行われますように、/天におけるように地の上にも。
マタイ 6:11 わたしたちに必要な糧を今日与えてください。
マタイ 6:12 わたしたちの負い目を赦してください、/わたしたちも自分に負い目のある人を/赦しましたように。
マタイ 6:13 わたしたちを誘惑に遭わせず、/悪い者から救ってください。』
マタイ 6:14 もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたの過ちをお赦しになる。
マタイ 6:15 しかし、もし人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの過ちをお赦しにならない。」
◆断食するときには
マタイ 6:16 「断食するときには、あなたがたは偽善者のように沈んだ顔つきをしてはならない。偽善者は、断食しているのを人に見てもらおうと、顔を見苦しくする。はっきり言っておく。彼らは既に報いを受けている。
マタイ 6:17 あなたは、断食するとき、頭に油をつけ、顔を洗いなさい。
マタイ 6:18 それは、あなたの断食が人に気づかれず、隠れたところにおられるあなたの父に見ていただくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。」
◆天に富を積みなさい
マタイ 6:19 「あなたがたは地上に富を積んではならない。そこでは、虫が食ったり、さび付いたりするし、また、盗人が忍び込んで盗み出したりする。
マタイ 6:20 富は、天に積みなさい。そこでは、虫が食うことも、さび付くこともなく、また、盗人が忍び込むことも盗み出すこともない。
マタイ 6:21 あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ。」
◆体のともし火は目
マタイ 6:22 「体のともし火は目である。目が澄んでいれば、あなたの全身が明るいが、
マタイ 6:23 濁っていれば、全身が暗い。だから、あなたの中にある光が消えれば、その暗さはどれほどであろう。」
◆神と富
マタイ 6:24 「だれも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。」
◆思い悩むな
マタイ 6:25 「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。
マタイ 6:26 空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。
マタイ 6:27 あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。
マタイ 6:28 なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。
マタイ 6:29 しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。
マタイ 6:30 今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。
マタイ 6:31 だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。
マタイ 6:32 それはみな、異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。
マタイ 6:33 何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。
マタイ 6:34 だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」
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7章
◆人を裁くな
マタイ 7:1 「人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。
マタイ 7:2 あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で量り与えられる。
マタイ 7:3 あなたは、兄弟の目にあるおが屑は見えるのに、なぜ自分の目の中の丸太に気づかないのか。
マタイ 7:4 兄弟に向かって、『あなたの目からおが屑を取らせてください』と、どうして言えようか。自分の目に丸太があるではないか。
マタイ 7:5 偽善者よ、まず自分の目から丸太を取り除け。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からおが屑を取り除くことができる。
マタイ 7:6 神聖なものを犬に与えてはならず、また、真珠を豚に投げてはならない。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたにかみついてくるだろう。」
◆求めなさい
マタイ 7:7 「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。
マタイ 7:8 だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。
マタイ 7:9 あなたがたのだれが、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。
マタイ 7:10 魚を欲しがるのに、蛇を与えるだろうか。
マタイ 7:11 このように、あなたがたは悪い者でありながらも、自分の子供には良い物を与えることを知っている。まして、あなたがたの天の父は、求める者に良い物をくださるにちがいない。
マタイ 7:12 だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。これこそ律法と預言者である。」
◆狭い門
マタイ 7:13 「狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。
マタイ 7:14 しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見いだす者は少ない。」
◆実によって木を知る
マタイ 7:15 「偽預言者を警戒しなさい。彼らは羊の皮を身にまとってあなたがたのところに来るが、その内側は貪欲な狼である。
マタイ 7:16 あなたがたは、その実で彼らを見分ける。茨からぶどうが、あざみからいちじくが採れるだろうか。
マタイ 7:17 すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。
マタイ 7:18 良い木が悪い実を結ぶことはなく、また、悪い木が良い実を結ぶこともできない。
マタイ 7:19 良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。
マタイ 7:20 このように、あなたがたはその実で彼らを見分ける。」
◆あなたたちのことは知らない
マタイ 7:21 「わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るわけではない。わたしの天の父の御心を行う者だけが入るのである。
マタイ 7:22 かの日には、大勢の者がわたしに、『主よ、主よ、わたしたちは御名によって預言し、御名によって悪霊を追い出し、御名によって奇跡をいろいろ行ったではありませんか』と言うであろう。
マタイ 7:23 そのとき、わたしはきっぱりとこう言おう。『あなたたちのことは全然知らない。不法を働く者ども、わたしから離れ去れ。』」
◆家と土台
マタイ 7:24 「そこで、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。
マタイ 7:25 雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家を襲っても、倒れなかった。岩を土台としていたからである。
マタイ 7:26 わたしのこれらの言葉を聞くだけで行わない者は皆、砂の上に家を建てた愚かな人に似ている。
マタイ 7:27 雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家に襲いかかると、倒れて、その倒れ方がひどかった。」
マタイ 7:28 イエスがこれらの言葉を語り終えられると、群衆はその教えに非常に驚いた。
マタイ 7:29 彼らの律法学者のようにではなく、権威ある者としてお教えになったからである。
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8章
◆重い皮膚病を患っている人をいやす
マタイ 8:1 イエスが山を下りられると、大勢の群衆が従った。
マタイ 8:2 すると、一人の重い皮膚病を患っている人がイエスに近寄り、ひれ伏して、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。
マタイ 8:3 イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち、重い皮膚病は清くなった。
マタイ 8:4 イエスはその人に言われた。「だれにも話さないように気をつけなさい。ただ、行って祭司に体を見せ、モーセが定めた供え物を献げて、人々に証明しなさい。」
◆百人隊長の僕をいやす
マタイ 8:5 さて、イエスがカファルナウムに入られると、一人の百人隊長が近づいて来て懇願し、
マタイ 8:6 「主よ、わたしの僕が中風で家に寝込んで、ひどく苦しんでいます」と言った。
マタイ 8:7 そこでイエスは、「わたしが行って、いやしてあげよう」と言われた。
マタイ 8:8 すると、百人隊長は答えた。「主よ、わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。ただ、ひと言おっしゃってください。そうすれば、わたしの僕はいやされます。
マタイ 8:9 わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下には兵隊がおり、一人に『行け』と言えば行きますし、他の一人に『来い』と言えば来ます。また、部下に『これをしろ』と言えば、そのとおりにします。」
マタイ 8:10 イエスはこれを聞いて感心し、従っていた人々に言われた。「はっきり言っておく。イスラエルの中でさえ、わたしはこれほどの信仰を見たことがない。
マタイ 8:11 言っておくが、いつか、東や西から大勢の人が来て、天の国でアブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席に着く。
マタイ 8:12 だが、御国の子らは、外の暗闇に追い出される。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。
マタイ 8:13 そして、百人隊長に言われた。「帰りなさい。あなたが信じたとおりになるように。」ちょうどそのとき、僕の病気はいやされた。
◆多くの病人をいやす
マタイ 8:14 イエスはペトロの家に行き、そのしゅうとめが熱を出して寝込んでいるのを御覧になった。
マタイ 8:15 イエスがその手に触れられると、熱は去り、しゅうとめは起き上がってイエスをもてなした。
マタイ 8:16 夕方になると、人々は悪霊に取りつかれた者を大勢連れて来た。イエスは言葉で悪霊を追い出し、病人を皆いやされた。
マタイ 8:17 それは、預言者イザヤを通して言われていたことが実現するためであった。「彼はわたしたちの患いを負い、/わたしたちの病を担った。」
◆弟子の覚悟
マタイ 8:18 イエスは、自分を取り囲んでいる群衆を見て、弟子たちに向こう岸に行くように命じられた。
マタイ 8:19 そのとき、ある律法学者が近づいて、「先生、あなたがおいでになる所なら、どこへでも従って参ります」と言った。
マタイ 8:20 イエスは言われた。「狐には穴があり、空の鳥には巣がある。だが、人の子には枕する所もない。」
マタイ 8:21 ほかに、弟子の一人がイエスに、「主よ、まず、父を葬りに行かせてください」と言った。
マタイ 8:22 イエスは言われた。「わたしに従いなさい。死んでいる者たちに、自分たちの死者を葬らせなさい。」
◆嵐を静める ※2
マタイ 8:23 イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。
マタイ 8:24 そのとき、湖に激しい嵐が起こり、舟は波にのまれそうになった。イエスは眠っておられた。
マタイ 8:25 弟子たちは近寄って起こし、「主よ、助けてください。おぼれそうです」と言った。
マタイ 8:26 イエスは言われた。「なぜ怖がるのか。信仰の薄い者たちよ。」そして、起き上がって風と湖とをお叱りになると、すっかり凪になった。
マタイ 8:27 人々は驚いて、「いったい、この方はどういう方なのだろう。風や湖さえも従うではないか」と言った。
◆悪霊に取りつかれたガダラの人をいやす
マタイ 8:28 イエスが向こう岸のガダラ人の地方に着かれると、悪霊に取りつかれた者が二人、墓場から出てイエスのところにやって来た。二人は非常に狂暴で、だれもその辺りの道を通れないほどであった。
マタイ 8:29 突然、彼らは叫んだ。「神の子、かまわないでくれ。まだ、その時ではないのにここに来て、我々を苦しめるのか。」
マタイ 8:30 はるかかなたで多くの豚の群れがえさをあさっていた。
マタイ 8:31 そこで、悪霊どもはイエスに、「我々を追い出すのなら、あの豚の中にやってくれ」と願った。
マタイ 8:32 イエスが、「行け」と言われると、悪霊どもは二人から出て、豚の中に入った。すると、豚の群れはみな崖を下って湖になだれ込み、水の中で死んだ。
マタイ 8:33 豚飼いたちは逃げ出し、町に行って、悪霊に取りつかれた者のことなど一切を知らせた。
マタイ 8:34 すると、町中の者がイエスに会おうとしてやって来た。そして、イエスを見ると、その地方から出て行ってもらいたいと言った。
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9章
◆中風の人をいやす
マタイ 9:1 イエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰って来られた。
マタイ 9:2 すると、人々が中風の人を床に寝かせたまま、イエスのところへ連れて来た。イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われた。
マタイ 9:3 ところが、律法学者の中に、「この男は神を冒涜している」と思う者がいた。
マタイ 9:4 イエスは、彼らの考えを見抜いて言われた。「なぜ、心の中で悪いことを考えているのか。
マタイ 9:5 『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。
マタイ 9:6 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」そして、中風の人に、「起き上がって床を担ぎ、家に帰りなさい」と言われた。
マタイ 9:7 その人は起き上がり、家に帰って行った。
マタイ 9:8 群衆はこれを見て恐ろしくなり、人間にこれほどの権威をゆだねられた神を賛美した。
◆マタイを弟子にする
マタイ 9:9 イエスはそこをたち、通りがかりに、マタイという人が収税所に座っているのを見かけて、「わたしに従いなさい」と言われた。彼は立ち上がってイエスに従った。
マタイ 9:10 イエスがその家で食事をしておられたときのことである。徴税人や罪人も大勢やって来て、イエスや弟子たちと同席していた。
マタイ 9:11 ファリサイ派の人々はこれを見て、弟子たちに、「なぜ、あなたたちの先生は徴税人や罪人と一緒に食事をするのか」と言った。
マタイ 9:12 イエスはこれを聞いて言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。
マタイ 9:13 『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
◆断食についての問答
マタイ 9:14 そのころ、ヨハネの弟子たちがイエスのところに来て、「わたしたちとファリサイ派の人々はよく断食しているのに、なぜ、あなたの弟子たちは断食しないのですか」と言った。
マタイ 9:15 イエスは言われた。「花婿が一緒にいる間、婚礼の客は悲しむことができるだろうか。しかし、花婿が奪い取られる時が来る。そのとき、彼らは断食することになる。
マタイ 9:16 だれも、織りたての布から布切れを取って、古い服に継ぎを当てたりはしない。新しい布切れが服を引き裂き、破れはいっそうひどくなるからだ。
マタイ 9:17 新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。そんなことをすれば、革袋は破れ、ぶどう酒は流れ出て、革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。そうすれば、両方とも長もちする。」
◆指導者の娘とイエスの服に触れる女
マタイ 9:18 イエスがこのようなことを話しておられると、ある指導者がそばに来て、ひれ伏して言った。「わたしの娘がたったいま死にました。でも、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、生き返るでしょう。」
マタイ 9:19 そこで、イエスは立ち上がり、彼について行かれた。弟子たちも一緒だった。
マタイ 9:20 すると、そこへ十二年間も患って出血が続いている女が近寄って来て、後ろからイエスの服の房に触れた。
マタイ 9:21 「この方の服に触れさえすれば治してもらえる」と思ったからである。
