18 ヨブ記
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1章
ヨブ記 1:01ウツの地にヨブという人がいた。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きていた。
ヨブ記 1:02七人の息子と三人の娘を持ち、
ヨブ記 1:03羊七千匹、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭の財産があり、使用人も非常に多かった。彼は東の国一番の富豪であった。
ヨブ記 1:04息子たちはそれぞれ順番に、自分の家で宴会の用意をし、三人の姉妹も招いて食事をすることにしていた。
ヨブ記 1:05この宴会が一巡りするごとに、ヨブは息子たちを呼び寄せて聖別し、朝早くから彼らの数に相当するいけにえをささげた。「息子たちが罪を犯し、心の中で神を呪ったかもしれない」と思ったからである。ヨブはいつもこのようにした。
ヨブ記 1:06ある日、主の前に神の使いたちが集まり、サタンも来た。
ヨブ記 1:07主はサタンに言われた。「お前はどこから来た。」「地上を巡回しておりました。ほうぼうを歩きまわっていました」とサタンは答えた。
ヨブ記 1:08主はサタンに言われた。「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。」
ヨブ記 1:09サタンは答えた。「ヨブが、利益もないのに神を敬うでしょうか。
ヨブ記 1:10あなたは彼とその一族、全財産を守っておられるではありませんか。彼の手の業をすべて祝福なさいます。お陰で、彼の家畜はその地に溢れるほどです。
ヨブ記 1:11ひとつこの辺で、御手を伸ばして彼の財産に触れてごらんなさい。面と向かってあなたを呪うにちがいありません。」
ヨブ記 1:12主はサタンに言われた。「それでは、彼のものを一切、お前のいいようにしてみるがよい。ただし彼には、手を出すな。」サタンは主のもとから出て行った。
ヨブ記 1:13ヨブの息子、娘が、長兄の家で宴会を開いていた日のことである。
ヨブ記 1:14-15ヨブのもとに、一人の召使いが報告に来た。「御報告いたします。わたしどもが、牛に畑を耕させ、その傍らでろばに草を食べさせておりますと、シェバ人が襲いかかり、略奪していきました。牧童たちは切り殺され、わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
ヨブ記 1:15
ヨブ記 1:16彼が話し終らないうちに、また一人が来て言った。「御報告いたします。天から神の火が降って、羊も羊飼いも焼け死んでしまいました。わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
ヨブ記 1:17彼が話し終らないうちに、また一人来て言った。「御報告いたします。カルデア人が三部隊に分かれてらくだの群れを襲い、奪っていきました。牧童たちは切り殺され、わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
ヨブ記 1:18彼が話し終らないうちに、更にもう一人来て言った。「御報告いたします。御長男のお宅で、御子息、御息女の皆様が宴会を開いておられました。
ヨブ記 1:19すると、荒れ野の方から大風が来て四方から吹きつけ、家は倒れ、若い方々は死んでしまわれました。わたしひとりだけ逃げのびて参りました。」
ヨブ記 1:20ヨブは立ち上がり、衣を裂き、髪をそり落とし、地にひれ伏して言った。
ヨブ記 1:21「わたしは裸で母の胎を出た。裸でそこに帰ろう。主は与え、主は奪う。主の御名はほめたたえられよ。」
ヨブ記 1:22このような時にも、ヨブは神を非難することなく、罪を犯さなかった。
2章
ヨブ記 2:01またある日、主の前に神の使いたちが集まり、サタンも来て、主の前に進み出た。
ヨブ記 2:02主はサタンに言われた。「お前はどこから来た。」「地上を巡回しておりました。ほうぼうを歩きまわっていました」とサタンは答えた。
ヨブ記 2:03主はサタンに言われた。「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。お前は理由もなく、わたしを唆して彼を破滅させようとしたが、彼はどこまでも無垢だ。」
ヨブ記 2:04サタンは答えた。「皮には皮を、と申します。まして命のためには全財産を差し出すものです。
ヨブ記 2:05手を伸ばして彼の骨と肉に触れてごらんなさい。面と向かってあなたを呪うにちがいありません。」
ヨブ記 2:06主はサタンに言われた。「それでは、彼をお前のいいようにするがよい。ただし、命だけは奪うな。」
ヨブ記 2:07サタンは主の前から出て行った。サタンはヨブに手を下し、頭のてっぺんから足の裏までひどい皮膚病にかからせた。
ヨブ記 2:08ヨブは灰の中に座り、素焼きのかけらで体中をかきむしった。
ヨブ記 2:09彼の妻は、「どこまでも無垢でいるのですか。神を呪って、死ぬ方がましでしょう」と言ったが、
ヨブ記 2:10ヨブは答えた。「お前まで愚かなことを言うのか。わたしたちは、神から幸福をいただいたのだから、不幸もいただこうではないか。」このようになっても、彼は唇をもって罪を犯すことをしなかった。
ヨブ記 2:11さて、ヨブと親しいテマン人エリファズ、シュア人ビルダド、ナアマ人ツォファルの三人は、ヨブにふりかかった災難の一部始終を聞くと、見舞い慰めようと相談して、それぞれの国からやって来た。
ヨブ記 2:12遠くからヨブを見ると、それと見分けられないほどの姿になっていたので、嘆きの声をあげ、衣を裂き、天に向かって塵を振りまき、頭にかぶった。
ヨブ記 2:13彼らは七日七晩、ヨブと共に地面に座っていたが、その激しい苦痛を見ると、話しかけることもできなかった。
3章
ヨブ記 3:01やがてヨブは口を開き、自分の生まれた日を呪って、
ヨブ記 3:02言った。
ヨブ記 3:03わたしの生まれた日は消えうせよ。男の子をみごもったことを告げた夜も。