マタイ 9:22 イエスは振り向いて、彼女を見ながら言われた。「娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った。」そのとき、彼女は治った。
マタイ 9:23 イエスは指導者の家に行き、笛を吹く者たちや騒いでいる群衆を御覧になって、
マタイ 9:24 言われた。「あちらへ行きなさい。少女は死んだのではない。眠っているのだ。」人々はイエスをあざ笑った。
マタイ 9:25 群衆を外に出すと、イエスは家の中に入り、少女の手をお取りになった。すると、少女は起き上がった。
マタイ 9:26 このうわさはその地方一帯に広まった。
◆二人の盲人をいやす(1)
マタイ 9:27 イエスがそこからお出かけになると、二人の盲人が叫んで、「ダビデの子よ、わたしたちを憐れんでください」と言いながらついて来た。
マタイ 9:28 イエスが家に入ると、盲人たちがそばに寄って来たので、「わたしにできると信じるのか」と言われた。二人は、「はい、主よ」と言った。
マタイ 9:29 そこで、イエスが二人の目に触り、「あなたがたの信じているとおりになるように」と言われると、
マタイ 9:30 二人は目が見えるようになった。イエスは、「このことは、だれにも知らせてはいけない」と彼らに厳しくお命じになった。
マタイ 9:31 しかし、二人は外へ出ると、その地方一帯にイエスのことを言い広めた。
◆口の利けない人をいやす
マタイ 9:32 二人が出て行くと、悪霊に取りつかれて口の利けない人が、イエスのところに連れられて来た。
マタイ 9:33 悪霊が追い出されると、口の利けない人がものを言い始めたので、群衆は驚嘆し、「こんなことは、今までイスラエルで起こったためしがない」と言った。
マタイ 9:34 しかし、ファリサイ派の人々は、「あの男は悪霊の頭の力で悪霊を追い出している」と言った。
◆群衆に同情する
マタイ 9:35 イエスは町や村を残らず回って、会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、ありとあらゆる病気や患いをいやされた。
マタイ 9:36 また、群衆が飼い主のいない羊のように弱り果て、打ちひしがれているのを見て、深く憐れまれた。
マタイ 9:37 そこで、弟子たちに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。
マタイ 9:38 だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい。
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10章
◆十二人を選ぶ
マタイ 10:1 イエスは十二人の弟子を呼び寄せ、汚れた霊に対する権能をお授けになった。汚れた霊を追い出し、あらゆる病気や患いをいやすためであった。
マタイ 10:2 十二使徒の名は次のとおりである。まずペトロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレ、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、
マタイ 10:3 フィリポとバルトロマイ、トマスと徴税人のマタイ、アルファイの子ヤコブとタダイ、
マタイ 10:4 熱心党のシモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテのユダである。
◆十二人を派遣する
マタイ 10:5 イエスはこの十二人を派遣するにあたり、次のように命じられた。「異邦人の道に行ってはならない。また、サマリア人の町に入ってはならない。
マタイ 10:6 むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところへ行きなさい。
マタイ 10:7 行って、『天の国は近づいた』と宣べ伝えなさい。
マタイ 10:8 病人をいやし、死者を生き返らせ、重い皮膚病を患っている人を清くし、悪霊を追い払いなさい。ただで受けたのだから、ただで与えなさい。
マタイ 10:9 帯の中に金貨も銀貨も銅貨も入れて行ってはならない。
マタイ 10:10 旅には袋も二枚の下着も、履物も杖も持って行ってはならない。働く者が食べ物を受けるのは当然である。
マタイ 10:11 町や村に入ったら、そこで、ふさわしい人はだれかをよく調べ、旅立つときまで、その人のもとにとどまりなさい。
マタイ 10:12 その家に入ったら、『平和があるように』と挨拶しなさい。
マタイ 10:13 家の人々がそれを受けるにふさわしければ、あなたがたの願う平和は彼らに与えられる。もし、ふさわしくなければ、その平和はあなたがたに返ってくる。
マタイ 10:14 あなたがたを迎え入れもせず、あなたがたの言葉に耳を傾けようともしない者がいたら、その家や町を出て行くとき、足の埃を払い落としなさい。
マタイ 10:15 はっきり言っておく。裁きの日には、この町よりもソドムやゴモラの地の方が軽い罰で済む。」
◆迫害を予告する
マタイ 10:16 「わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに羊を送り込むようなものだ。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい。
マタイ 10:17 人々を警戒しなさい。あなたがたは地方法院に引き渡され、会堂で鞭打たれるからである。
マタイ 10:18 また、わたしのために総督や王の前に引き出されて、彼らや異邦人に証しをすることになる。
マタイ 10:19 引き渡されたときは、何をどう言おうかと心配してはならない。そのときには、言うべきことは教えられる。
マタイ 10:20 実は、話すのはあなたがたではなく、あなたがたの中で語ってくださる、父の霊である。
マタイ 10:21 兄弟は兄弟を、父は子を死に追いやり、子は親に反抗して殺すだろう。
マタイ 10:22 また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
マタイ 10:23 一つの町で迫害されたときは、他の町へ逃げて行きなさい。はっきり言っておく。あなたがたがイスラエルの町を回り終わらないうちに、人の子は来る。
マタイ 10:24 弟子は師にまさるものではなく、僕は主人にまさるものではない。
マタイ 10:25 弟子は師のように、僕は主人のようになれば、それで十分である。家の主人がベルゼブルと言われるのなら、その家族の者はもっとひどく言われることだろう。」
◆恐るべき者
マタイ 10:26 「人々を恐れてはならない。覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはないからである。
マタイ 10:27 わたしが暗闇であなたがたに言うことを、明るみで言いなさい。耳打ちされたことを、屋根の上で言い広めなさい。
マタイ 10:28 体は殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、魂も体も地獄で滅ぼすことのできる方を恐れなさい。
マタイ 10:29 二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない。
マタイ 10:30 あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。
マタイ 10:31 だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。」
◆イエスの仲間であると言い表す
マタイ 10:32 「だから、だれでも人々の前で自分をわたしの仲間であると言い表す者は、わたしも天の父の前で、その人をわたしの仲間であると言い表す。
マタイ 10:33 しかし、人々の前でわたしを知らないと言う者は、わたしも天の父の前で、その人を知らないと言う。」
◆平和ではなく剣を
マタイ 10:34 「わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。
マタイ 10:35 わたしは敵対させるために来たからである。人をその父に、/娘を母に、/嫁をしゅうとめに。
マタイ 10:36 こうして、自分の家族の者が敵となる。
マタイ 10:37 わたしよりも父や母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりも息子や娘を愛する者も、わたしにふさわしくない。
マタイ 10:38 また、自分の十字架を担ってわたしに従わない者は、わたしにふさわしくない。
マタイ 10:39 自分の命を得ようとする者は、それを失い、わたしのために命を失う者は、かえってそれを得るのである。」
◆受け入れる人の報い
マタイ 10:40 「あなたがたを受け入れる人は、わたしを受け入れ、わたしを受け入れる人は、わたしを遣わされた方を受け入れるのである。
マタイ 10:41 預言者を預言者として受け入れる人は、預言者と同じ報いを受け、正しい者を正しい者として受け入れる人は、正しい者と同じ報いを受ける。
マタイ 10:42 はっきり言っておく。わたしの弟子だという理由で、この小さな者の一人に、冷たい水一杯でも飲ませてくれる人は、必ずその報いを受ける。」
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11章
マタイ 11:1 イエスは十二人の弟子に指図を与え終わると、そこを去り、方々の町で教え、宣教された。
◆洗礼者ヨハネとイエス
マタイ 11:2 ヨハネは牢の中で、キリストのなさったことを聞いた。そこで、自分の弟子たちを送って、
マタイ 11:3 尋ねさせた。「来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか。」
マタイ 11:4 イエスはお答えになった。「行って、見聞きしていることをヨハネに伝えなさい。
マタイ 11:5 目の見えない人は見え、足の不自由な人は歩き、重い皮膚病を患っている人は清くなり、耳の聞こえない人は聞こえ、死者は生き返り、貧しい人は福音を告げ知らされている。
マタイ 11:6 わたしにつまずかない人は幸いである。」
マタイ 11:7 ヨハネの弟子たちが帰ると、イエスは群衆にヨハネについて話し始められた。「あなたがたは、何を見に荒れ野へ行ったのか。風にそよぐ葦か。
マタイ 11:8 では、何を見に行ったのか。しなやかな服を着た人か。しなやかな服を着た人なら王宮にいる。
マタイ 11:9 では、何を見に行ったのか。預言者か。そうだ。言っておく。預言者以上の者である。
マタイ 11:10 『見よ、わたしはあなたより先に使者を遣わし、/あなたの前に道を準備させよう』/と書いてあるのは、この人のことだ。
マタイ 11:11 はっきり言っておく。およそ女から生まれた者のうち、洗礼者ヨハネより偉大な者は現れなかった。しかし、天の国で最も小さな者でも、彼よりは偉大である。
マタイ 11:12 彼が活動し始めたときから今に至るまで、天の国は力ずくで襲われており、激しく襲う者がそれを奪い取ろうとしている。
マタイ 11:13 すべての預言者と律法が預言したのは、ヨハネの時までである。
マタイ 11:14 あなたがたが認めようとすれば分かることだが、実は、彼は現れるはずのエリヤである。
マタイ 11:15 耳のある者は聞きなさい。
マタイ 11:16 今の時代を何にたとえたらよいか。広場に座って、ほかの者にこう呼びかけている子供たちに似ている。
マタイ 11:17 『笛を吹いたのに、/踊ってくれなかった。葬式の歌をうたったのに、/悲しんでくれなかった。』
マタイ 11:18 ヨハネが来て、食べも飲みもしないでいると、『あれは悪霊に取りつかれている』と言い、
マタイ 11:19 人の子が来て、飲み食いすると、『見ろ、大食漢で大酒飲みだ。徴税人や罪人の仲間だ』と言う。しかし、知恵の正しさは、その働きによって証明される。」
◆悔い改めない町を叱る
マタイ 11:20 それからイエスは、数多くの奇跡の行われた町々が悔い改めなかったので、叱り始められた。
マタイ 11:21 「コラジン、お前は不幸だ。ベトサイダ、お前は不幸だ。お前たちのところで行われた奇跡が、ティルスやシドンで行われていれば、これらの町はとうの昔に粗布をまとい、灰をかぶって悔い改めたにちがいない。
マタイ 11:22 しかし、言っておく。裁きの日にはティルスやシドンの方が、お前たちよりまだ軽い罰で済む。
マタイ 11:23 また、カファルナウム、お前は、/天にまで上げられるとでも思っているのか。陰府にまで落とされるのだ。お前のところでなされた奇跡が、ソドムで行われていれば、あの町は今日まで無事だったにちがいない。
マタイ 11:24 しかし、言っておく。裁きの日にはソドムの地の方が、お前よりまだ軽い罰で済むのである。」
◆わたしのもとに来なさい
マタイ 11:25 そのとき、イエスはこう言われた。「天地の主である父よ、あなたをほめたたえます。これらのことを知恵ある者や賢い者には隠して、幼子のような者にお示しになりました。
マタイ 11:26 そうです、父よ、これは御心に適うことでした。
マタイ 11:27 すべてのことは、父からわたしに任せられています。父のほかに子を知る者はなく、子と、子が示そうと思う者のほかには、父を知る者はいません。
マタイ 11:28 疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。
マタイ 11:29 わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる。
マタイ 11:30 わたしの軛は負いやすく、わたしの荷は軽いからである。」
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12章
◆安息日に麦の穂を摘む
マタイ 12:1 そのころ、ある安息日にイエスは麦畑を通られた。弟子たちは空腹になったので、麦の穂を摘んで食べ始めた。
マタイ 12:2 ファリサイ派の人々がこれを見て、イエスに、「御覧なさい。あなたの弟子たちは、安息日にしてはならないことをしている」と言った。
マタイ 12:3 そこで、イエスは言われた。「ダビデが自分も供の者たちも空腹だったときに何をしたか、読んだことがないのか。
マタイ 12:4 神の家に入り、ただ祭司のほかには、自分も供の者たちも食べてはならない供えのパンを食べたではないか。
マタイ 12:5 安息日に神殿にいる祭司は、安息日の掟を破っても罪にならない、と律法にあるのを読んだことがないのか。
マタイ 12:6 言っておくが、神殿よりも偉大なものがここにある。
マタイ 12:7 もし、『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』という言葉の意味を知っていれば、あなたたちは罪もない人たちをとがめなかったであろう。
マタイ 12:8 人の子は安息日の主なのである。」
◆手の萎えた人をいやす
マタイ 12:9 イエスはそこを去って、会堂にお入りになった。
マタイ 12:10 すると、片手の萎えた人がいた。人々はイエスを訴えようと思って、「安息日に病気を治すのは、律法で許されていますか」と尋ねた。
マタイ 12:11 そこで、イエスは言われた。「あなたたちのうち、だれか羊を一匹持っていて、それが安息日に穴に落ちた場合、手で引き上げてやらない者がいるだろうか。
マタイ 12:12 人間は羊よりもはるかに大切なものだ。だから、安息日に善いことをするのは許されている。」
マタイ 12:13 そしてその人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。伸ばすと、もう一方の手のように元どおり良くなった。
マタイ 12:14 ファリサイ派の人々は出て行き、どのようにしてイエスを殺そうかと相談した。
◆神が選んだ僕
マタイ 12:15 イエスはそれを知って、そこを立ち去られた。大勢の群衆が従った。イエスは皆の病気をいやして、
マタイ 12:16 御自分のことを言いふらさないようにと戒められた。
マタイ 12:17 それは、預言者イザヤを通して言われていたことが実現するためであった。
マタイ 12:18 「見よ、わたしの選んだ僕。わたしの心に適った愛する者。この僕にわたしの霊を授ける。彼は異邦人に正義を知らせる。
マタイ 12:19 彼は争わず、叫ばず、/その声を聞く者は大通りにはいない。
マタイ 12:20 正義を勝利に導くまで、/彼は傷ついた葦を折らず、/くすぶる灯心を消さない。
マタイ 12:21 異邦人は彼の名に望みをかける。」
◆ベルゼブル論争
マタイ 12:22 そのとき、悪霊に取りつかれて目が見えず口の利けない人が、イエスのところに連れられて来て、イエスがいやされると、ものが言え、目が見えるようになった。
マタイ 12:23 群衆は皆驚いて、「この人はダビデの子ではないだろうか」と言った。
マタイ 12:24 しかし、ファリサイ派の人々はこれを聞き、「悪霊の頭ベルゼブルの力によらなければ、この者は悪霊を追い出せはしない」と言った。
マタイ 12:25 イエスは、彼らの考えを見抜いて言われた。「どんな国でも内輪で争えば、荒れ果ててしまい、どんな町でも家でも、内輪で争えば成り立って行かない。
マタイ 12:26 サタンがサタンを追い出せば、それは内輪もめだ。そんなふうでは、どうしてその国が成り立って行くだろうか。
マタイ 12:27 わたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出すのなら、あなたたちの仲間は何の力で追い出すのか。だから、彼ら自身があなたたちを裁く者となる。
マタイ 12:28 しかし、わたしが神の霊で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところに来ているのだ。