ヨブ記 3:04その日は闇となれ。神が上から顧みることなく光もこれを輝かすな。
ヨブ記 3:05暗黒と死の闇がその日を贖って取り戻すがよい。密雲がその上に立ちこめ昼の暗い影に脅かされよ。
ヨブ記 3:06闇がその夜をとらえその夜は年の日々に加えられず月の一日に数えられることのないように。
ヨブ記 3:07その夜は、はらむことなく喜びの声もあがるな。
ヨブ記 3:08日に呪いをかける者レビヤタンを呼び起こす力ある者がその日を呪うがよい。
ヨブ記 3:09その日には、夕べの星も光を失い待ち望んでも光は射さず曙のまばたきを見ることもないように。
ヨブ記 3:10その日が、わたしをみごもるべき腹の戸を閉ざさずこの目から労苦を隠してくれなかったから。
ヨブ記 3:11なぜ、わたしは母の胎にいるうちに死んでしまわなかったのか。せめて、生まれてすぐに息絶えなかったのか。
ヨブ記 3:12なぜ、膝があってわたしを抱き乳房があって乳を飲ませたのか。
ヨブ記 3:13それさえなければ、今は黙して伏し憩いを得て眠りについていたであろうに。
ヨブ記 3:14今は廃虚となった町々を築いた地の王や参議らと共に
ヨブ記 3:15金を蓄え、館を銀で満たした諸侯と共に。
ヨブ記 3:16なぜわたしは、葬り去られた流産の子光を見ない子とならなかったのか。
ヨブ記 3:17そこでは神に逆らう者も暴れ回ることをやめ疲れた者も憩いを得
ヨブ記 3:18捕われ人も、共にやすらぎ追い使う者の声はもう聞こえない。
ヨブ記 3:19そこには小さい人も大きい人も共にいて奴隷も主人から自由になる。
ヨブ記 3:20なぜ、労苦する者に光を賜り悩み嘆く者を生かしておかれるのか。
ヨブ記 3:21彼らは死を待っているが、死は来ない。地に埋もれた宝にもまさって死を探し求めているのに。
ヨブ記 3:22墓を見いだすことさえできれば喜び躍り、歓喜するだろうに。
ヨブ記 3:23行くべき道が隠されている者の前を神はなお柵でふさがれる。
ヨブ記 3:24日ごとのパンのように嘆きがわたしに巡ってくる。湧き出る水のようにわたしの呻きはとどまらない。
ヨブ記 3:25恐れていたことが起こった危惧していたことが襲いかかった。
ヨブ記 3:26静けさも、やすらぎも失い憩うこともできず、わたしはわななく。
4章
ヨブ記 4:01テマン人エリファズは話し始めた。
ヨブ記 4:02あえてひとこと言ってみよう。あなたを疲れさせるだろうが誰がものを言わずにいられようか。
ヨブ記 4:03あなたは多くの人を諭し力を失った手を強めてきた。
ヨブ記 4:04あなたの言葉は倒れる人を起こしくずおれる膝に力を与えたものだった。
ヨブ記 4:05だが、そのあなたの上に何事かふりかかるとあなたは弱ってしまう。それがあなたの身に及ぶと、おびえる。
ヨブ記 4:06神を畏れる生き方があなたの頼みではなかったのか。完全な道を歩むことがあなたの希望ではなかったのか。
ヨブ記 4:07考えてみなさい。罪のない人が滅ぼされ正しい人が絶たれたことがあるかどうか。
ヨブ記 4:08わたしの見てきたところでは災いを耕し、労苦を蒔く者が災いと労苦を収穫することになっている。
ヨブ記 4:09彼らは神の息によって滅び怒りの息吹によって消えうせる。
ヨブ記 4:10獅子がほえ、うなってもその子らの牙は折られてしまう。
ヨブ記 4:11雄が獲物がなくて滅びれば雌の子らはちりぢりにされる。
ヨブ記 4:12忍び寄る言葉がありわたしの耳はそれをかすかに聞いた。
ヨブ記 4:13夜の幻が人を惑わし深い眠りが人を包むころ
ヨブ記 4:14恐れとおののきが臨みわたしの骨はことごとく震えた。
ヨブ記 4:15風が顔をかすめてゆき身の毛がよだった。
ヨブ記 4:16何ものか、立ち止まったがその姿を見分けることはできなかった。ただ、目の前にひとつの形があり沈黙があり、声が聞こえた。
ヨブ記 4:17「人が神より正しくありえようか。造り主より清くありえようか。
ヨブ記 4:18神はその僕たちをも信頼せず御使いたちをさえ賞賛されない。
ヨブ記 4:19まして人は塵の中に基を置く土の家に住む者。しみに食い荒らされるように、崩れ去る。
ヨブ記 4:20日の出から日の入りまでに打ち砕かれ心に留める者もないままに、永久に滅び去る。
ヨブ記 4:21天幕の綱は引き抜かれ施すすべも知らず、死んでゆく。」
5章
ヨブ記 5:01呼んでみよあなたに答える者がいるかどうか。聖なるものをおいて、誰に頼ろうというのか。
ヨブ記 5:02愚か者は怒って自ら滅び無知な者はねたんで死に至る。
ヨブ記 5:03愚か者が根を張るのを見てわたしは直ちにその家を呪った。
ヨブ記 5:04「その子らは安全な境遇から遠ざけられ助ける者もなく町の門で打ち砕かれるがよい。
ヨブ記 5:05彼らの収穫は、飢えた人が食い尽くしその富は、渇いた人が飲み尽くしその財産は、やせ衰えた人が奪うがよい。」
ヨブ記 5:06塵からは、災いは出てこない。土からは、苦しみは生じない。
ヨブ記 5:07それなのに、人間は生まれれば必ず苦しむ。火花が必ず上に向かって飛ぶように。
ヨブ記 5:08わたしなら、神に訴え神にわたしの問題を任せるだろう。
ヨブ記 5:09計り難く大きな業を数知れぬ不思議な業を成し遂げられる方に。
ヨブ記 5:10神は地の面に雨を降らせ野に水を送ってくださる。
ヨブ記 5:11卑しめられている者を高く上げ嘆く者を安全な境遇に引き上げてくださる。
ヨブ記 5:12こざかしい者の企てを砕いて彼らの手の業が成功することを許されない。
ヨブ記 5:13知恵ある者はさかしさの罠にかかりよこしまな者はたくらんでも熟さない。
ヨブ記 5:14真昼にも、暗黒に出会い昼も、夜であるかのように手探りする。
ヨブ記 5:15神は貧しい人を剣の刃から権力者の手から救い出してくださる。
ヨブ記 5:16だからこそ、弱い人にも希望がある。不正はその口を閉ざすであろう。
ヨブ記 5:17見よ、幸いなのは神の懲らしめを受ける人。全能者の戒めを拒んではならない。
ヨブ記 5:18彼は傷つけても、包み打っても、その御手で癒してくださる。
ヨブ記 5:19六度苦難が襲っても、あなたを救い七度襲っても災いがあなたに触れないようにしてくださる。
ヨブ記 5:20飢饉の時には死から戦いの時には剣から助け出してくださる。
ヨブ記 5:21あなたは、陥れる舌からも守られている。略奪する者が襲っても恐怖を抱くことはない。
ヨブ記 5:22略奪や飢饉を笑っていられる。地の獣に恐怖を抱くこともない。
ヨブ記 5:23野の石とは契約を結び野の獣とは和解する。
ヨブ記 5:24あなたは知るだろうあなたの天幕は安全で牧場の群れを数えて欠けるもののないことを。
ヨブ記 5:25あなたは知るだろうあなたの子孫は増え一族は野の草のように茂ることを。
ヨブ記 5:26麦が実って収穫されるようにあなたは天寿を全うして墓に入ることだろう。
ヨブ記 5:27見よ、これが我らの究めたところ。これこそ確かだ。よく聞いて、悟るがよい。
6章
ヨブ記 6:01ヨブは答えた。
ヨブ記 6:02わたしの苦悩を秤にかけわたしを滅ぼそうとするものをすべて天秤に載せるなら
ヨブ記 6:03今や、それは海辺の砂よりも重いだろう。わたしは言葉を失うほどだ。
ヨブ記 6:04全能者の矢に射抜かれわたしの霊はその毒を吸う。神はわたしに対して脅迫の陣を敷かれた。
ヨブ記 6:05青草があるのに野ろばが鳴くだろうか。飼葉があるのに牛がうなるだろうか。
ヨブ記 6:06味のない物を塩もつけずに食べられようか。玉子の白身に味があろうか。
ヨブ記 6:07わたしのパンが汚れたもののようになればわたしの魂は触れることを拒むだろう。
ヨブ記 6:08神よ、わたしの願いをかなえ望みのとおりにしてください。
ヨブ記 6:09神よ、どうかわたしを打ち砕き御手を下し、滅ぼしてください。
ヨブ記 6:10仮借ない苦痛の中でもだえてもなお、わたしの慰めとなるのは聖なる方の仰せを覆わなかったということです。
ヨブ記 6:11わたしはなお待たなければならないのか。そのためにどんな力があるというのか。なお忍耐しなければならないのか。そうすればどんな終りが待っているのか。
ヨブ記 6:12わたしに岩のような力があるというのか。このからだが青銅のようだというのか。
ヨブ記 6:13いや、わたしにはもはや助けとなるものはない。力も奪い去られてしまった。
ヨブ記 6:14絶望している者にこそ友は忠実であるべきだ。さもないと全能者への畏敬を失わせることになる。
ヨブ記 6:15わたしの兄弟は流れのようにわたしを欺く。流れが去った後の川床のように。
ヨブ記 6:16流れは氷に暗く覆われることもあり雪が解けて流れることもある。
ヨブ記 6:17季節が変わればその流れも絶え炎暑にあえば、どこかへ消えてしまう。
ヨブ記 6:18そのために隊商は道に迷い混沌に踏み込んで道を失う。
ヨブ記 6:19テマの隊商はその流れを目当てにしシェバの旅人はそれに望みをかけて来るが
ヨブ記 6:20確信していたのに、裏切られそこまで来て、うろたえる。
ヨブ記 6:21今や、あなたたちもそのようになった。破滅を見て、恐れている。
ヨブ記 6:22わたしが言ったことがあろうか「頼む、わたしのためにあなたたちの財産を割いて
ヨブ記 6:23苦しめる者の手から救い出し暴虐な者の手からわたしを贖ってくれ」と。
ヨブ記 6:24間違っているなら分からせてくれ教えてくれれば口を閉ざそう。
ヨブ記 6:25率直な話のどこが困難なのか。あなたたちの議論は何のための議論なのか。
ヨブ記 6:26言葉数が議論になると思うのか。絶望した者の言うことを風にすぎないと思うのか。
ヨブ記 6:27あなたたちは孤児をすらくじで取り引きし友をさえ売り物にするのか。
ヨブ記 6:28だが今は、どうかわたしに顔を向けてくれ。その顔に、偽りは言わない。
ヨブ記 6:29考え直してくれ不正があってはならない。考え直してくれわたしの正しさが懸っているのだ。
ヨブ記 6:30わたしの舌に不正があろうかわたしの口は滅ぼすものをわきまえていないだろうか。
7章
ヨブ記 7:01この地上に生きる人間は兵役にあるようなもの。傭兵のように日々を送らなければならない。
ヨブ記 7:02奴隷のように日の暮れるのを待ち焦がれ傭兵のように報酬を待ち望む。
ヨブ記 7:03そうだわたしの嗣業はむなしく過ぎる月日。労苦の夜々が定められた報酬。
ヨブ記 7:04横たわればいつ起き上がれるのかと思い夜の長さに倦みいらだって夜明けを待つ。
ヨブ記 7:05肉は蛆虫とかさぶたに覆われ皮膚は割れ、うみが出ている。
ヨブ記 7:06わたしの一生は機の梭よりも速く望みもないままに過ぎ去る。
ヨブ記 7:07忘れないでくださいわたしの命は風にすぎないことを。わたしの目は二度と幸いを見ないでしょう。
ヨブ記 7:08わたしを見ている目は、やがてわたしを見失いあなたが目を注がれてもわたしはもういないでしょう。
ヨブ記 7:09密雲も薄れ、やがて消え去る。そのように、人も陰府に下ればもう、上ってくることはない。
ヨブ記 7:10再びその家に帰ることはなく住みかもまた、彼を忘れてしまう。
ヨブ記 7:11わたしも口を閉じてはいられない。苦悶のゆえに語り、悩み嘆いて訴えよう。
ヨブ記 7:12わたしは海の怪物なのか竜なのかわたしに対して見張りを置かれるとは。
ヨブ記 7:13「床に入れば慰めもあろう横たわれば嘆きも治まる」と思ったが
ヨブ記 7:14あなたは夢をもってわたしをおののかせ幻をもって脅かされる。
ヨブ記 7:15わたしの魂は息を奪われることを願い骨にとどまるよりも死を選ぶ。
ヨブ記 7:16もうたくさんだ、いつまでも生きていたくない。ほうっておいてくださいわたしの一生は空しいのです。
ヨブ記 7:17人間とは何なのか。なぜあなたはこれを大いなるものとしこれに心を向けられるのか。
ヨブ記 7:18朝ごとに訪れて確かめ絶え間なく調べられる。
ヨブ記 7:19いつまでもわたしから目をそらされない。唾を飲み込む間すらもほうっておいてはくださらない。
ヨブ記 7:20人を見張っている方よわたしが過ちを犯したとしてもあなたにとってそれが何だというのでしょう。なぜ、わたしに狙いを定められるのですか。なぜ、わたしを負担とされるのですか。