マタイ 12:29 また、まず強い人を縛り上げなければ、どうしてその家に押し入って、家財道具を奪い取ることができるだろうか。まず縛ってから、その家を略奪するものだ。
マタイ 12:30 わたしに味方しない者はわたしに敵対し、わたしと一緒に集めない者は散らしている。
マタイ 12:31 だから、言っておく。人が犯す罪や冒涜は、どんなものでも赦されるが、“霊”に対する冒涜は赦されない。
マタイ 12:32 人の子に言い逆らう者は赦される。しかし、聖霊に言い逆らう者は、この世でも後の世でも赦されることがない。」
◆木とその実
マタイ 12:33 「木が良ければその実も良いとし、木が悪ければその実も悪いとしなさい。木の良し悪しは、その結ぶ実で分かる。
マタイ 12:34 蝮の子らよ、あなたたちは悪い人間であるのに、どうして良いことが言えようか。人の口からは、心にあふれていることが出て来るのである。
マタイ 12:35 善い人は、良いものを入れた倉から良いものを取り出し、悪い人は、悪いものを入れた倉から悪いものを取り出してくる。
マタイ 12:36 言っておくが、人は自分の話したつまらない言葉についてもすべて、裁きの日には責任を問われる。
マタイ 12:37 あなたは、自分の言葉によって義とされ、また、自分の言葉によって罪ある者とされる。」
◆人々はしるしを欲しがる(1)
マタイ 12:38 すると、何人かの律法学者とファリサイ派の人々がイエスに、「先生、しるしを見せてください」と言った。
マタイ 12:39 イエスはお答えになった。「よこしまで神に背いた時代の者たちはしるしを欲しがるが、預言者ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられない。
マタイ 12:40 つまり、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、大地の中にいることになる。
マタイ 12:41 ニネベの人たちは裁きの時、今の時代の者たちと一緒に立ち上がり、彼らを罪に定めるであろう。ニネベの人々は、ヨナの説教を聞いて悔い改めたからである。ここに、ヨナにまさるものがある。
マタイ 12:42 また、南の国の女王は裁きの時、今の時代の者たちと一緒に立ち上がり、彼らを罪に定めるであろう。この女王はソロモンの知恵を聞くために、地の果てから来たからである。ここに、ソロモンにまさるものがある。」
◆汚れた霊が戻って来る
マタイ 12:43 「汚れた霊は、人から出て行くと、砂漠をうろつき、休む場所を探すが、見つからない。
マタイ 12:44 それで、『出て来たわが家に戻ろう』と言う。戻ってみると、空き家になっており、掃除をして、整えられていた。
マタイ 12:45 そこで、出かけて行き、自分よりも悪いほかの七つの霊を一緒に連れて来て、中に入り込んで、住み着く。そうなると、その人の後の状態は前よりも悪くなる。この悪い時代の者たちもそのようになろう。」
◆イエスの母、兄弟
マタイ 12:46 イエスがなお群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちが、話したいことがあって外に立っていた。
マタイ 12:47 そこで、ある人がイエスに、「御覧なさい。母上と御兄弟たちが、お話ししたいと外に立っておられます」と言った。
マタイ 12:48 しかし、イエスはその人にお答えになった。「わたしの母とはだれか。わたしの兄弟とはだれか。」
マタイ 12:49 そして、弟子たちの方を指して言われた。「見なさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。
マタイ 12:50 だれでも、わたしの天の父の御心を行う人が、わたしの兄弟、姉妹、また母である。」
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13章
◆「種を蒔く人」のたとえ
マタイ 13:1 その日、イエスは家を出て、湖のほとりに座っておられた。
マタイ 13:2 すると、大勢の群衆がそばに集まって来たので、イエスは舟に乗って腰を下ろされた。群衆は皆岸辺に立っていた。
マタイ 13:3 イエスはたとえを用いて彼らに多くのことを語られた。「種を蒔く人が種蒔きに出て行った。
マタイ 13:4 蒔いている間に、ある種は道端に落ち、鳥が来て食べてしまった。
マタイ 13:5 ほかの種は、石だらけで土の少ない所に落ち、そこは土が浅いのですぐ芽を出した。
マタイ 13:6 しかし、日が昇ると焼けて、根がないために枯れてしまった。
マタイ 13:7 ほかの種は茨の間に落ち、茨が伸びてそれをふさいでしまった。
マタイ 13:8 ところが、ほかの種は、良い土地に落ち、実を結んで、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。
マタイ 13:9 耳のある者は聞きなさい。」
◆たとえを用いて話す理由
マタイ 13:10 弟子たちはイエスに近寄って、「なぜ、あの人たちにはたとえを用いてお話しになるのですか」と言った。
マタイ 13:11 イエスはお答えになった。「あなたがたには天の国の秘密を悟ることが許されているが、あの人たちには許されていないからである。
マタイ 13:12 持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。
マタイ 13:13 だから、彼らにはたとえを用いて話すのだ。見ても見ず、聞いても聞かず、理解できないからである。
マタイ 13:14 イザヤの預言は、彼らによって実現した。『あなたたちは聞くには聞くが、決して理解せず、/見るには見るが、決して認めない。
マタイ 13:15 この民の心は鈍り、/耳は遠くなり、/目は閉じてしまった。こうして、彼らは目で見ることなく、/耳で聞くことなく、/心で理解せず、悔い改めない。わたしは彼らをいやさない。』
マタイ 13:16 しかし、あなたがたの目は見ているから幸いだ。あなたがたの耳は聞いているから幸いだ。
マタイ 13:17 はっきり言っておく。多くの預言者や正しい人たちは、あなたがたが見ているものを見たかったが、見ることができず、あなたがたが聞いているものを聞きたかったが、聞けなかったのである。」
◆「種を蒔く人」のたとえの説明
マタイ 13:18 「だから、種を蒔く人のたとえを聞きなさい。
マタイ 13:19 だれでも御国の言葉を聞いて悟らなければ、悪い者が来て、心の中に蒔かれたものを奪い取る。道端に蒔かれたものとは、こういう人である。
マタイ 13:20 石だらけの所に蒔かれたものとは、御言葉を聞いて、すぐ喜んで受け入れるが、
マタイ 13:21 自分には根がないので、しばらくは続いても、御言葉のために艱難や迫害が起こると、すぐにつまずいてしまう人である。
マタイ 13:22 茨の中に蒔かれたものとは、御言葉を聞くが、世の思い煩いや富の誘惑が御言葉を覆いふさいで、実らない人である。
マタイ 13:23 良い土地に蒔かれたものとは、御言葉を聞いて悟る人であり、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍の実を結ぶのである。」
◆「毒麦」のたとえ
マタイ 13:24 イエスは、別のたとえを持ち出して言われた。「天の国は次のようにたとえられる。ある人が良い種を畑に蒔いた。
マタイ 13:25 人々が眠っている間に、敵が来て、麦の中に毒麦を蒔いて行った。
マタイ 13:26 芽が出て、実ってみると、毒麦も現れた。
マタイ 13:27 僕たちが主人のところに来て言った。『だんなさま、畑には良い種をお蒔きになったではありませんか。どこから毒麦が入ったのでしょう。』
マタイ 13:28 主人は、『敵の仕業だ』と言った。そこで、僕たちが、『では、行って抜き集めておきましょうか』と言うと、
マタイ 13:29 主人は言った。『いや、毒麦を集めるとき、麦まで一緒に抜くかもしれない。
マタイ 13:30 刈り入れまで、両方とも育つままにしておきなさい。刈り入れの時、「まず毒麦を集め、焼くために束にし、麦の方は集めて倉に入れなさい」と、刈り取る者に言いつけよう。』」
◆「からし種」と「パン種」のたとえ
マタイ 13:31 イエスは、別のたとえを持ち出して、彼らに言われた。「天の国はからし種に似ている。人がこれを取って畑に蒔けば、
マタイ 13:32 どんな種よりも小さいのに、成長するとどの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て枝に巣を作るほどの木になる。」
マタイ 13:33 また、別のたとえをお話しになった。「天の国はパン種に似ている。女がこれを取って三サトンの粉に混ぜると、やがて全体が膨れる。」
◆たとえを用いて語る
マタイ 13:34 イエスはこれらのことをみな、たとえを用いて群衆に語られ、たとえを用いないでは何も語られなかった。
マタイ 13:35 それは、預言者を通して言われていたことが実現するためであった。「わたしは口を開いてたとえを用い、/天地創造の時から隠されていたことを告げる。」
◆「毒麦」のたとえの説明
マタイ 13:36 それから、イエスは群衆を後に残して家にお入りになった。すると、弟子たちがそばに寄って来て、「畑の毒麦のたとえを説明してください」と言った。
マタイ 13:37 イエスはお答えになった。「良い種を蒔く者は人の子、
マタイ 13:38 畑は世界、良い種は御国の子ら、毒麦は悪い者の子らである。
マタイ 13:39 毒麦を蒔いた敵は悪魔、刈り入れは世の終わりのことで、刈り入れる者は天使たちである。
マタイ 13:40 だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、世の終わりにもそうなるのだ。
マタイ 13:41 人の子は天使たちを遣わし、つまずきとなるものすべてと不法を行う者どもを自分の国から集めさせ、
マタイ 13:42 燃え盛る炉の中に投げ込ませるのである。彼らは、そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。
マタイ 13:43 そのとき、正しい人々はその父の国で太陽のように輝く。耳のある者は聞きなさい。」
◆「天の国」のたとえ
マタイ 13:44 「天の国は次のようにたとえられる。畑に宝が隠されている。見つけた人は、そのまま隠しておき、喜びながら帰り、持ち物をすっかり売り払って、その畑を買う。
マタイ 13:45 また、天の国は次のようにたとえられる。商人が良い真珠を探している。
マタイ 13:46 高価な真珠を一つ見つけると、出かけて行って持ち物をすっかり売り払い、それを買う。
マタイ 13:47 また、天の国は次のようにたとえられる。網が湖に投げ降ろされ、いろいろな魚を集める。
マタイ 13:48 網がいっぱいになると、人々は岸に引き上げ、座って、良いものは器に入れ、悪いものは投げ捨てる。
マタイ 13:49 世の終わりにもそうなる。天使たちが来て、正しい人々の中にいる悪い者どもをより分け、
マタイ 13:50 燃え盛る炉の中に投げ込むのである。悪い者どもは、そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。」
◆天の国のことを学んだ学者
マタイ 13:51 「あなたがたは、これらのことがみな分かったか。」弟子たちは、「分かりました」と言った。
マタイ 13:52 そこで、イエスは言われた。「だから、天の国のことを学んだ学者は皆、自分の倉から新しいものと古いものを取り出す一家の主人に似ている。」
◆ナザレで受け入れられない
マタイ 13:53 イエスはこれらのたとえを語り終えると、そこを去り、
マタイ 13:54 故郷にお帰りになった。会堂で教えておられると、人々は驚いて言った。「この人は、このような知恵と奇跡を行う力をどこから得たのだろう。
マタイ 13:55 この人は大工の息子ではないか。母親はマリアといい、兄弟はヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。
マタイ 13:56 姉妹たちは皆、我々と一緒に住んでいるではないか。この人はこんなことをすべて、いったいどこから得たのだろう。」
マタイ 13:57 このように、人々はイエスにつまずいた。イエスは、「預言者が敬われないのは、その故郷、家族の間だけである」と言い、
マタイ 13:58 人々が不信仰だったので、そこではあまり奇跡をなさらなかった。
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14章
◆洗礼者ヨハネ、殺される
マタイ 14:1 そのころ、領主ヘロデはイエスの評判を聞き、
マタイ 14:2 家来たちにこう言った。「あれは洗礼者ヨハネだ。死者の中から生き返ったのだ。だから、奇跡を行う力が彼に働いている。」
マタイ 14:3 実はヘロデは、自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアのことでヨハネを捕らえて縛り、牢に入れていた。
マタイ 14:4 ヨハネが、「あの女と結婚することは律法で許されていない」とヘロデに言ったからである。
マタイ 14:5 ヘロデはヨハネを殺そうと思っていたが、民衆を恐れた。人々がヨハネを預言者と思っていたからである。
マタイ 14:6 ところが、ヘロデの誕生日にヘロディアの娘が、皆の前で踊りをおどり、ヘロデを喜ばせた。
マタイ 14:7 それで彼は娘に、「願うものは何でもやろう」と誓って約束した。
マタイ 14:8 すると、娘は母親に唆されて、「洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、この場でください」と言った。
マタイ 14:9 王は心を痛めたが、誓ったことではあるし、また客の手前、それを与えるように命じ、
マタイ 14:10 人を遣わして、牢の中でヨハネの首をはねさせた。
マタイ 14:11 その首は盆に載せて運ばれ、少女に渡り、少女はそれを母親に持って行った。
マタイ 14:12 それから、ヨハネの弟子たちが来て、遺体を引き取って葬り、イエスのところに行って報告した。
◆五千人に食べ物を与える
マタイ 14:13 イエスはこれを聞くと、舟に乗ってそこを去り、ひとり人里離れた所に退かれた。しかし、群衆はそのことを聞き、方々の町から歩いて後を追った。
マタイ 14:14 イエスは舟から上がり、大勢の群衆を見て深く憐れみ、その中の病人をいやされた。
マタイ 14:15 夕暮れになったので、弟子たちがイエスのそばに来て言った。「ここは人里離れた所で、もう時間もたちました。群衆を解散させてください。そうすれば、自分で村へ食べ物を買いに行くでしょう。」
マタイ 14:16 イエスは言われた。「行かせることはない。あなたがたが彼らに食べる物を与えなさい。」
マタイ 14:17 弟子たちは言った。「ここにはパン五つと魚二匹しかありません。」
マタイ 14:18 イエスは、「それをここに持って来なさい」と言い、
マタイ 14:19 群衆には草の上に座るようにお命じになった。そして、五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで賛美の祈りを唱え、パンを裂いて弟子たちにお渡しになった。弟子たちはそのパンを群衆に与えた。
マタイ 14:20 すべての人が食べて満腹した。そして、残ったパンの屑を集めると、十二の籠いっぱいになった。
マタイ 14:21 食べた人は、女と子供を別にして、男が五千人ほどであった。
◆湖の上を歩く
マタイ 14:22 それからすぐ、イエスは弟子たちを強いて舟に乗せ、向こう岸へ先に行かせ、その間に群衆を解散させられた。
マタイ 14:23 群衆を解散させてから、祈るためにひとり山にお登りになった。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。
マタイ 14:24 ところが、舟は既に陸から何スタディオンか離れており、逆風のために波に悩まされていた。
マタイ 14:25 夜が明けるころ、イエスは湖の上を歩いて弟子たちのところに行かれた。
マタイ 14:26 弟子たちは、イエスが湖上を歩いておられるのを見て、「幽霊だ」と言っておびえ、恐怖のあまり叫び声をあげた。
マタイ 14:27 イエスはすぐ彼らに話しかけられた。「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」
マタイ 14:28 すると、ペトロが答えた。「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください。」
マタイ 14:29 イエスが「来なさい」と言われたので、ペトロは舟から降りて水の上を歩き、イエスの方へ進んだ。
マタイ 14:30 しかし、強い風に気がついて怖くなり、沈みかけたので、「主よ、助けてください」と叫んだ。
マタイ 14:31 イエスはすぐに手を伸ばして捕まえ、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」と言われた。
マタイ 14:32 そして、二人が舟に乗り込むと、風は静まった。
マタイ 14:33 舟の中にいた人たちは、「本当に、あなたは神の子です」と言ってイエスを拝んだ。
◆ゲネサレトで病人をいやす
マタイ 14:34 こうして、一行は湖を渡り、ゲネサレトという土地に着いた。
マタイ 14:35 土地の人々は、イエスだと知って、付近にくまなく触れ回った。それで、人々は病人を皆イエスのところに連れて来て、
マタイ 14:36 その服のすそにでも触れさせてほしいと願った。触れた者は皆いやされた。
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15章
◆昔の人の言い伝え
マタイ 15:1 そのころ、ファリサイ派の人々と律法学者たちが、エルサレムからイエスのもとへ来て言った。