ヨブ記 7:21なぜ、わたしの罪を赦さず悪を取り除いてくださらないのですか。今や、わたしは横たわって塵に返る。あなたが捜し求めてもわたしはもういないでしょう。
8章
ヨブ記 8:01シュア人ビルダドは話し始めた。
ヨブ記 8:02いつまで、そんなことを言っているのか。あなたの口の言葉は激しい風のようだ。
ヨブ記 8:03神が裁きを曲げられるだろうか。全能者が正義を曲げられるだろうか。
ヨブ記 8:04あなたの子らが神に対して過ちを犯したからこそ彼らをその罪の手にゆだねられたのだ。
ヨブ記 8:05あなたが神を捜し求め全能者に憐れみを乞うなら
ヨブ記 8:06また、あなたが潔白な正しい人であるなら神は必ずあなたを顧みあなたの権利を認めてあなたの家を元どおりにしてくださる。
ヨブ記 8:07過去のあなたは小さなものであったが未来のあなたは非常に大きくなるであろう。
ヨブ記 8:08過去の世代に尋ねるがよい。父祖の究めたところを確かめてみるがよい。
ヨブ記 8:09わたしたちはほんの昨日からの存在で何も分かってはいないのだから。地上での日々は影にすぎない。
ヨブ記 8:10父祖はあなたを教え導き心に悟ったところから語りかけるであろう。
ヨブ記 8:11沼地でもない所で、パピルスが育とうか水もないところで葦が茂ろうか。
ヨブ記 8:12芽を出すや否や、切られもしないのにどんな草よりも早く枯れる。
ヨブ記 8:13すべて神を忘れる者の道はこのようだ。神を無視する者の望みは消えうせ
ヨブ記 8:14頼みの綱は断ち切られる。よりどころはくもの巣のようなもの。
ヨブ記 8:15家によりかかっても家はそれに堪えずすがりついてもそれは立ちえない。
ヨブ記 8:16水があれば葦は太陽にも負けず園に若枝を芽生えさせる。
ヨブ記 8:17根を石にまつわらせその石と石の奥にまで入り込み
ヨブ記 8:18その場所では呑み込まれたようでもお前など知らない、と拒まれても
ヨブ記 8:19葦は、生き生きと道を探ほかの土から芽を出す。
ヨブ記 8:20そのように、無垢な人を退けることもせず悪を行う者の手を取って支えることもなさらない神は
ヨブ記 8:21なお、あなたの口に笑いを満たしあなたの唇に歓びの叫びを与えてくださる。
ヨブ記 8:22あなたを憎む者は恥を被り神に逆らう者の天幕は消えうせるであろう。
9章
ヨブ記 9:01ヨブは答えた。
ヨブ記 9:02それは確かにわたしも知っている。神より正しいと主張できる人間があろうか。
ヨブ記 9:03神と論争することを望んだとしても千に一つの答えも得られないだろう。
ヨブ記 9:04御心は知恵に満ち、力に秀でておられる。神に対して頑になりながらなお、無傷でいられようか。
ヨブ記 9:05神は山をも移される。怒りによって山を覆されるのだと誰が知ろう。
ヨブ記 9:06神は大地をその立つ所で揺り動かし地の柱は揺らぐ。
ヨブ記 9:07神が禁じられれば太陽は昇らず星もまた、封じ込められる。
ヨブ記 9:08神は自ら天を広げ、海の高波を踏み砕かれる。
ヨブ記 9:09神は北斗やオリオンをすばるや、南の星座を造られた。
ヨブ記 9:10神は計り難く大きな業を数知れぬ不思議な業を成し遂げられる。
ヨブ記 9:11神がそばを通られてもわたしは気づかず過ぎ行かれてもそれと悟らない。
ヨブ記 9:12神が奪うのに誰が取り返せよう。「何をするのだ」と誰が言いえよう。
ヨブ記 9:13神は怒りを抑えられることなくラハブに味方する者も神の足もとにひれ伏すであろう。
ヨブ記 9:14わたしのようなものがどうして神に答え神に対して言うべき言葉を選び出せよう。
ヨブ記 9:15わたしの方が正しくても、答えることはできずわたしを裁く方に憐れみを乞うだけだ。
ヨブ記 9:16しかし、わたしが呼びかけても返事はなさるまい。わたしの声に耳を傾けてくださるとは思えない。
ヨブ記 9:17神は髪の毛一筋ほどのことでわたしを傷つけ理由もなくわたしに傷を加えられる。
ヨブ記 9:18息つく暇も与えず、苦しみに苦しみを加えられる。
ヨブ記 9:19力に訴えても、見よ、神は強い。正義に訴えても証人となってくれるものはいない。
ヨブ記 9:20わたしが正しいと主張しているのに口をもって背いたことにされる。無垢なのに、曲がった者とされる。
ヨブ記 9:21無垢かどうかすら、もうわたしは知らない。生きていたくない。
ヨブ記 9:22だからわたしは言う、同じことなのだ、と神は無垢な者も逆らう者も同じように滅ぼし尽くされる、と。
ヨブ記 9:23罪もないのに、突然、鞭打たれ殺される人の絶望を神は嘲笑う。
ヨブ記 9:24この地は神に逆らう者の手にゆだねられている。神がその裁判官の顔を覆われたのだ。ちがうというなら、誰がそうしたのか。
ヨブ記 9:25わたしの人生の日々は飛脚よりも速く飛び去り幸せを見ることはなかった。
ヨブ記 9:26葦の小舟に乗せられたかのように流れ去り獲物を襲う鷲のように速い。
ヨブ記 9:27嘆きを忘れようこの有様を離れて立ち直りたいと言ってみても
ヨブ記 9:28苦しみの一つ一つがわたしに危惧を抱かせ無罪と認めてもらえないことがよく分かる。
ヨブ記 9:29わたしは必ず罪ありとされるのだ。なぜ、空しく労することがあろうか。
ヨブ記 9:30雪解け水でからだを洗い灰汁で手を清めても
ヨブ記 9:31あなたはわたしを汚物の中に沈め着ているものさえわたしにはいとわしい。
ヨブ記 9:32このように、人間ともいえないような者だわたしはなお、あの方に言い返したい。あの方と共に裁きの座に出ることができるなら
ヨブ記 9:33あの方とわたしの間を調停してくれる者仲裁する者がいるなら
ヨブ記 9:34わたしの上からあの方の杖を取り払ってくれるものがあるならその時には、あの方の怒りに脅かされることなく
ヨブ記 9:35恐れることなくわたしは宣言するだろうわたしは正当に扱われていない、と。
10章
ヨブ記 10:01わたしの魂は生きることをいとう。嘆きに身をゆだね、悩み嘆いて語ろう。
ヨブ記 10:02神にこう言おう。「わたしに罪があると言わないでください。なぜわたしと争われるのかを教えてください。