マタイ 15:2 「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人の言い伝えを破るのですか。彼らは食事の前に手を洗いません。」
マタイ 15:3 そこで、イエスはお答えになった。「なぜ、あなたたちも自分の言い伝えのために、神の掟を破っているのか。
マタイ 15:4 神は、『父と母を敬え』と言い、『父または母をののしる者は死刑に処せられるべきである』とも言っておられる。
マタイ 15:5 それなのに、あなたたちは言っている。『父または母に向かって、「あなたに差し上げるべきものは、神への供え物にする」と言う者は、
マタイ 15:6 父を敬わなくてもよい』と。こうして、あなたたちは、自分の言い伝えのために神の言葉を無にしている。
マタイ 15:7 偽善者たちよ、イザヤは、あなたたちのことを見事に預言したものだ。
マタイ 15:8 『この民は口先ではわたしを敬うが、/その心はわたしから遠く離れている。
マタイ 15:9 人間の戒めを教えとして教え、/むなしくわたしをあがめている。』」
マタイ 15:10 それから、イエスは群衆を呼び寄せて言われた。「聞いて悟りなさい。
マタイ 15:11 口に入るものは人を汚さず、口から出て来るものが人を汚すのである。」
マタイ 15:12 そのとき、弟子たちが近寄って来て、「ファリサイ派の人々がお言葉を聞いて、つまずいたのをご存じですか」と言った。
マタイ 15:13 イエスはお答えになった。「わたしの天の父がお植えにならなかった木は、すべて抜き取られてしまう。
マタイ 15:14 そのままにしておきなさい。彼らは盲人の道案内をする盲人だ。盲人が盲人の道案内をすれば、二人とも穴に落ちてしまう。」
マタイ 15:15 するとペトロが、「そのたとえを説明してください」と言った。
マタイ 15:16 イエスは言われた。「あなたがたも、まだ悟らないのか。
マタイ 15:17 すべて口に入るものは、腹を通って外に出されることが分からないのか。
マタイ 15:18 しかし、口から出て来るものは、心から出て来るので、これこそ人を汚す。
マタイ 15:19 悪意、殺意、姦淫、みだらな行い、盗み、偽証、悪口などは、心から出て来るからである。
マタイ 15:20 これが人を汚す。しかし、手を洗わずに食事をしても、そのことは人を汚すものではない。」
◆カナンの女の信仰
マタイ 15:21 イエスはそこをたち、ティルスとシドンの地方に行かれた。
マタイ 15:22 すると、この地に生まれたカナンの女が出て来て、「主よ、ダビデの子よ、わたしを憐れんでください。娘が悪霊にひどく苦しめられています」と叫んだ。
マタイ 15:23 しかし、イエスは何もお答えにならなかった。そこで、弟子たちが近寄って来て願った。「この女を追い払ってください。叫びながらついて来ますので。」
マタイ 15:24 イエスは、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊のところにしか遣わされていない」とお答えになった。
マタイ 15:25 しかし、女は来て、イエスの前にひれ伏し、「主よ、どうかお助けください」と言った。
マタイ 15:26 イエスが、「子供たちのパンを取って小犬にやってはいけない」とお答えになると、
マタイ 15:27 女は言った。「主よ、ごもっともです。しかし、小犬も主人の食卓から落ちるパン屑はいただくのです。」
マタイ 15:28 そこで、イエスはお答えになった。「婦人よ、あなたの信仰は立派だ。あなたの願いどおりになるように。」そのとき、娘の病気はいやされた。
◆大勢の病人をいやす
マタイ 15:29 イエスはそこを去って、ガリラヤ湖のほとりに行かれた。そして、山に登って座っておられた。
マタイ 15:30 大勢の群衆が、足の不自由な人、目の見えない人、体の不自由な人、口の利けない人、その他多くの病人を連れて来て、イエスの足もとに横たえたので、イエスはこれらの人々をいやされた。
マタイ 15:31 群衆は、口の利けない人が話すようになり、体の不自由な人が治り、足の不自由な人が歩き、目の見えない人が見えるようになったのを見て驚き、イスラエルの神を賛美した。
◆四千人に食べ物を与える
マタイ 15:32 イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。「群衆がかわいそうだ。もう三日もわたしと一緒にいるのに、食べ物がない。空腹のままで解散させたくはない。途中で疲れきってしまうかもしれない。」
マタイ 15:33 弟子たちは言った。「この人里離れた所で、これほど大勢の人に十分食べさせるほどのパンが、どこから手に入るでしょうか。」
マタイ 15:34 イエスが「パンは幾つあるか」と言われると、弟子たちは、「七つあります。それに、小さい魚が少しばかり」と答えた。
マタイ 15:35 そこで、イエスは地面に座るように群衆に命じ、
マタイ 15:36 七つのパンと魚を取り、感謝の祈りを唱えてこれを裂き、弟子たちにお渡しになった。弟子たちは群衆に配った。
マタイ 15:37 人々は皆、食べて満腹した。残ったパンの屑を集めると、七つの籠いっぱいになった。
マタイ 15:38 食べた人は、女と子供を別にして、男が四千人であった。
マタイ 15:39 イエスは群衆を解散させ、舟に乗ってマガダン地方に行かれた。
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16章
◆人々はしるしを欲しがる(2)
マタイ 16:1 ファリサイ派とサドカイ派の人々が来て、イエスを試そうとして、天からのしるしを見せてほしいと願った。
マタイ 16:2 イエスはお答えになった。「あなたたちは、夕方には『夕焼けだから、晴れだ』と言い、
マタイ 16:3 朝には『朝焼けで雲が低いから、今日は嵐だ』と言う。このように空模様を見分けることは知っているのに、時代のしるしは見ることができないのか。
マタイ 16:4 よこしまで神に背いた時代の者たちはしるしを欲しがるが、ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられない。」そして、イエスは彼らを後に残して立ち去られた。
◆ファリサイ派とサドカイ派の人々のパン種
マタイ 16:5 弟子たちは向こう岸に行ったが、パンを持って来るのを忘れていた。
マタイ 16:6 イエスは彼らに、「ファリサイ派とサドカイ派の人々のパン種によく注意しなさい」と言われた。
マタイ 16:7 弟子たちは、「これは、パンを持って来なかったからだ」と論じ合っていた。
マタイ 16:8 イエスはそれに気づいて言われた。「信仰の薄い者たちよ、なぜ、パンを持っていないことで論じ合っているのか。
マタイ 16:9 まだ、分からないのか。覚えていないのか。パン五つを五千人に分けたとき、残りを幾籠に集めたか。
マタイ 16:10 また、パン七つを四千人に分けたときは、残りを幾籠に集めたか。
マタイ 16:11 パンについて言ったのではないことが、どうして分からないのか。ファリサイ派とサドカイ派の人々のパン種に注意しなさい。」
マタイ 16:12 そのときようやく、弟子たちは、イエスが注意を促されたのは、パン種のことではなく、ファリサイ派とサドカイ派の人々の教えのことだと悟った。
◆ペトロ、信仰を言い表す
マタイ 16:13 イエスは、フィリポ・カイサリア地方に行ったとき、弟子たちに、「人々は、人の子のことを何者だと言っているか」とお尋ねになった。
マタイ 16:14 弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』と言う人も、『エリヤだ』と言う人もいます。ほかに、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』と言う人もいます。」
マタイ 16:15 イエスが言われた。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」
マタイ 16:16 シモン・ペトロが、「あなたはメシア、生ける神の子です」と答えた。
マタイ 16:17 すると、イエスはお答えになった。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ。
マタイ 16:18 わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。
マタイ 16:19 わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」
マタイ 16:20 それから、イエスは、御自分がメシアであることをだれにも話さないように、と弟子たちに命じられた。
◆イエス、死と復活を予告する
マタイ 16:21 このときから、イエスは、御自分が必ずエルサレムに行って、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受けて殺され、三日目に復活することになっている、と弟子たちに打ち明け始められた。
マタイ 16:22 すると、ペトロはイエスをわきへお連れして、いさめ始めた。「主よ、とんでもないことです。そんなことがあってはなりません。」
マタイ 16:23 イエスは振り向いてペトロに言われた。「サタン、引き下がれ。あなたはわたしの邪魔をする者。神のことを思わず、人間のことを思っている。」
マタイ 16:24 それから、弟子たちに言われた。「わたしについて来たい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。
マタイ 16:25 自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのために命を失う者は、それを得る。
マタイ 16:26 人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか。
マタイ 16:27 人の子は、父の栄光に輝いて天使たちと共に来るが、そのとき、それぞれの行いに応じて報いるのである。
マタイ 16:28 はっきり言っておく。ここに一緒にいる人々の中には、人の子がその国と共に来るのを見るまでは、決して死なない者がいる。」
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17章
◆イエスの姿が変わる
マタイ 17:1 六日の後、イエスは、ペトロ、それにヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。
マタイ 17:2 イエスの姿が彼らの目の前で変わり、顔は太陽のように輝き、服は光のように白くなった。
マタイ 17:3 見ると、モーセとエリヤが現れ、イエスと語り合っていた。
マタイ 17:4 ペトロが口をはさんでイエスに言った。「主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。お望みでしたら、わたしがここに仮小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのため、一つはモーセのため、もう一つはエリヤのためです。」
マタイ 17:5 ペトロがこう話しているうちに、光り輝く雲が彼らを覆った。すると、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」という声が雲の中から聞こえた。
マタイ 17:6 弟子たちはこれを聞いてひれ伏し、非常に恐れた。
マタイ 17:7 イエスは近づき、彼らに手を触れて言われた。「起きなさい。恐れることはない。」
マタイ 17:8 彼らが顔を上げて見ると、イエスのほかにはだれもいなかった。
マタイ 17:9 一同が山を下りるとき、イエスは、「人の子が死者の中から復活するまで、今見たことをだれにも話してはならない」と弟子たちに命じられた。
マタイ 17:10 彼らはイエスに、「なぜ、律法学者は、まずエリヤが来るはずだと言っているのでしょうか」と尋ねた。
マタイ 17:11 イエスはお答えになった。「確かにエリヤが来て、すべてを元どおりにする。
マタイ 17:12 言っておくが、エリヤは既に来たのだ。人々は彼を認めず、好きなようにあしらったのである。人の子も、そのように人々から苦しめられることになる。」
マタイ 17:13 そのとき、弟子たちは、イエスが洗礼者ヨハネのことを言われたのだと悟った。
◆悪霊に取りつかれた子をいやす
マタイ 17:14 一同が群衆のところへ行くと、ある人がイエスに近寄り、ひざまずいて、
マタイ 17:15 言った。「主よ、息子を憐れんでください。てんかんでひどく苦しんでいます。度々火の中や水の中に倒れるのです。
マタイ 17:16 お弟子たちのところに連れて来ましたが、治すことができませんでした。」
マタイ 17:17 イエスはお答えになった。「なんと信仰のない、よこしまな時代なのか。いつまでわたしはあなたがたと共にいられようか。いつまで、あなたがたに我慢しなければならないのか。その子をここに、わたしのところに連れて来なさい。」
マタイ 17:18 そして、イエスがお叱りになると、悪霊は出て行き、そのとき子供はいやされた。
マタイ 17:19 弟子たちはひそかにイエスのところに来て、「なぜ、わたしたちは悪霊を追い出せなかったのでしょうか」と言った。
マタイ 17:20 イエスは言われた。「信仰が薄いからだ。はっきり言っておく。もし、からし種一粒ほどの信仰があれば、この山に向かって、『ここから、あそこに移れ』と命じても、そのとおりになる。あなたがたにできないことは何もない。」
†
◆再び自分の死と復活を予告する
マタイ 17:22 一行がガリラヤに集まったとき、イエスは言われた。「人の子は人々の手に引き渡されようとしている。
マタイ 17:23 そして殺されるが、三日目に復活する。」弟子たちは非常に悲しんだ。
◆神殿税を納める
マタイ 17:24 一行がカファルナウムに来たとき、神殿税を集める者たちがペトロのところに来て、「あなたたちの先生は神殿税を納めないのか」と言った。
マタイ 17:25 ペトロは、「納めます」と言った。そして家に入ると、イエスの方から言いだされた。「シモン、あなたはどう思うか。地上の王は、税や貢ぎ物をだれから取り立てるのか。自分の子供たちからか、それともほかの人々からか。」
マタイ 17:26 ペトロが「ほかの人々からです」と答えると、イエスは言われた。「では、子供たちは納めなくてよいわけだ。
マタイ 17:27 しかし、彼らをつまずかせないようにしよう。湖に行って釣りをしなさい。最初に釣れた魚を取って口を開けると、銀貨が一枚見つかるはずだ。それを取って、わたしとあなたの分として納めなさい。」
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18章
◆天の国でいちばん偉い者
マタイ 18:1 そのとき、弟子たちがイエスのところに来て、「いったいだれが、天の国でいちばん偉いのでしょうか」と言った。
マタイ 18:2 そこで、イエスは一人の子供を呼び寄せ、彼らの中に立たせて、
マタイ 18:3 言われた。「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。
マタイ 18:4 自分を低くして、この子供のようになる人が、天の国でいちばん偉いのだ。
マタイ 18:5 わたしの名のためにこのような一人の子供を受け入れる者は、わたしを受け入れるのである。」
◆罪への誘惑
マタイ 18:6 「しかし、わたしを信じるこれらの小さな者の一人をつまずかせる者は、大きな石臼を首に懸けられて、深い海に沈められる方がましである。
マタイ 18:7 世は人をつまずかせるから不幸だ。つまずきは避けられない。だが、つまずきをもたらす者は不幸である。
マタイ 18:8 もし片方の手か足があなたをつまずかせるなら、それを切って捨ててしまいなさい。両手両足がそろったまま永遠の火に投げ込まれるよりは、片手片足になっても命にあずかる方がよい。
マタイ 18:9 もし片方の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。両方の目がそろったまま火の地獄に投げ込まれるよりは、一つの目になっても命にあずかる方がよい。」
◆「迷い出た羊」のたとえ
マタイ 18:10 「これらの小さな者を一人でも軽んじないように気をつけなさい。言っておくが、彼らの天使たちは天でいつもわたしの天の父の御顔を仰いでいるのである。
†
マタイ 18:12 あなたがたはどう思うか。ある人が羊を百匹持っていて、その一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山に残しておいて、迷い出た一匹を捜しに行かないだろうか。
マタイ 18:13 はっきり言っておくが、もし、それを見つけたら、迷わずにいた九十九匹より、その一匹のことを喜ぶだろう。
マタイ 18:14 そのように、これらの小さな者が一人でも滅びることは、あなたがたの天の父の御心ではない。」
◆兄弟の忠告
マタイ 18:15 「兄弟があなたに対して罪を犯したなら、行って二人だけのところで忠告しなさい。言うことを聞き入れたら、兄弟を得たことになる。
マタイ 18:16 聞き入れなければ、ほかに一人か二人、一緒に連れて行きなさい。すべてのことが、二人または三人の証人の口によって確定されるようになるためである。
マタイ 18:17 それでも聞き入れなければ、教会に申し出なさい。教会の言うことも聞き入れないなら、その人を異邦人か徴税人と同様に見なしなさい。
マタイ 18:18 はっきり言っておく。あなたがたが地上でつなぐことは、天上でもつながれ、あなたがたが地上で解くことは、天上でも解かれる。
マタイ 18:19 また、はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる。
マタイ 18:20 二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである。」
◆「仲間を赦さない家来」のたとえ
マタイ 18:21 そのとき、ペトロがイエスのところに来て言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか。」
マタイ 18:22 イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい。
マタイ 18:23 そこで、天の国は次のようにたとえられる。ある王が、家来たちに貸した金の決済をしようとした。
マタイ 18:24 決済し始めたところ、一万タラントン借金している家来が、王の前に連れて来られた。
マタイ 18:25 しかし、返済できなかったので、主君はこの家来に、自分も妻も子も、また持ち物も全部売って返済するように命じた。
マタイ 18:26 家来はひれ伏し、『どうか待ってください。きっと全部お返しします』としきりに願った。
マタイ 18:27 その家来の主君は憐れに思って、彼を赦し、その借金を帳消しにしてやった。
マタイ 18:28 ところが、この家来は外に出て、自分に百デナリオンの借金をしている仲間に出会うと、捕まえて首を絞め、『借金を返せ』と言った。
マタイ 18:29 仲間はひれ伏して、『どうか待ってくれ。返すから』としきりに頼んだ。
マタイ 18:30 しかし、承知せず、その仲間を引っぱって行き、借金を返すまでと牢に入れた。
マタイ 18:31 仲間たちは、事の次第を見て非常に心を痛め、主君の前に出て事件を残らず告げた。
マタイ 18:32 そこで、主君はその家来を呼びつけて言った。『不届きな家来だ。お前が頼んだから、借金を全部帳消しにしてやったのだ。
マタイ 18:33 わたしがお前を憐れんでやったように、お前も自分の仲間を憐れんでやるべきではなかったか。』
マタイ 18:34 そして、主君は怒って、借金をすっかり返済するまでと、家来を牢役人に引き渡した。
マタイ 18:35 あなたがたの一人一人が、心から兄弟を赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたに同じようになさるであろう。」
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19章
◆離縁について教える
マタイ 19:1 イエスはこれらの言葉を語り終えると、ガリラヤを去り、ヨルダン川の向こう側のユダヤ地方に行かれた。
マタイ 19:2 大勢の群衆が従った。イエスはそこで人々の病気をいやされた。
マタイ 19:3 ファリサイ派の人々が近寄り、イエスを試そうとして、「何か理由があれば、夫が妻を離縁することは、律法に適っているでしょうか」と言った。
マタイ 19:4 イエスはお答えになった。「あなたたちは読んだことがないのか。創造主は初めから人を男と女とにお造りになった。」
マタイ 19:5 そして、こうも言われた。「それゆえ、人は父母を離れてその妻と結ばれ、二人は一体となる。
マタイ 19:6 だから、二人はもはや別々ではなく、一体である。従って、神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」
マタイ 19:7 すると、彼らはイエスに言った。「では、なぜモーセは、離縁状を渡して離縁するように命じたのですか。」
マタイ 19:8 イエスは言われた。「あなたたちの心が頑固なので、モーセは妻を離縁することを許したのであって、初めからそうだったわけではない。
マタイ 19:9 言っておくが、不法な結婚でもないのに妻を離縁して、他の女を妻にする者は、姦通の罪を犯すことになる。」
マタイ 19:10 弟子たちは、「夫婦の間柄がそんなものなら、妻を迎えない方がましです」と言った。
マタイ 19:11 イエスは言われた。「だれもがこの言葉を受け入れるのではなく、恵まれた者だけである。
マタイ 19:12 結婚できないように生まれついた者、人から結婚できないようにされた者もいるが、天の国のために結婚しない者もいる。これを受け入れることのできる人は受け入れなさい。」
◆子供を祝福する
マタイ 19:13 そのとき、イエスに手を置いて祈っていただくために、人々が子供たちを連れて来た。弟子たちはこの人々を叱った。
マタイ 19:14 しかし、イエスは言われた。「子供たちを来させなさい。わたしのところに来るのを妨げてはならない。天の国はこのような者たちのものである。」
マタイ 19:15 そして、子供たちに手を置いてから、そこを立ち去られた。
◆金持ちの青年
マタイ 19:16 さて、一人の男がイエスに近寄って来て言った。「先生、永遠の命を得るには、どんな善いことをすればよいのでしょうか。」
マタイ 19:17 イエスは言われた。「なぜ、善いことについて、わたしに尋ねるのか。善い方はおひとりである。もし命を得たいのなら、掟を守りなさい。」
マタイ 19:18 男が「どの掟ですか」と尋ねると、イエスは言われた。「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、
マタイ 19:19 父母を敬え、また、隣人を自分のように愛しなさい。』」
マタイ 19:20 そこで、この青年は言った。「そういうことはみな守ってきました。まだ何か欠けているでしょうか。」
マタイ 19:21 イエスは言われた。「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」
マタイ 19:22 青年はこの言葉を聞き、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。
マタイ 19:23 イエスは弟子たちに言われた。「はっきり言っておく。金持ちが天の国に入るのは難しい。
マタイ 19:24 重ねて言うが、金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。」
マタイ 19:25 弟子たちはこれを聞いて非常に驚き、「それでは、だれが救われるのだろうか」と言った。
マタイ 19:26 イエスは彼らを見つめて、「それは人間にできることではないが、神は何でもできる」と言われた。
マタイ 19:27 すると、ペトロがイエスに言った。「このとおり、わたしたちは何もかも捨ててあなたに従って参りました。では、わたしたちは何をいただけるのでしょうか。」
マタイ 19:28 イエスは一同に言われた。「はっきり言っておく。新しい世界になり、人の子が栄光の座に座るとき、あなたがたも、わたしに従って来たのだから、十二の座に座ってイスラエルの十二部族を治めることになる。
マタイ 19:29 わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子供、畑を捨てた者は皆、その百倍もの報いを受け、永遠の命を受け継ぐ。
マタイ 19:30 しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。」
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20章
◆「ぶどう園の労働者」のたとえ
20:1 「天の国は次のようにたとえられる。ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。
20:2 主人は、一日につき一デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送った。
20:3 また、九時ごろ行ってみると、何もしないで広場に立っている人々がいたので、
20:4 『あなたたちもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう』と言った。
20:5 それで、その人たちは出かけて行った。主人は、十二時ごろと三時ごろにまた出て行き、同じようにした。
20:6 五時ごろにも行ってみると、ほかの人々が立っていたので、『なぜ、何もしないで一日中ここに立っているのか』と尋ねると、
20:7 彼らは、『だれも雇ってくれないのです』と言った。主人は彼らに、『あなたたちもぶどう園に行きなさい』と言った。
20:8 夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。
20:9 そこで、五時ごろに雇われた人たちが来て、一デナリオンずつ受け取った。
20:10 最初に雇われた人たちが来て、もっと多くもらえるだろうと思っていた。しかし、彼らも一デナリオンずつであった。
20:11 それで、受け取ると、主人に不平を言った。
20:12 『最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。』
20:13 主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。
20:14 自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。
20:15 自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。』
20:16 このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。」
◆イエス、三度死と復活を予告する
20:17 イエスはエルサレムへ上って行く途中、十二人の弟子だけを呼び寄せて言われた。
20:18 「今、わたしたちはエルサレムへ上って行く。人の子は、祭司長たちや律法学者たちに引き渡される。彼らは死刑を宣告して、
20:19 異邦人に引き渡す。人の子を侮辱し、鞭打ち、十字架につけるためである。そして、人の子は三日目に復活する。」
◆ヤコブとヨハネの母の願い
20:20 そのとき、ゼベダイの息子たちの母が、その二人の息子と一緒にイエスのところに来て、ひれ伏し、何かを願おうとした。
20:21 イエスが、「何が望みか」と言われると、彼女は言った。「王座にお着きになるとき、この二人の息子が、一人はあなたの右に、もう一人は左に座れるとおっしゃってください。」
20:22 イエスはお答えになった。「あなたがたは、自分が何を願っているか、分かっていない。このわたしが飲もうとしている杯を飲むことができるか。」二人が、「できます」と言うと、
20:23 イエスは言われた。「確かに、あなたがたはわたしの杯を飲むことになる。しかし、わたしの右と左にだれが座るかは、わたしの決めることではない。それは、わたしの父によって定められた人々に許されるのだ。」
20:24 ほかの十人の者はこれを聞いて、この二人の兄弟のことで腹を立てた。
20:25 そこで、イエスは一同を呼び寄せて言われた。「あなたがたも知っているように、異邦人の間では支配者たちが民を支配し、偉い人たちが権力を振るっている。
20:26 しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、
20:27 いちばん上になりたい者は、皆の僕になりなさい。
20:28 人の子が、仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのと同じように。」
◆二人の盲人をいやす(2)
20:29 一行がエリコの町を出ると、大勢の群衆がイエスに従った。
20:30 そのとき、二人の盲人が道端に座っていたが、イエスがお通りと聞いて、「主よ、ダビデの子よ、わたしたちを憐れんでください」と叫んだ。
20:31 群衆は叱りつけて黙らせようとしたが、二人はますます、「主よ、ダビデの子よ、わたしたちを憐れんでください」と叫んだ。
20:32 イエスは立ち止まり、二人を呼んで、「何をしてほしいのか」と言われた。
20:33 二人は、「主よ、目を開けていただきたいのです」と言った。
20:34 イエスが深く憐れんで、その目に触れられると、盲人たちはすぐ見えるようになり、イエスに従った。
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21章
◆エルサレムに迎えられる
マタイ 21:1 一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山沿いのベトファゲに来たとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、
マタイ 21:2 言われた。「向こうの村へ行きなさい。するとすぐ、ろばがつないであり、一緒に子ろばのいるのが見つかる。それをほどいて、わたしのところに引いて来なさい。
マタイ 21:3 もし、だれかが何か言ったら、『主がお入り用なのです』と言いなさい。すぐ渡してくれる。」
マタイ 21:4 それは、預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
マタイ 21:5 「シオンの娘に告げよ。『見よ、お前の王がお前のところにおいでになる、/柔和な方で、ろばに乗り、/荷を負うろばの子、子ろばに乗って。』」
マタイ 21:6 弟子たちは行って、イエスが命じられたとおりにし、
マタイ 21:7 ろばと子ろばを引いて来て、その上に服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。
マタイ 21:8 大勢の群衆が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は木の枝を切って道に敷いた。
マタイ 21:9 そして群衆は、イエスの前を行く者も後に従う者も叫んだ。「ダビデの子にホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように。いと高きところにホサナ。」
マタイ 21:10 イエスがエルサレムに入られると、都中の者が、「いったい、これはどういう人だ」と言って騒いだ。
マタイ 21:11 そこで群衆は、「この方は、ガリラヤのナザレから出た預言者イエスだ」と言った。
◆神殿から商人を追い出す
マタイ 21:12 それから、イエスは神殿の境内に入り、そこで売り買いをしていた人々を皆追い出し、両替人の台や鳩を売る者の腰掛けを倒された。
マタイ 21:13 そして言われた。「こう書いてある。『わたしの家は、祈りの家と呼ばれるべきである。』/ところが、あなたたちは/それを強盗の巣にしている。」
マタイ 21:14 境内では目の見えない人や足の不自由な人たちがそばに寄って来たので、イエスはこれらの人々をいやされた。
マタイ 21:15 他方、祭司長たちや、律法学者たちは、イエスがなさった不思議な業を見、境内で子供たちまで叫んで、「ダビデの子にホサナ」と言うのを聞いて腹を立て、
マタイ 21:16 イエスに言った。「子供たちが何と言っているか、聞こえるか。」イエスは言われた。「聞こえる。あなたたちこそ、『幼子や乳飲み子の口に、あなたは賛美を歌わせた』という言葉をまだ読んだことがないのか。」
マタイ 21:17 それから、イエスは彼らと別れ、都を出てベタニアに行き、そこにお泊まりになった。
◆いちじくの木を呪う
マタイ 21:18 朝早く、都に帰る途中、イエスは空腹を覚えられた。
マタイ 21:19 道端にいちじくの木があるのを見て、近寄られたが、葉のほかは何もなかった。そこで、「今から後いつまでも、お前には実がならないように」と言われると、いちじくの木はたちまち枯れてしまった。
マタイ 21:20 弟子たちはこれを見て驚き、「なぜ、たちまち枯れてしまったのですか」と言った。
マタイ 21:21 イエスはお答えになった。「はっきり言っておく。あなたがたも信仰を持ち、疑わないならば、いちじくの木に起こったようなことができるばかりでなく、この山に向かい、『立ち上がって、海に飛び込め』と言っても、そのとおりになる。
マタイ 21:22 信じて祈るならば、求めるものは何でも得られる。」
◆権威についての問答
マタイ 21:23 イエスが神殿の境内に入って教えておられると、祭司長や民の長老たちが近寄って来て言った。「何の権威でこのようなことをしているのか。だれがその権威を与えたのか。」
マタイ 21:24 イエスはお答えになった。「では、わたしも一つ尋ねる。それに答えるなら、わたしも、何の権威でこのようなことをするのか、あなたたちに言おう。
マタイ 21:25 ヨハネの洗礼はどこからのものだったか。天からのものか、それとも、人からのものか。」彼らは論じ合った。「『天からのものだ』と言えば、『では、なぜヨハネを信じなかったのか』と我々に言うだろう。
マタイ 21:26 『人からのものだ』と言えば、群衆が怖い。皆がヨハネを預言者と思っているから。」
マタイ 21:27 そこで、彼らはイエスに、「分からない」と答えた。すると、イエスも言われた。「それなら、何の権威でこのようなことをするのか、わたしも言うまい。」
◆「二人の息子」のたとえ
マタイ 21:28 「ところで、あなたたちはどう思うか。ある人に息子が二人いたが、彼は兄のところへ行き、『子よ、今日、ぶどう園へ行って働きなさい』と言った。
マタイ 21:29 兄は『いやです』と答えたが、後で考え直して出かけた。
マタイ 21:30 弟のところへも行って、同じことを言うと、弟は『お父さん、承知しました』と答えたが、出かけなかった。
マタイ 21:31 この二人のうち、どちらが父親の望みどおりにしたか。」彼らが「兄の方です」と言うと、イエスは言われた。「はっきり言っておく。徴税人や娼婦たちの方が、あなたたちより先に神の国に入るだろう。
マタイ 21:32 なぜなら、ヨハネが来て義の道を示したのに、あなたたちは彼を信ぜず、徴税人や娼婦たちは信じたからだ。あなたたちはそれを見ても、後で考え直して彼を信じようとしなかった。」
◆「ぶどう園と農夫」のたとえ
マタイ 21:33 「もう一つのたとえを聞きなさい。ある家の主人がぶどう園を作り、垣を巡らし、その中に搾り場を掘り、見張りのやぐらを立て、これを農夫たちに貸して旅に出た。