ヨブ記 10:03手ずから造られたこのわたしを虐げ退けてあなたに背く者のたくらみには光を当てられる。それでいいのでしょうか。
ヨブ記 10:04あなたも肉の目を持ち人間と同じ見方をなさるのですか。
ヨブ記 10:05人間同様に一生を送り男の一生に似た歳月を送られるのですか。
ヨブ記 10:06なぜわたしをとがめ立てし過ちを追及なさるのですか
ヨブ記 10:07わたしが背く者ではないと知りながらあなたの手からわたしを救いうる者はないと知りながら。
ヨブ記 10:08御手をもってわたしを形づくってくださったのにあなたはわたしを取り巻くすべてのものをもわたしをも、呑み込んでしまわれる。
ヨブ記 10:09心に留めてください土くれとしてわたしを造り塵に戻されるのだということを。
ヨブ記 10:10あなたはわたしを乳のように注ぎ出しチーズのように固め
ヨブ記 10:11骨と筋を編み合わせそれに皮と肉を着せてくださった。
ヨブ記 10:12わたしに命と恵みを約束しあなたの加護によってわたしの霊は保たれていました。
ヨブ記 10:13しかし、あなたの心に隠しておられたことが今、わたしに分かりました。
ヨブ記 10:14もし過ちを犯そうものならあなたはそのわたしに目をつけ悪から清めてはくださらないのです。
ヨブ記 10:15逆らおうものなら、わたしは災いを受け正しくても、頭を上げることはできず辱めに飽き、苦しみを見ています。
ヨブ記 10:16わたしが頭をもたげようものならあなたは獅子のように襲いかかり繰り返し、わたしを圧倒し
ヨブ記 10:17わたしに対して次々と証人を繰り出しいよいよ激しく怒り新たな苦役をわたしに課せられます。
ヨブ記 10:18なぜ、わたしを母の胎から引き出したのですか。わたしなど、だれの目にも止まらぬうちに死んでしまえばよかったものを。
ヨブ記 10:19あたかも存在しなかったかのように母の胎から墓へと運ばれていればよかったのに。
ヨブ記 10:20わたしの人生など何ほどのこともないのです。わたしから離れ去り、立ち直らせてください。
ヨブ記 10:21二度と帰って来られない暗黒の死の闇の国にわたしが行ってしまう前に。
ヨブ記 10:22その国の暗さは全くの闇で死の闇に閉ざされ、秩序はなく闇がその光となるほどなのだ。」
11章
ヨブ記 11:01ナアマ人ツォファルは話し始めた。
ヨブ記 11:02これだけまくし立てられては答えないわけにいくまい。口がうまければそれで正しいと認められるだろうか。
ヨブ記 11:03あなたの無駄口が人々を黙らせるだろうか。嘲りの言葉を吐いて恥をかかずに済むだろうか。
ヨブ記 11:04あなたは言う。「わたしの主張は正しい。あなたの目にもわたしは潔白なはずだ」と。
ヨブ記 11:05しかし、神があなたに対して唇を開き何と言われるか聞きたいものだ。
ヨブ記 11:06神が隠しておられるその知恵をその二重の効果をあなたに示されたならあなたの罪の一部を見逃していてくださったとあなたにも分かるだろう。
ヨブ記 11:07あなたは神を究めることができるか。全能者の極みまでも見ることができるか。
ヨブ記 11:08高い天に対して何ができる。深い陰府について何が分かる。
ヨブ記 11:09神は地の果てよりも遠く海原よりも広いのに。
ヨブ記 11:10神が傍らに来て捕え、集めるなら誰が取り返しえようか。
ヨブ記 11:11神は偽る者を知っておられる。悪を見て、放置されることはない。
ヨブ記 11:12生まれたときには人間もろばの子のようなものだ。しかし、愚かな者も賢くなれる。
ヨブ記 11:13もし、あなたも正しい方向に思いをはせ神に向かって手を伸べるなら
ヨブ記 11:14また、あなたの手からよこしまなことを遠ざけあなたの天幕に不正をとどめないなら
ヨブ記 11:15その時こそあなたは晴れ晴れと顔を上げ、動ずることなく恐怖を抱くこともないだろう。
ヨブ記 11:16その時、あなたは労苦を忘れそれを流れ去った水のように思うだろう。
ヨブ記 11:17人生は真昼より明るくなる。暗かったが、朝のようになるだろう。
ヨブ記 11:18希望があるので安心していられる。安心して横たわるために、自分のねぐらを掘り
ヨブ記 11:19うずくまって眠れば、脅かす者はない。多くの人があなたの好意を求める。
ヨブ記 11:20だが、神に逆らう者の目はかすむ。逃れ場を失って希望は最後の息を吐くように絶える。
12章
ヨブ記 12:01ヨブは答えた。
ヨブ記 12:02確かにあなたたちもひとかどの民。だが、死ねばあなたたちの知恵も死ぬ。
ヨブ記 12:03あなたたち同様、わたしにも心がありあなたたちに劣ってはいない。だれにもそのくらいの力はある。
ヨブ記 12:04神に呼びかけて答えていただいたこともある者が友人たちの物笑いの種になるのか。神に従う無垢な人間が物笑いの種になるのか。
ヨブ記 12:05人の不幸を笑い、よろめく足を嘲ってよいと安穏に暮らす者は思い込んでいるのだ。
ヨブ記 12:06略奪者の天幕は栄え神を怒らせる者神さえ支配しようとする者は安泰だ。
ヨブ記 12:07獣に尋ねるがよい、教えてくれるだろう。空の鳥もあなたに告げるだろう。
ヨブ記 12:08大地に問いかけてみよ、教えてくれるだろう。海の魚もあなたに語るだろう。
ヨブ記 12:09彼らはみな知っている。主の御手がすべてを造られたことを。
ヨブ記 12:10すべての命あるものは、肉なる人の霊も御手の内にあることを。
ヨブ記 12:11耳は言葉を聞き分け口は食べ物を味わうではないか。
ヨブ記 12:12知恵は老いた者と共にあり分別は長く生きた者と共にあるというが
ヨブ記 12:13神と共に知恵と力はあり神と共に思慮分別もある。
ヨブ記 12:14神が破壊したものは建て直されることなく閉じ込められた人は解放されることがない。
ヨブ記 12:15神が水を止めれば干ばつとなり水を放てば地の姿は変わる。
ヨブ記 12:16力も策も神と共にあり迷うこと、迷わせることも神による。
ヨブ記 12:17神は参議をはだしで行かせ裁判官を狂いまわらせ