マタイ 21:34 さて、収穫の時が近づいたとき、収穫を受け取るために、僕たちを農夫たちのところへ送った。
マタイ 21:35 だが、農夫たちはこの僕たちを捕まえ、一人を袋だたきにし、一人を殺し、一人を石で打ち殺した。
マタイ 21:36 また、他の僕たちを前よりも多く送ったが、農夫たちは同じ目に遭わせた。
マタイ 21:37 そこで最後に、『わたしの息子なら敬ってくれるだろう』と言って、主人は自分の息子を送った。
マタイ 21:38 農夫たちは、その息子を見て話し合った。『これは跡取りだ。さあ、殺して、彼の相続財産を我々のものにしよう。』
マタイ 21:39 そして、息子を捕まえ、ぶどう園の外にほうり出して殺してしまった。
マタイ 21:40 さて、ぶどう園の主人が帰って来たら、この農夫たちをどうするだろうか。」
マタイ 21:41 彼らは言った。「その悪人どもをひどい目に遭わせて殺し、ぶどう園は、季節ごとに収穫を納めるほかの農夫たちに貸すにちがいない。」
マタイ 21:42 イエスは言われた。「聖書にこう書いてあるのを、まだ読んだことがないのか。『家を建てる者の捨てた石、/これが隅の親石となった。これは、主がなさったことで、/わたしたちの目には不思議に見える。』
マタイ 21:43 だから、言っておくが、神の国はあなたたちから取り上げられ、それにふさわしい実を結ぶ民族に与えられる。
マタイ 21:44 この石の上に落ちる者は打ち砕かれ、この石がだれかの上に落ちれば、その人は押しつぶされてしまう。」
マタイ 21:45 祭司長たちやファリサイ派の人々はこのたとえを聞いて、イエスが自分たちのことを言っておられると気づき、
マタイ 21:46 イエスを捕らえようとしたが、群衆を恐れた。群衆はイエスを預言者だと思っていたからである。
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22章
◆「婚宴」のたとえ
マタイ 22:1 イエスは、また、たとえを用いて語られた。
マタイ 22:2 「天の国は、ある王が王子のために婚宴を催したのに似ている。
マタイ 22:3 王は家来たちを送り、婚宴に招いておいた人々を呼ばせたが、来ようとしなかった。
マタイ 22:4 そこでまた、次のように言って、別の家来たちを使いに出した。『招いておいた人々にこう言いなさい。「食事の用意が整いました。牛や肥えた家畜を屠って、すっかり用意ができています。さあ、婚宴においでください。」』
マタイ 22:5 しかし、人々はそれを無視し、一人は畑に、一人は商売に出かけ、
マタイ 22:6 また、他の人々は王の家来たちを捕まえて乱暴し、殺してしまった。
マタイ 22:7 そこで、王は怒り、軍隊を送って、この人殺しどもを滅ぼし、その町を焼き払った。
マタイ 22:8 そして、家来たちに言った。『婚宴の用意はできているが、招いておいた人々は、ふさわしくなかった。
マタイ 22:9 だから、町の大通りに出て、見かけた者はだれでも婚宴に連れて来なさい。』
マタイ 22:10 そこで、家来たちは通りに出て行き、見かけた人は善人も悪人も皆集めて来たので、婚宴は客でいっぱいになった。
マタイ 22:11 王が客を見ようと入って来ると、婚礼の礼服を着ていない者が一人いた。
マタイ 22:12 王は、『友よ、どうして礼服を着ないでここに入って来たのか』と言った。この者が黙っていると、
マタイ 22:13 王は側近の者たちに言った。『この男の手足を縛って、外の暗闇にほうり出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』
マタイ 22:14 招かれる人は多いが、選ばれる人は少ない。」
◆皇帝への税金
マタイ 22:15 それから、ファリサイ派の人々は出て行って、どのようにしてイエスの言葉じりをとらえて、罠にかけようかと相談した。
マタイ 22:16 そして、その弟子たちをヘロデ派の人々と一緒にイエスのところに遣わして尋ねさせた。「先生、わたしたちは、あなたが真実な方で、真理に基づいて神の道を教え、だれをもはばからない方であることを知っています。人々を分け隔てなさらないからです。
マタイ 22:17 ところで、どうお思いでしょうか、お教えください。皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょうか。」
マタイ 22:18 イエスは彼らの悪意に気づいて言われた。「偽善者たち、なぜ、わたしを試そうとするのか。
マタイ 22:19 税金に納めるお金を見せなさい。」彼らがデナリオン銀貨を持って来ると、
マタイ 22:20 イエスは、「これは、だれの肖像と銘か」と言われた。
マタイ 22:21 彼らは、「皇帝のものです」と言った。すると、イエスは言われた。「では、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」
マタイ 22:22 彼らはこれを聞いて驚き、イエスをその場に残して立ち去った。
◆復活についての問答
マタイ 22:23 その同じ日、復活はないと言っているサドカイ派の人々が、イエスに近寄って来て尋ねた。
マタイ 22:24 「先生、モーセは言っています。『ある人が子がなくて死んだ場合、その弟は兄嫁と結婚して、兄の跡継ぎをもうけねばならない』と。
マタイ 22:25 さて、わたしたちのところに、七人の兄弟がいました。長男は妻を迎えましたが死に、跡継ぎがなかったので、その妻を弟に残しました。
マタイ 22:26 次男も三男も、ついに七人とも同じようになりました。
マタイ 22:27 最後にその女も死にました。
マタイ 22:28 すると復活の時、その女は七人のうちのだれの妻になるのでしょうか。皆その女を妻にしたのです。」
マタイ 22:29 イエスはお答えになった。「あなたたちは聖書も神の力も知らないから、思い違いをしている。
マタイ 22:30 復活の時には、めとることも嫁ぐこともなく、天使のようになるのだ。
マタイ 22:31 死者の復活については、神があなたたちに言われた言葉を読んだことがないのか。
マタイ 22:32 『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあるではないか。神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神なのだ。」
マタイ 22:33 群衆はこれを聞いて、イエスの教えに驚いた。
◆最も重要な掟
マタイ 22:34 ファリサイ派の人々は、イエスがサドカイ派の人々を言い込められたと聞いて、一緒に集まった。
マタイ 22:35 そのうちの一人、律法の専門家が、イエスを試そうとして尋ねた。
マタイ 22:36 「先生、律法の中で、どの掟が最も重要でしょうか。」
マタイ 22:37 イエスは言われた。「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』
マタイ 22:38 これが最も重要な第一の掟である。
マタイ 22:39 第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』
マタイ 22:40 律法全体と預言者は、この二つの掟に基づいている。」
◆ダビデの子についての問答
マタイ 22:41 ファリサイ派の人々が集まっていたとき、イエスはお尋ねになった。
マタイ 22:42 「あなたたちはメシアのことをどう思うか。だれの子だろうか。」彼らが、「ダビデの子です」と言うと、
マタイ 22:43 イエスは言われた。「では、どうしてダビデは、霊を受けて、メシアを主と呼んでいるのだろうか。
マタイ 22:44 『主は、わたしの主にお告げになった。「わたしの右の座に着きなさい、/わたしがあなたの敵を/あなたの足もとに屈服させるときまで」と。』
マタイ 22:45 このようにダビデがメシアを主と呼んでいるのであれば、どうしてメシアがダビデの子なのか。」
マタイ 22:46 これにはだれ一人、ひと言も言い返すことができず、その日からは、もはやあえて質問する者はなかった。
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23章
◆律法学者とファリサイ派の人々を非難する
マタイ 23:1 それから、イエスは群衆と弟子たちにお話しになった。
マタイ 23:2 「律法学者たちやファリサイ派の人々は、モーセの座に着いている。
マタイ 23:3 だから、彼らが言うことは、すべて行い、また守りなさい。しかし、彼らの行いは、見倣ってはならない。言うだけで、実行しないからである。
マタイ 23:4 彼らは背負いきれない重荷をまとめ、人の肩に載せるが、自分ではそれを動かすために、指一本貸そうともしない。
マタイ 23:5 そのすることは、すべて人に見せるためである。聖句の入った小箱を大きくしたり、衣服の房を長くしたりする。
マタイ 23:6 宴会では上座、会堂では上席に座ることを好み、
マタイ 23:7 また、広場で挨拶されたり、『先生』と呼ばれたりすることを好む。
マタイ 23:8 だが、あなたがたは『先生』と呼ばれてはならない。あなたがたの師は一人だけで、あとは皆兄弟なのだ。
マタイ 23:9 また、地上の者を『父』と呼んではならない。あなたがたの父は天の父おひとりだけだ。
マタイ 23:10 『教師』と呼ばれてもいけない。あなたがたの教師はキリスト一人だけである。
マタイ 23:11 あなたがたのうちでいちばん偉い人は、仕える者になりなさい。
マタイ 23:12 だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。
マタイ 23:13 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。人々の前で天の国を閉ざすからだ。自分が入らないばかりか、入ろうとする人をも入らせない。
†
マタイ 23:15 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。改宗者を一人つくろうとして、海と陸を巡り歩くが、改宗者ができると、自分より倍も悪い地獄の子にしてしまうからだ。
マタイ 23:16 ものの見えない案内人、あなたたちは不幸だ。あなたたちは、『神殿にかけて誓えば、その誓いは無効である。だが、神殿の黄金にかけて誓えば、それは果たさねばならない』と言う。
マタイ 23:17 愚かで、ものの見えない者たち、黄金と、黄金を清める神殿と、どちらが尊いか。
マタイ 23:18 また、『祭壇にかけて誓えば、その誓いは無効である。その上の供え物にかけて誓えば、それは果たさねばならない』と言う。
マタイ 23:19 ものの見えない者たち、供え物と、供え物を清くする祭壇と、どちらが尊いか。
マタイ 23:20 祭壇にかけて誓う者は、祭壇とその上のすべてのものにかけて誓うのだ。
マタイ 23:21 神殿にかけて誓う者は、神殿とその中に住んでおられる方にかけて誓うのだ。
マタイ 23:22 天にかけて誓う者は、神の玉座とそれに座っておられる方にかけて誓うのだ。
マタイ 23:23 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。薄荷、いのんど、茴香の十分の一は献げるが、律法の中で最も重要な正義、慈悲、誠実はないがしろにしているからだ。これこそ行うべきことである。もとより、十分の一の献げ物もないがしろにしてはならないが。
マタイ 23:24 ものの見えない案内人、あなたたちはぶよ一匹さえも漉して除くが、らくだは飲み込んでいる。
マタイ 23:25 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。杯や皿の外側はきれいにするが、内側は強欲と放縦で満ちているからだ。
マタイ 23:26 ものの見えないファリサイ派の人々、まず、杯の内側をきれいにせよ。そうすれば、外側もきれいになる。
マタイ 23:27 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。白く塗った墓に似ているからだ。外側は美しく見えるが、内側は死者の骨やあらゆる汚れで満ちている。
マタイ 23:28 このようにあなたたちも、外側は人に正しいように見えながら、内側は偽善と不法で満ちている。
マタイ 23:29 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。預言者の墓を建てたり、正しい人の記念碑を飾ったりしているからだ。
マタイ 23:30 そして、『もし先祖の時代に生きていても、預言者の血を流す側にはつかなかったであろう』などと言う。
マタイ 23:31 こうして、自分が預言者を殺した者たちの子孫であることを、自ら証明している。
マタイ 23:32 先祖が始めた悪事の仕上げをしたらどうだ。
マタイ 23:33 蛇よ、蝮の子らよ、どうしてあなたたちは地獄の罰を免れることができようか。
マタイ 23:34 だから、わたしは預言者、知者、学者をあなたたちに遣わすが、あなたたちはその中のある者を殺し、十字架につけ、ある者を会堂で鞭打ち、町から町へと追い回して迫害する。
マタイ 23:35 こうして、正しい人アベルの血から、あなたたちが聖所と祭壇の間で殺したバラキアの子ゼカルヤの血に至るまで、地上に流された正しい人の血はすべて、あなたたちにふりかかってくる。
マタイ 23:36 はっきり言っておく。これらのことの結果はすべて、今の時代の者たちにふりかかってくる。」
◆エルサレムのために嘆く
マタイ 23:37 「エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、自分に遣わされた人々を石で打ち殺す者よ、めん鳥が雛を羽の下に集めるように、わたしはお前の子らを何度集めようとしたことか。だが、お前たちは応じようとしなかった。
マタイ 23:38 見よ、お前たちの家は見捨てられて荒れ果てる。
マタイ 23:39 言っておくが、お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言うときまで、今から後、決してわたしを見ることがない。」
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24章
◆神殿の崩壊を予告する
マタイ 24:1 イエスが神殿の境内を出て行かれると、弟子たちが近寄って来て、イエスに神殿の建物を指さした。
マタイ 24:2 そこで、イエスは言われた。「これらすべての物を見ないのか。はっきり言っておく。一つの石もここで崩されずに他の石の上に残ることはない。」
◆終末の徴
マタイ 24:3 イエスがオリーブ山で座っておられると、弟子たちがやって来て、ひそかに言った。「おっしゃってください。そのことはいつ起こるのですか。また、あなたが来られて世の終わるときには、どんな徴があるのですか。」
マタイ 24:4 イエスはお答えになった。「人に惑わされないように気をつけなさい。
マタイ 24:5 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『わたしがメシアだ』と言って、多くの人を惑わすだろう。
マタイ 24:6 戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞くだろうが、慌てないように気をつけなさい。そういうことは起こるに決まっているが、まだ世の終わりではない。
マタイ 24:7 民は民に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に飢饉や地震が起こる。
マタイ 24:8 しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりである。
マタイ 24:9 そのとき、あなたがたは苦しみを受け、殺される。また、わたしの名のために、あなたがたはあらゆる民に憎まれる。
マタイ 24:10 そのとき、多くの人がつまずき、互いに裏切り、憎み合うようになる。
マタイ 24:11 偽預言者も大勢現れ、多くの人を惑わす。
マタイ 24:12 不法がはびこるので、多くの人の愛が冷える。
マタイ 24:13 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
マタイ 24:14 そして、御国のこの福音はあらゆる民への証しとして、全世界に宣べ伝えられる。それから、終わりが来る。」
◆大きな苦難を予告する
マタイ 24:15 「預言者ダニエルの言った憎むべき破壊者が、聖なる場所に立つのを見たら――読者は悟れ――、
マタイ 24:16 そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。
マタイ 24:17 屋上にいる者は、家にある物を取り出そうとして下に降りてはならない。
マタイ 24:18 畑にいる者は、上着を取りに帰ってはならない。
マタイ 24:19 それらの日には、身重の女と乳飲み子を持つ女は不幸だ。
マタイ 24:20 逃げるのが冬や安息日にならないように、祈りなさい。
マタイ 24:21 そのときには、世界の初めから今までなく、今後も決してないほどの大きな苦難が来るからである。
マタイ 24:22 神がその期間を縮めてくださらなければ、だれ一人救われない。しかし、神は選ばれた人たちのために、その期間を縮めてくださるであろう。
マタイ 24:23 そのとき、『見よ、ここにメシアがいる』『いや、ここだ』と言う者がいても、信じてはならない。
マタイ 24:24 偽メシアや偽預言者が現れて、大きなしるしや不思議な業を行い、できれば、選ばれた人たちをも惑わそうとするからである。
マタイ 24:25 あなたがたには前もって言っておく。
マタイ 24:26 だから、人が『見よ、メシアは荒れ野にいる』と言っても、行ってはならない。また、『見よ、奥の部屋にいる』と言っても、信じてはならない。
マタイ 24:27 稲妻が東から西へひらめき渡るように、人の子も来るからである。
マタイ 24:28 死体のある所には、はげ鷹が集まるものだ。」
◆人の子が来る
マタイ 24:29 「その苦難の日々の後、たちまち/太陽は暗くなり、/月は光を放たず、/星は空から落ち、/天体は揺り動かされる。
マタイ 24:30 そのとき、人の子の徴が天に現れる。そして、そのとき、地上のすべての民族は悲しみ、人の子が大いなる力と栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見る。
マタイ 24:31 人の子は、大きなラッパの音を合図にその天使たちを遣わす。天使たちは、天の果てから果てまで、彼によって選ばれた人たちを四方から呼び集める。」
◆いちじくの木の教え
マタイ 24:32 「いちじくの木から教えを学びなさい。枝が柔らかくなり、葉が伸びると、夏の近づいたことが分かる。
マタイ 24:33 それと同じように、あなたがたは、これらすべてのことを見たなら、人の子が戸口に近づいていると悟りなさい。
マタイ 24:34 はっきり言っておく。これらのことがみな起こるまでは、この時代は決して滅びない。
マタイ 24:35 天地は滅びるが、わたしの言葉は決して滅びない。」
◆目を覚ましていなさい
マタイ 24:36 「その日、その時は、だれも知らない。天使たちも子も知らない。ただ、父だけがご存じである。
マタイ 24:37 人の子が来るのは、ノアの時と同じだからである。
マタイ 24:38 洪水になる前は、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は食べたり飲んだり、めとったり嫁いだりしていた。
マタイ 24:39 そして、洪水が襲って来て一人残らずさらうまで、何も気がつかなかった。人の子が来る場合も、このようである。
マタイ 24:40 そのとき、畑に二人の男がいれば、一人は連れて行かれ、もう一人は残される。
マタイ 24:41 二人の女が臼をひいていれば、一人は連れて行かれ、もう一人は残される。
マタイ 24:42 だから、目を覚ましていなさい。いつの日、自分の主が帰って来られるのか、あなたがたには分からないからである。
マタイ 24:43 このことをわきまえていなさい。家の主人は、泥棒が夜のいつごろやって来るかを知っていたら、目を覚ましていて、みすみす自分の家に押し入らせはしないだろう。
マタイ 24:44 だから、あなたがたも用意していなさい。人の子は思いがけない時に来るからである。」
◆忠実な僕と悪い僕
マタイ 24:45 「主人がその家の使用人たちの上に立てて、時間どおり彼らに食事を与えさせることにした忠実で賢い僕は、いったいだれであろうか。
マタイ 24:46 主人が帰って来たとき、言われたとおりにしているのを見られる僕は幸いである。
マタイ 24:47 はっきり言っておくが、主人は彼に全財産を管理させるにちがいない。
マタイ 24:48 しかし、それが悪い僕で、主人は遅いと思い、
マタイ 24:49 仲間を殴り始め、酒飲みどもと一緒に食べたり飲んだりしているとする。
マタイ 24:50 もしそうなら、その僕の主人は予想しない日、思いがけない時に帰って来て、
マタイ 24:51 彼を厳しく罰し、偽善者たちと同じ目に遭わせる。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。」
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25章
◆「十人のおとめ」のたとえ
マタイ 25:1 「そこで、天の国は次のようにたとえられる。十人のおとめがそれぞれともし火を持って、花婿を迎えに出て行く。
マタイ 25:2 そのうちの五人は愚かで、五人は賢かった。
マタイ 25:3 愚かなおとめたちは、ともし火は持っていたが、油の用意をしていなかった。
マタイ 25:4 賢いおとめたちは、それぞれのともし火と一緒に、壺に油を入れて持っていた。
マタイ 25:5 ところが、花婿の来るのが遅れたので、皆眠気がさして眠り込んでしまった。
マタイ 25:6 真夜中に『花婿だ。迎えに出なさい』と叫ぶ声がした。
マタイ 25:7 そこで、おとめたちは皆起きて、それぞれのともし火を整えた。
マタイ 25:8 愚かなおとめたちは、賢いおとめたちに言った。『油を分けてください。わたしたちのともし火は消えそうです。』
マタイ 25:9 賢いおとめたちは答えた。『分けてあげるほどはありません。それより、店に行って、自分の分を買って来なさい。』
マタイ 25:10 愚かなおとめたちが買いに行っている間に、花婿が到着して、用意のできている五人は、花婿と一緒に婚宴の席に入り、戸が閉められた。
マタイ 25:11 その後で、ほかのおとめたちも来て、『御主人様、御主人様、開けてください』と言った。
マタイ 25:12 しかし主人は、『はっきり言っておく。わたしはお前たちを知らない』と答えた。
マタイ 25:13 だから、目を覚ましていなさい。あなたがたは、その日、その時を知らないのだから。」
◆「タラントン」のたとえ
マタイ 25:14 「天の国はまた次のようにたとえられる。ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。
マタイ 25:15 それぞれの力に応じて、一人には五タラントン、一人には二タラントン、もう一人には一タラントンを預けて旅に出かけた。早速、
マタイ 25:16 五タラントン預かった者は出て行き、それで商売をして、ほかに五タラントンをもうけた。
マタイ 25:17 同じように、二タラントン預かった者も、ほかに二タラントンをもうけた。
マタイ 25:18 しかし、一タラントン預かった者は、出て行って穴を掘り、主人の金を隠しておいた。
マタイ 25:19 さて、かなり日がたってから、僕たちの主人が帰って来て、彼らと清算を始めた。
マタイ 25:20 まず、五タラントン預かった者が進み出て、ほかの五タラントンを差し出して言った。『御主人様、五タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』
マタイ 25:21 主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』
マタイ 25:22 次に、二タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、二タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに二タラントンもうけました。』
マタイ 25:23 主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』
マタイ 25:24 ところで、一タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、あなたは蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集められる厳しい方だと知っていましたので、
マタイ 25:25 恐ろしくなり、出かけて行って、あなたのタラントンを地の中に隠しておきました。御覧ください。これがあなたのお金です。』
マタイ 25:26 主人は答えた。『怠け者の悪い僕だ。わたしが蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集めることを知っていたのか。
マタイ 25:27 それなら、わたしの金を銀行に入れておくべきであった。そうしておけば、帰って来たとき、利息付きで返してもらえたのに。
マタイ 25:28 さあ、そのタラントンをこの男から取り上げて、十タラントン持っている者に与えよ。
マタイ 25:29 だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。
マタイ 25:30 この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』」
◆すべての民族を裁く
マタイ 25:31 「人の子は、栄光に輝いて天使たちを皆従えて来るとき、その栄光の座に着く。
マタイ 25:32 そして、すべての国の民がその前に集められると、羊飼いが羊と山羊を分けるように、彼らをより分け、
マタイ 25:33 羊を右に、山羊を左に置く。
マタイ 25:34 そこで、王は右側にいる人たちに言う。『さあ、わたしの父に祝福された人たち、天地創造の時からお前たちのために用意されている国を受け継ぎなさい。
マタイ 25:35 お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、
マタイ 25:36 裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたからだ。』
マタイ 25:37 すると、正しい人たちが王に答える。『主よ、いつわたしたちは、飢えておられるのを見て食べ物を差し上げ、のどが渇いておられるのを見て飲み物を差し上げたでしょうか。
マタイ 25:38 いつ、旅をしておられるのを見てお宿を貸し、裸でおられるのを見てお着せしたでしょうか。
マタイ 25:39 いつ、病気をなさったり、牢におられたりするのを見て、お訪ねしたでしょうか。』
マタイ 25:40 そこで、王は答える。『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』
マタイ 25:41 それから、王は左側にいる人たちにも言う。『呪われた者ども、わたしから離れ去り、悪魔とその手下のために用意してある永遠の火に入れ。
マタイ 25:42 お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせず、のどが渇いたときに飲ませず、
マタイ 25:43 旅をしていたときに宿を貸さず、裸のときに着せず、病気のとき、牢にいたときに、訪ねてくれなかったからだ。』
マタイ 25:44 すると、彼らも答える。『主よ、いつわたしたちは、あなたが飢えたり、渇いたり、旅をしたり、裸であったり、病気であったり、牢におられたりするのを見て、お世話をしなかったでしょうか。』
マタイ 25:45 そこで、王は答える。『はっきり言っておく。この最も小さい者の一人にしなかったのは、わたしにしてくれなかったことなのである。』
マタイ 25:46 こうして、この者どもは永遠の罰を受け、正しい人たちは永遠の命にあずかるのである。」
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26章
◆イエスを殺す計略
マタイ 26:1 イエスはこれらの言葉をすべて語り終えると、弟子たちに言われた。
マタイ 26:2 「あなたがたも知っているとおり、二日後は過越祭である。人の子は、十字架につけられるために引き渡される。」
マタイ 26:3 そのころ、祭司長たちや民の長老たちは、カイアファという大祭司の屋敷に集まり、
マタイ 26:4 計略を用いてイエスを捕らえ、殺そうと相談した。
マタイ 26:5 しかし彼らは、「民衆の中に騒ぎが起こるといけないから、祭りの間はやめておこう」と言っていた。
◆ベタニアで香油を注がれる
マタイ 26:6 さて、イエスがベタニアで重い皮膚病の人シモンの家におられたとき、
マタイ 26:7 一人の女が、極めて高価な香油の入った石膏の壺を持って近寄り、食事の席に着いておられるイエスの頭に香油を注ぎかけた。
マタイ 26:8 弟子たちはこれを見て、憤慨して言った。「なぜ、こんな無駄遣いをするのか。
マタイ 26:9 高く売って、貧しい人々に施すことができたのに。」
マタイ 26:10 イエスはこれを知って言われた。「なぜ、この人を困らせるのか。わたしに良いことをしてくれたのだ。
マタイ 26:11 貧しい人々はいつもあなたがたと一緒にいるが、わたしはいつも一緒にいるわけではない。
マタイ 26:12 この人はわたしの体に香油を注いで、わたしを葬る準備をしてくれた。
マタイ 26:13 はっきり言っておく。世界中どこでも、この福音が宣べ伝えられる所では、この人のしたことも記念として語り伝えられるだろう。」
◆ユダ、裏切りを企てる
マタイ 26:14 そのとき、十二人の一人で、イスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところへ行き、
マタイ 26:15 「あの男をあなたたちに引き渡せば、幾らくれますか」と言った。そこで、彼らは銀貨三十枚を支払うことにした。
マタイ 26:16 そのときから、ユダはイエスを引き渡そうと、良い機会をねらっていた。
◆過越の食事をする
マタイ 26:17 除酵祭の第一日に、弟子たちがイエスのところに来て、「どこに、過越の食事をなさる用意をいたしましょうか」と言った。
マタイ 26:18 イエスは言われた。「都のあの人のところに行ってこう言いなさい。『先生が、「わたしの時が近づいた。お宅で弟子たちと一緒に過越の食事をする」と言っています。』」
マタイ 26:19 弟子たちは、イエスに命じられたとおりにして、過越の食事を準備した。
マタイ 26:20 夕方になると、イエスは十二人と一緒に食事の席に着かれた。
マタイ 26:21 一同が食事をしているとき、イエスは言われた。「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。」
マタイ 26:22 弟子たちは非常に心を痛めて、「主よ、まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。
マタイ 26:23 イエスはお答えになった。「わたしと一緒に手で鉢に食べ物を浸した者が、わたしを裏切る。
マタイ 26:24 人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによかった。」
マタイ 26:25 イエスを裏切ろうとしていたユダが口をはさんで、「先生、まさかわたしのことでは」と言うと、イエスは言われた。「それはあなたの言ったことだ。」
◆主の晩餐
マタイ 26:26 一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを裂き、弟子たちに与えながら言われた。「取って食べなさい。これはわたしの体である。」
マタイ 26:27 また、杯を取り、感謝の祈りを唱え、彼らに渡して言われた。「皆、この杯から飲みなさい。
マタイ 26:28 これは、罪が赦されるように、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である。
マタイ 26:29 言っておくが、わたしの父の国であなたがたと共に新たに飲むその日まで、今後ぶどうの実から作ったものを飲むことは決してあるまい。」
マタイ 26:30 一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。
◆ペトロの離反を予告する
マタイ 26:31 そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「今夜、あなたがたは皆わたしにつまずく。『わたしは羊飼いを打つ。すると、羊の群れは散ってしまう』/と書いてあるからだ。
マタイ 26:32 しかし、わたしは復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く。」
マタイ 26:33 するとペトロが、「たとえ、みんながあなたにつまずいても、わたしは決してつまずきません」と言った。
マタイ 26:34 イエスは言われた。「はっきり言っておく。あなたは今夜、鶏が鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」
マタイ 26:35 ペトロは、「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません」と言った。弟子たちも皆、同じように言った。
◆ゲツセマネで祈る
マタイ 26:36 それから、イエスは弟子たちと一緒にゲツセマネという所に来て、「わたしが向こうへ行って祈っている間、ここに座っていなさい」と言われた。
マタイ 26:37 ペトロおよびゼベダイの子二人を伴われたが、そのとき、悲しみもだえ始められた。
マタイ 26:38 そして、彼らに言われた。「わたしは死ぬばかりに悲しい。ここを離れず、わたしと共に目を覚ましていなさい。」
マタイ 26:39 少し進んで行って、うつ伏せになり、祈って言われた。「父よ、できることなら、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願いどおりではなく、御心のままに。」
マタイ 26:40 それから、弟子たちのところへ戻って御覧になると、彼らは眠っていたので、ペトロに言われた。「あなたがたはこのように、わずか一時もわたしと共に目を覚ましていられなかったのか。
マタイ 26:41 誘惑に陥らぬよう、目を覚まして祈っていなさい。心は燃えても、肉体は弱い。」
マタイ 26:42 更に、二度目に向こうへ行って祈られた。「父よ、わたしが飲まないかぎりこの杯が過ぎ去らないのでしたら、あなたの御心が行われますように。」
マタイ 26:43 再び戻って御覧になると、弟子たちは眠っていた。ひどく眠かったのである。
マタイ 26:44 そこで、彼らを離れ、また向こうへ行って、三度目も同じ言葉で祈られた。
マタイ 26:45 それから、弟子たちのところに戻って来て言われた。「あなたがたはまだ眠っている。休んでいる。時が近づいた。人の子は罪人たちの手に引き渡される。
マタイ 26:46 立て、行こう。見よ、わたしを裏切る者が来た。」
◆裏切られ、逮捕される
マタイ 26:47 イエスがまだ話しておられると、十二人の一人であるユダがやって来た。祭司長たちや民の長老たちの遣わした大勢の群衆も、剣や棒を持って一緒に来た。