ヨブ記 12:18王の権威を解き腰の帯をもって彼らをつながれる。
ヨブ記 12:19祭司をはだしで行かせ地位ある者をその地位から引き降ろされる。
ヨブ記 12:20信任厚い者の口を閉ざし長老の判断を失わせ
ヨブ記 12:21自由な者に嘲りを浴びせかけ強い者の帯を断ち切られる。
ヨブ記 12:22神は暗黒の深い底をあらわにし死の闇を光に引き出される。
ヨブ記 12:23国々を興し、また滅ぼし国々を広げ、また限られる。
ヨブ記 12:24この地の民の頭たちを混乱に陥れ道もなく茫漠としたさかいをさまよわせられる。
ヨブ記 12:25光もなく、彼らは闇に手探りし酔いしれたかのように、さまよう。
13章
ヨブ記 13:01そんなことはみな、わたしもこの目で見この耳で聞いて、よく分かっている。
ヨブ記 13:02あなたたちの知っていることぐらいはわたしも知っている。あなたたちに劣ってはいない。
ヨブ記 13:03わたしが話しかけたいのは全能者なのだ。わたしは神に向かって申し立てたい。
ヨブ記 13:04あなたたちは皆、偽りの薬を塗る役に立たない医者だ。
ヨブ記 13:05どうか黙ってくれ黙ることがあなたたちの知恵を示す。
ヨブ記 13:06わたしの議論を聞きこの唇の訴えに耳を傾けてくれ。
ヨブ記 13:07神に代わったつもりで、あなたたちは不正を語り欺いて語るのか。
ヨブ記 13:08神に代わったつもりで論争するのか。そんなことで神にへつらおうというのか。
ヨブ記 13:09人を侮るように神を侮っているが神に追及されてもよいのか。
ヨブ記 13:10たとえひそかにでも、へつらうなら神は告発されるであろう。
ヨブ記 13:11その威厳は、あなたたちを脅かし恐れがふりかかるであろう。
ヨブ記 13:12あなたたちの主張は灰の格言弁護は土くれの盾にすぎない。
ヨブ記 13:13黙ってくれ、わたしに話させてくれ。どんなことがふりかかって来てもよい。
ヨブ記 13:14たとえこの身を自分の歯にかけ魂を自分の手に置くことになってもよい。
ヨブ記 13:15そうだ、神はわたしを殺されるかもしれない。だが、ただ待ってはいられない。わたしの道を神の前に申し立てよう。
ヨブ記 13:16このわたしをこそ神は救ってくださるべきではないか。神を無視する者なら御前に出るはずはないではないか。
ヨブ記 13:17よく聞いてくれ、わたしの言葉を。わたしの言い分に耳を傾けてくれ。
ヨブ記 13:18見よ、わたしは訴えを述べる。わたしは知っている、わたしが正しいのだ。
ヨブ記 13:19わたしのために争ってくれる者があればもはや、わたしは黙って死んでもよい。
ヨブ記 13:20ただ、やめていただきたいことが二つあります御前から逃げ隠れはいたしませんから。
ヨブ記 13:21わたしの上から御手を遠ざけてください。御腕をもって脅かすのをやめてください。
ヨブ記 13:22そして、呼んでください、お答えします。わたしに語らせてください、返事をしてください。
ヨブ記 13:23罪と悪がどれほどわたしにあるのでしょうか。わたしの罪咎を示してください。
ヨブ記 13:24なぜ、あなたは御顔を隠しわたしを敵と見なされるのですか。
ヨブ記 13:25風に舞う木の葉のようなわたしをなお震えさせ乾いたもみ殻のようなわたしを追いまわされる。
ヨブ記 13:26わたしに対して苦い定めを書き記し若い日の罪をも今なお負わせられる。
ヨブ記 13:27わたしに足枷をはめ、行く道を見張り続け一歩一歩の跡を刻みつけておかれる。
ヨブ記 13:28このようにされればだれでもしみに食われた衣のようになり朽ち果てるほかはありません。
14章
ヨブ記 14:01人は女から生まれ、人生は短く苦しみは絶えない。
ヨブ記 14:02花のように咲き出ては、しおれ影のように移ろい、永らえることはない。
ヨブ記 14:03あなたが御目を開いて見ておられるのはこのような者なのです。このようなわたしをあなたに対して裁きの座に引き出されるのですか。
ヨブ記 14:04汚れたものから清いものを引き出すことができましょうか。だれひとりできないのです。
ヨブ記 14:05人生はあなたが定められたとおり月日の数もあなた次第。あなたの決定されたことを人は侵せない。
ヨブ記 14:06御目をこのような人間からそらせてください。彼の命は絶え傭兵のようにその日を喜ぶでしょう。
ヨブ記 14:07木には希望がある、というように木は切られても、また新芽を吹き若枝の絶えることはない。
ヨブ記 14:08地におろしたその根が老い幹が朽ちて、塵に返ろうとも
ヨブ記 14:09水気にあえば、また芽を吹き苗木のように枝を張る。
ヨブ記 14:10だが、人間は死んで横たわる。息絶えれば、人はどこに行ってしまうのか。
ヨブ記 14:11海の水が涸れ川の流れが尽きて干上がることもあろう。
ヨブ記 14:12だが、倒れ伏した人間は再び立ち上がることな天の続くかぎりはその眠りから覚めることがない。
ヨブ記 14:13どうか、わたしを陰府に隠してください。あなたの怒りがやむときまでわたしを覆い隠してください。しかし、時を定めてくださいわたしを思い起こす時を。
ヨブ記 14:14人は死んでしまえばもう生きなくてもよいのです。苦役のようなわたしの人生ですから交替の時が来るのをわたしは待ち望んでいます。
ヨブ記 14:15呼んでください、わたしはお答えします。御手の業であるわたしを尋ね求めてください。
ヨブ記 14:16その時には、わたしの歩みを数えてください。わたしの過ちにもはや固執することなく
ヨブ記 14:17わたしの罪を袋の中に封じ込めわたしの悪を塗り隠してください。
ヨブ記 14:18しかし、山が崩れ去り岩がその場から移され
ヨブ記 14:19水が石を打ち砕き大地が塵となって押し流される時が来ても人の望みはあなたに絶たれたままだ。
ヨブ記 14:20あなたは人をいつまでも攻め、追いやられる。あなたは彼の顔かたちを変えて、追い払われる。
ヨブ記 14:21その子らが名誉を得ても、彼は知ることなく彼らが不幸になっても、もう悟らない。
ヨブ記 14:22彼はひとり、その肉の痛みに耐え魂の嘆きを忍ぶだけだ。
15章
ヨブ記 15:01テマン人エリファズは答えた。
ヨブ記 15:02知恵ある者が空虚な意見を述べたりその腹を東風で満たしたりするであろうか。
ヨブ記 15:03無益な言葉をもって論じたり役に立たない論議を重ねたりするであろうか。
ヨブ記 15:04あなたは神を畏れ敬うことを捨て嘆き訴えることをやめた。
ヨブ記 15:05あなたの口は罪に導かれて語り舌はこざかしい論法を選ぶ。
ヨブ記 15:06あなたを罪に定めるのはわたしではなくあなた自身の口だ。あなたの唇があなたに不利な答えをするのだ。
ヨブ記 15:07あなたは最初の人間として生まれたのか。山より先に生まれたのか。
ヨブ記 15:08神の奥義を聞き知恵を自分のものとしたのか。
ヨブ記 15:09あなたの知っていることでわたしたちの知らないことがあろうか。わたしたちには及びもつかないことをあなたが悟れるというのか。
ヨブ記 15:10わたしたちの中には白髪の老人もありあなたの父より年上の者もある。
ヨブ記 15:11神の慰めなどは取るに足らない優しい言葉は役に立たない、というのか。
ヨブ記 15:12なぜ、あなたは取り乱すのか。なぜ、あなたの目つきはいらだっているのか。
ヨブ記 15:13神に向かって憤りを返しそんな言葉を口に出すとは何事か。
ヨブ記 15:14どうして、人が清くありえよう。どうして、女から生まれた者が正しくありえよう。
ヨブ記 15:15神は聖なる人々をも信頼なさらず天すら、神の目には清くない。
ヨブ記 15:16まして人間は、水を飲むように不正を飲む者憎むべき汚れた者なのだ。
ヨブ記 15:17あなたに語ろう、聞きなさい。わたしに示されたことを告げよう。
ヨブ記 15:18それは賢者たちの示したところそれを彼らの父祖も隠さなかった。
ヨブ記 15:19これらの父祖にのみ、この地は与えられており異国の者が侵すことはなかった。
ヨブ記 15:20さて、悪人の一生は不安に満ち暴虐な者の生きる年数も限られている。
ヨブ記 15:21その耳には恐ろしい騒音が響く。平安のさなかに略奪者が彼を襲うのだ。
ヨブ記 15:22暗黒を逃れうるとはもう信じられない。彼の前には剣が待つのみだ。
ヨブ記 15:23彼はパンを求めてどことも知らずにさまよい暗黒の訪れる時が間近いことを知る。
ヨブ記 15:24苦しみと悩みが彼を脅かし戦いを挑む王のように攻めかかる。
ヨブ記 15:25彼は神に手向かい全能者に対して傲慢にふるまい
ヨブ記 15:26厚い盾をかざして頑に神に向かって突進した。
ヨブ記 15:27顔は脂ぎって腰にはぜい肉がついていたが
ヨブ記 15:28滅ぼされた町、無人となった家瓦礫となる運命にある所に彼は住まねばならないであろう。
ヨブ記 15:29再び富むことなく、力も永らえずその家畜は地に広がらない。
ヨブ記 15:30彼は暗黒から逃れられない。熱風がその若枝を枯ら神の口の息が吹き払う。
ヨブ記 15:31惑わされてむなしいものを信じるな。その報いはむなしい。
ヨブ記 15:32時が来る前に枯枝はその緑を失う。
ヨブ記 15:33未熟な実を荒らされるぶどうの木花を落とすオリーブの木のようになる。
ヨブ記 15:34神を無視する者の一族に子は生まれず賄賂を好む者の天幕は火に焼き尽くされる。
ヨブ記 15:35彼は苦しみをはらみ、災いを生む。その腹は欺きをはぐくむ。
16章
ヨブ記 16:01ヨブは答えた。
ヨブ記 16:02そんなことを聞くのはもうたくさんだ。あなたたちは皆、慰める振りをして苦しめる。
ヨブ記 16:03「無駄口はやめよ」とか「何にいらだってそんな答えをするのか」と言う。
ヨブ記 16:04わたしがあなたたちの立場にあったならそのようなことを言っただろうか。あなたたちに対して多くの言葉を連ねあなたたちに向かって頭を振り
ヨブ記 16:05口先で励まし唇を動かすことをやめなかっただろうか。
ヨブ記 16:06語っても苦しみはやまず黙っていても、それは去りません。
ヨブ記 16:07もう、わたしは疲れ果てました。わたしの一族をあなたは圧倒し
ヨブ記 16:08わたしを絞り上げられます。このわたしの姿が証人となりわたしに代わって抗議するでしょう。
ヨブ記 16:09神がわたしを餌食として、怒りを表されたので敵はわたしを憎んで牙をむき、鋭い目を向ける。
ヨブ記 16:10彼らは大口を開けて嘲笑い頬を打って侮辱し一団となってわたしに向かって来る。
ヨブ記 16:11神は悪を行う者にわたしを引き渡し神に逆らう者の手に任せられた。
ヨブ記 16:12平穏に暮らしていたわたしを神は打ち砕き首を押さえて打ち据え的として立て
ヨブ記 16:13弓を射る者に包囲させられた。彼らは容赦なく、わたしのはらわたを射抜き胆汁は地に流れ出た。
ヨブ記 16:14神は戦士のように挑みかかりわたしを打ち破り、なお打ち破る。
ヨブ記 16:15わたしは粗布を肌に縫い付けわたしの角と共に塵の中に倒れ伏した。
ヨブ記 16:16泣きはらした顔は赤く死の闇がまぶたのくまどりとなった。
ヨブ記 16:17わたしの手には不法もなくわたしの祈りは清かったのに。
ヨブ記 16:18大地よ、わたしの血を覆うなわたしの叫びを閉じ込めるな。
ヨブ記 16:19このような時にも、見よ天にはわたしのために証人があり高い天にはわたしを弁護してくださる方がある。
ヨブ記 16:20わたしのために執り成す方、わたしの友神を仰いでわたしの目は涙を流す。
ヨブ記 16:21人とその友の間を裁くように神が御自分とこの男の間を裁いてくださるように。
ヨブ記 16:22僅かな年月がたてばわたしは帰らぬ旅路に就くのだから。
17章
ヨブ記 17:01息は絶え、人生の日は尽きる。わたしには墓があるばかり。
ヨブ記 17:02人々はなお、わたしを嘲りわたしの目は夜通し彼らの敵意を見ている。
ヨブ記 17:03あなた自ら保証人となってください。ほかの誰がわたしの味方をしてくれましょう。
ヨブ記 17:04彼らの心を覆って目覚めることのないようにし彼らを高く上げないでください。
ヨブ記 17:05「利益のために友を裏切れば子孫の目がつぶれる。」