マタイ 26:48 イエスを裏切ろうとしていたユダは、「わたしが接吻するのが、その人だ。それを捕まえろ」と、前もって合図を決めていた。
マタイ 26:49 ユダはすぐイエスに近寄り、「先生、こんばんは」と言って接吻した。
マタイ 26:50 イエスは、「友よ、しようとしていることをするがよい」と言われた。すると人々は進み寄り、イエスに手をかけて捕らえた。
マタイ 26:51 そのとき、イエスと一緒にいた者の一人が、手を伸ばして剣を抜き、大祭司の手下に打ちかかって、片方の耳を切り落とした。
マタイ 26:52 そこで、イエスは言われた。「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。
マタイ 26:53 わたしが父にお願いできないとでも思うのか。お願いすれば、父は十二軍団以上の天使を今すぐ送ってくださるであろう。
マタイ 26:54 しかしそれでは、必ずこうなると書かれている聖書の言葉がどうして実現されよう。」
マタイ 26:55 またそのとき、群衆に言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持って捕らえに来たのか。わたしは毎日、神殿の境内に座って教えていたのに、あなたたちはわたしを捕らえなかった。
マタイ 26:56 このすべてのことが起こったのは、預言者たちの書いたことが実現するためである。」このとき、弟子たちは皆、イエスを見捨てて逃げてしまった。
◆最高法院で裁判を受ける
マタイ 26:57 人々はイエスを捕らえると、大祭司カイアファのところへ連れて行った。そこには、律法学者たちや長老たちが集まっていた。
マタイ 26:58 ペトロは遠く離れてイエスに従い、大祭司の屋敷の中庭まで行き、事の成り行きを見ようと、中に入って、下役たちと一緒に座っていた。
マタイ 26:59 さて、祭司長たちと最高法院の全員は、死刑にしようとしてイエスにとって不利な偽証を求めた。
マタイ 26:60 偽証人は何人も現れたが、証拠は得られなかった。最後に二人の者が来て、
マタイ 26:61 「この男は、『神の神殿を打ち倒し、三日あれば建てることができる』と言いました」と告げた。
マタイ 26:62 そこで、大祭司は立ち上がり、イエスに言った。「何も答えないのか、この者たちがお前に不利な証言をしているが、どうなのか。」
マタイ 26:63 イエスは黙り続けておられた。大祭司は言った。「生ける神に誓って我々に答えよ。お前は神の子、メシアなのか。」
マタイ 26:64 イエスは言われた。「それは、あなたが言ったことです。しかし、わたしは言っておく。あなたたちはやがて、/人の子が全能の神の右に座り、/天の雲に乗って来るのを見る。」
マタイ 26:65 そこで、大祭司は服を引き裂きながら言った。「神を冒涜した。これでもまだ証人が必要だろうか。諸君は今、冒涜の言葉を聞いた。
マタイ 26:66 どう思うか。」人々は、「死刑にすべきだ」と答えた。
マタイ 26:67 そして、イエスの顔に唾を吐きかけ、こぶしで殴り、ある者は平手で打ちながら、
マタイ 26:68 「メシア、お前を殴ったのはだれか。言い当ててみろ」と言った。
◆ペトロ、イエスを知らないと言う
マタイ 26:69 ペトロは外にいて中庭に座っていた。そこへ一人の女中が近寄って来て、「あなたもガリラヤのイエスと一緒にいた」と言った。
マタイ 26:70 ペトロは皆の前でそれを打ち消して、「何のことを言っているのか、わたしには分からない」と言った。
マタイ 26:71 ペトロが門の方に行くと、ほかの女中が彼に目を留め、居合わせた人々に、「この人はナザレのイエスと一緒にいました」と言った。
マタイ 26:72 そこで、ペトロは再び、「そんな人は知らない」と誓って打ち消した。
マタイ 26:73 しばらくして、そこにいた人々が近寄って来てペトロに言った。「確かに、お前もあの連中の仲間だ。言葉遣いでそれが分かる。」
マタイ 26:74 そのとき、ペトロは呪いの言葉さえ口にしながら、「そんな人は知らない」と誓い始めた。するとすぐ、鶏が鳴いた。
マタイ 26:75 ペトロは、「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われたイエスの言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。
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27章
◆ピラトに引き渡される
マタイ 27:1 夜が明けると、祭司長たちと民の長老たち一同は、イエスを殺そうと相談した。
マタイ 27:2 そして、イエスを縛って引いて行き、総督ピラトに渡した。
◆ユダ、自殺する
マタイ 27:3 そのころ、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、
マタイ 27:4 「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました」と言った。しかし彼らは、「我々の知ったことではない。お前の問題だ」と言った。
マタイ 27:5 そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。
マタイ 27:6 祭司長たちは銀貨を拾い上げて、「これは血の代金だから、神殿の収入にするわけにはいかない」と言い、
マタイ 27:7 相談のうえ、その金で「陶器職人の畑」を買い、外国人の墓地にすることにした。
マタイ 27:8 このため、この畑は今日まで「血の畑」と言われている。
マタイ 27:9 こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。「彼らは銀貨三十枚を取った。それは、値踏みされた者、すなわち、イスラエルの子らが値踏みした者の価である。
マタイ 27:10 主がわたしにお命じになったように、彼らはこの金で陶器職人の畑を買い取った。」
◆ピラトから尋問される
マタイ 27:11 さて、イエスは総督の前に立たれた。総督がイエスに、「お前がユダヤ人の王なのか」と尋問すると、イエスは、「それは、あなたが言っていることです」と言われた。
マタイ 27:12 祭司長たちや長老たちから訴えられている間、これには何もお答えにならなかった。
マタイ 27:13 するとピラトは、「あのようにお前に不利な証言をしているのに、聞こえないのか」と言った。
マタイ 27:14 それでも、どんな訴えにもお答えにならなかったので、総督は非常に不思議に思った。
◆死刑の判決を受ける
マタイ 27:15 ところで、祭りの度ごとに、総督は民衆の希望する囚人を一人釈放することにしていた。
マタイ 27:16 そのころ、バラバ・イエスという評判の囚人がいた。
マタイ 27:17 ピラトは、人々が集まって来たときに言った。「どちらを釈放してほしいのか。バラバ・イエスか。それともメシアといわれるイエスか。」
マタイ 27:18 人々がイエスを引き渡したのは、ねたみのためだと分かっていたからである。
マタイ 27:19 一方、ピラトが裁判の席に着いているときに、妻から伝言があった。「あの正しい人に関係しないでください。その人のことで、わたしは昨夜、夢で随分苦しめられました。」
マタイ 27:20 しかし、祭司長たちや長老たちは、バラバを釈放して、イエスを死刑に処してもらうようにと群衆を説得した。
マタイ 27:21 そこで、総督が、「二人のうち、どちらを釈放してほしいのか」と言うと、人々は、「バラバを」と言った。
マタイ 27:22 ピラトが、「では、メシアといわれているイエスの方は、どうしたらよいか」と言うと、皆は、「十字架につけろ」と言った。
マタイ 27:23 ピラトは、「いったいどんな悪事を働いたというのか」と言ったが、群衆はますます激しく、「十字架につけろ」と叫び続けた。
マタイ 27:24 ピラトは、それ以上言っても無駄なばかりか、かえって騒動が起こりそうなのを見て、水を持って来させ、群衆の前で手を洗って言った。「この人の血について、わたしには責任がない。お前たちの問題だ。」
マタイ 27:25 民はこぞって答えた。「その血の責任は、我々と子孫にある。」
マタイ 27:26 そこで、ピラトはバラバを釈放し、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。
◆兵士から侮辱される
マタイ 27:27 それから、総督の兵士たちは、イエスを総督官邸に連れて行き、部隊の全員をイエスの周りに集めた。
マタイ 27:28 そして、イエスの着ている物をはぎ取り、赤い外套を着せ、
マタイ 27:29 茨で冠を編んで頭に載せ、また、右手に葦の棒を持たせて、その前にひざまずき、「ユダヤ人の王、万歳」と言って、侮辱した。
マタイ 27:30 また、唾を吐きかけ、葦の棒を取り上げて頭をたたき続けた。
マタイ 27:31 このようにイエスを侮辱したあげく、外套を脱がせて元の服を着せ、十字架につけるために引いて行った。
◆十字架につけられる
マタイ 27:32 兵士たちは出て行くと、シモンという名前のキレネ人に出会ったので、イエスの十字架を無理に担がせた。
マタイ 27:33 そして、ゴルゴタという所、すなわち「されこうべの場所」に着くと、
マタイ 27:34 苦いものを混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはなめただけで、飲もうとされなかった。
マタイ 27:35 彼らはイエスを十字架につけると、くじを引いてその服を分け合い、
マタイ 27:36 そこに座って見張りをしていた。
マタイ 27:37 イエスの頭の上には、「これはユダヤ人の王イエスである」と書いた罪状書きを掲げた。
マタイ 27:38 折から、イエスと一緒に二人の強盗が、一人は右にもう一人は左に、十字架につけられていた。
マタイ 27:39 そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって、
マタイ 27:40 言った。「神殿を打ち倒し、三日で建てる者、神の子なら、自分を救ってみろ。そして十字架から降りて来い。」
マタイ 27:41 同じように、祭司長たちも律法学者たちや長老たちと一緒に、イエスを侮辱して言った。
マタイ 27:42 「他人は救ったのに、自分は救えない。イスラエルの王だ。今すぐ十字架から降りるがいい。そうすれば、信じてやろう。
マタイ 27:43 神に頼っているが、神の御心ならば、今すぐ救ってもらえ。『わたしは神の子だ』と言っていたのだから。」
マタイ 27:44 一緒に十字架につけられた強盗たちも、同じようにイエスをののしった。
◆イエスの死
マタイ 27:45 さて、昼の十二時に、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。
マタイ 27:46 三時ごろ、イエスは大声で叫ばれた。「エリ、エリ、レマ、サバクタニ。」これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
マタイ 27:47 そこに居合わせた人々のうちには、これを聞いて、「この人はエリヤを呼んでいる」と言う者もいた。
マタイ 27:48 そのうちの一人が、すぐに走り寄り、海綿を取って酸いぶどう酒を含ませ、葦の棒に付けて、イエスに飲ませようとした。
マタイ 27:49 ほかの人々は、「待て、エリヤが彼を救いに来るかどうか、見ていよう」と言った。
マタイ 27:50 しかし、イエスは再び大声で叫び、息を引き取られた。
マタイ 27:51 そのとき、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂け、地震が起こり、岩が裂け、
マタイ 27:52 墓が開いて、眠りについていた多くの聖なる者たちの体が生き返った。
マタイ 27:53 そして、イエスの復活の後、墓から出て来て、聖なる都に入り、多くの人々に現れた。
マタイ 27:54 百人隊長や一緒にイエスの見張りをしていた人たちは、地震やいろいろの出来事を見て、非常に恐れ、「本当に、この人は神の子だった」と言った。
マタイ 27:55 またそこでは、大勢の婦人たちが遠くから見守っていた。この婦人たちは、ガリラヤからイエスに従って来て世話をしていた人々である。
マタイ 27:56 その中には、マグダラのマリア、ヤコブとヨセフの母マリア、ゼベダイの子らの母がいた。
◆墓に葬られる
マタイ 27:57 夕方になると、アリマタヤ出身の金持ちでヨセフという人が来た。この人もイエスの弟子であった。
マタイ 27:58 この人がピラトのところに行って、イエスの遺体を渡してくれるようにと願い出た。そこでピラトは、渡すようにと命じた。
マタイ 27:59 ヨセフはイエスの遺体を受け取ると、きれいな亜麻布に包み、
マタイ 27:60 岩に掘った自分の新しい墓の中に納め、墓の入り口には大きな石を転がしておいて立ち去った。
マタイ 27:61 マグダラのマリアともう一人のマリアとはそこに残り、墓の方を向いて座っていた。
◆番兵、墓を見張る
マタイ 27:62 明くる日、すなわち、準備の日の翌日、祭司長たちとファリサイ派の人々は、ピラトのところに集まって、
マタイ 27:63 こう言った。「閣下、人を惑わすあの者がまだ生きていたとき、『自分は三日後に復活する』と言っていたのを、わたしたちは思い出しました。
マタイ 27:64 ですから、三日目まで墓を見張るように命令してください。そうでないと、弟子たちが来て死体を盗み出し、『イエスは死者の中から復活した』などと民衆に言いふらすかもしれません。そうなると、人々は前よりもひどく惑わされることになります。」
マタイ 27:65 ピラトは言った。「あなたたちには、番兵がいるはずだ。行って、しっかりと見張らせるがよい。」
マタイ 27:66 そこで、彼らは行って墓の石に封印をし、番兵をおいた。
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28章
- ◆復活する
マタイ 28:1 さて、安息日が終わって、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリアともう一人のマリアが、墓を見に行った。
マタイ 28:2 すると、大きな地震が起こった。主の天使が天から降って近寄り、石をわきへ転がし、その上に座ったのである。
マタイ 28:3 その姿は稲妻のように輝き、衣は雪のように白かった。
マタイ 28:4 番兵たちは、恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった。
マタイ 28:5 天使は婦人たちに言った。「恐れることはない。十字架につけられたイエスを捜しているのだろうが、
マタイ 28:6 あの方は、ここにはおられない。かねて言われていたとおり、復活なさったのだ。さあ、遺体の置いてあった場所を見なさい。
マタイ 28:7 それから、急いで行って弟子たちにこう告げなさい。『あの方は死者の中から復活された。そして、あなたがたより先にガリラヤに行かれる。そこでお目にかかれる。』確かに、あなたがたに伝えました。」
マタイ 28:8 婦人たちは、恐れながらも大いに喜び、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。
マタイ 28:9 すると、イエスが行く手に立っていて、「おはよう」と言われたので、婦人たちは近寄り、イエスの足を抱き、その前にひれ伏した。
マタイ 28:10 イエスは言われた。「恐れることはない。行って、わたしの兄弟たちにガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会うことになる。」
◆番兵、報告する
マタイ 28:11 婦人たちが行き着かないうちに、数人の番兵は都に帰り、この出来事をすべて祭司長たちに報告した。
マタイ 28:12 そこで、祭司長たちは長老たちと集まって相談し、兵士たちに多額の金を与えて、
マタイ 28:13 言った。「『弟子たちが夜中にやって来て、我々の寝ている間に死体を盗んで行った』と言いなさい。
マタイ 28:14 もしこのことが総督の耳に入っても、うまく総督を説得して、あなたがたには心配をかけないようにしよう。」
マタイ 28:15 兵士たちは金を受け取って、教えられたとおりにした。この話は、今日に至るまでユダヤ人の間に広まっている。
◆弟子たちを派遣する
マタイ 28:16 さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行き、イエスが指示しておかれた山に登った。
マタイ 28:17 そして、イエスに会い、ひれ伏した。しかし、疑う者もいた。
マタイ 28:18 イエスは、近寄って来て言われた。「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。
マタイ 28:19 だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、
マタイ 28:20 あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」
底本に節が欠けている個所の異本による訳文
<マタイ 17:21> しかし、この種のものは、祈りと断食によらなければ出て行かない。
<マタイ 18:11> 人の子は、失われたものを救うために来た。
<マタイ 23:14> 律法学者とファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。やもめの家を食い物にし、見せかけの長い祈りをする。だからあなたたちは、人一倍厳しい裁きを受けることになる。
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