ヨブ記 17:06この格言はわたしのことだと人は言う。わたしは顔につばきされる者。
ヨブ記 17:07目は苦悩にかすみ手足はどれも影のようだ。
ヨブ記 17:08正しい人よ、これに驚け。罪のない人よ神を無視する者に対して奮い立て。
ヨブ記 17:09神に従う人はその道を守り手の清い人は更に勇気をもて。
ヨブ記 17:10あなたたちは皆、再び集まって来るがよい。あなたたちの中に知恵ある者はいないのか。
ヨブ記 17:11わたしの人生は過ぎ去りわたしの計画も心の願いも失われた。
ヨブ記 17:12夜は昼となり暗黒の後に光が近づくと人は言うが
ヨブ記 17:13わたしは陰府に自分のための家を求めその暗黒に寝床を整えた。
ヨブ記 17:14墓穴に向かって「あなたはわたしの父」と言い蛆虫に向かって「わたしの母、姉妹」と言う。
ヨブ記 17:15どこになお、わたしの希望があるのか。誰がわたしに希望を見せてくれるのか。
ヨブ記 17:16それはことごとく陰府に落ちた。すべては塵の上に横たわっている。
18章
ヨブ記 18:01シュア人ビルダドは答えた。
ヨブ記 18:02いつまで言葉の罠の掛け合いをしているのか。まず理解せよ、それから話し合おうではないか。
ヨブ記 18:03なぜ、わたしたちを獣のように見なすのか。その目に愚か者とするのか。
ヨブ記 18:04怒りによって自らを引き裂く者よあなたのために地が見捨てられ岩がその場所から移されるだろうか。
ヨブ記 18:05神に逆らう者の灯はやがて消えその火の炎はもはや輝かず
ヨブ記 18:06その天幕の灯は暗黒となり彼を照らす光は消える。
ヨブ記 18:07彼の力強い歩みも弱まり自分自身の策略に倒れる。
ヨブ記 18:08足は網に捕えられ落とし穴に踏み込む。
ヨブ記 18:09かかとは罠にかかり仕掛けられた網に捕まる。
ヨブ記 18:10綱が地に隠されて張り巡らされ行く道に仕掛けが待ち伏せている。
ヨブ記 18:11破滅が四方から彼を脅かし彼の足を追い立てる。
ヨブ記 18:12その子は飢え妻は災いに遭う。
ヨブ記 18:13死の初子が彼の肢体をむしばみその手足をむしばむ。
ヨブ記 18:14彼はよりどころとする天幕から引き出され破滅の王に向かって一歩一歩引き寄せられる。
ヨブ記 18:15彼の天幕には他人が住みその住みかには硫黄がまかれる。
ヨブ記 18:16下ではその根が枯れ上では枝がしおれる。
ヨブ記 18:17彼の思い出は地上から失われその名はもう地の面にはない。
ヨブ記 18:18彼は光から暗黒へと追いやられこの世から追放される。
ヨブ記 18:19子孫はその民の内に残らず住んだ所には何ひとつ残らない。
ヨブ記 18:20未来の人々は彼の運命に慄然とし過去になった人々すら身の毛のよだつ思いをする。
ヨブ記 18:21ああ、これが不正を行った者の住まいこれが神を知らぬ者のいた所か、と。
19章
ヨブ記 19:01ヨブは答えた。
ヨブ記 19:02どこまであなたたちはわたしの魂を苦しめ言葉をもってわたしを打ち砕くのか。
ヨブ記 19:03侮辱はもうこれで十分だ。わたしを虐げて恥ずかしくないのか。
ヨブ記 19:04わたしが過ちを犯したのが事実だとしてもその過ちはわたし個人にとどまるのみだ。
ヨブ記 19:05ところが、あなたたちはわたしの受けている辱めを誇張して論難しようとする。
ヨブ記 19:06それならば、知れ。神がわたしに非道なふるまいをしわたしの周囲に砦を巡らしていることを。
ヨブ記 19:07だから、不法だと叫んでも答えはなく救いを求めても、裁いてもらえないのだ。
ヨブ記 19:08神はわたしの道をふさいで通らせず行く手に暗黒を置かれた。
ヨブ記 19:09わたしの名誉を奪い頭から冠を取り去られた。
ヨブ記 19:10四方から攻められてわたしは消え去る。木であるかのように希望は根こそぎにされてしまった。
ヨブ記 19:11神はわたしに向かって怒りを燃やしわたしを敵とされる。
ヨブ記 19:12その軍勢は結集し襲おうとして道を開きわたしの天幕を囲んで陣を敷いた。
ヨブ記 19:13神は兄弟をわたしから遠ざけ知人を引き離した。
ヨブ記 19:14親族もわたしを見捨て友だちもわたしを忘れた。
ヨブ記 19:15わたしの家に身を寄せている男や女すらわたしをよそ者と見なし、敵視する。
ヨブ記 19:16僕を呼んでも答えずわたしが彼に憐れみを乞わなければならない。
ヨブ記 19:17息は妻に嫌われ子供にも憎まれる。
ヨブ記 19:18幼子もわたしを拒みわたしが立ち上がると背を向ける。
ヨブ記 19:19親友のすべてに忌み嫌われ愛していた人々にも背かれてしまった。
ヨブ記 19:20骨は皮膚と肉とにすがりつき皮膚と歯ばかりになってわたしは生き延びている。
ヨブ記 19:21憐れんでくれ、わたしを憐れんでくれ神の手がわたしに触れたのだ。あなたたちはわたしの友ではないか。
ヨブ記 19:22なぜ、あなたたちまで神と一緒になってわたしを追い詰めるのか。肉を打つだけでは足りないのか。ヨブ記 19:23どうかわたしの言葉が書き留められるように碑文として刻まれるように。
ヨブ記 19:24たがねで岩に刻まれ、鉛で黒々と記されいつまでも残るように。
ヨブ記 19:25わたしは知っているわたしを贖う方は生きておられついには塵の上に立たれるであろう。
ヨブ記 19:26この皮膚が損なわれようともこの身をもってわたしは神を仰ぎ見るであろう。
ヨブ記 19:27このわたしが仰ぎ見るほかならぬこの目で見る。腹の底から焦がれ、はらわたは絶え入る。
ヨブ記 19:28「我々が彼を追い詰めたりするだろうか」とあなたたちは言う。この有様の根源がわたし自身にあるとあなたたちは言う。
ヨブ記 19:29あなたたちこそ、剣を危惧せよ。剣による罰は厳しい。裁きのあることを知るがよい。
20章
ヨブ記 20:01ナアマ人ツォファルは答えた。
ヨブ記 20:02さまざまな思いがわたしを興奮させるのでわたしは反論せざるをえない。
ヨブ記 20:03あなたの説はわたしに対する非難と聞こえる。明らかにすることを望んで、答えよう。
ヨブ記 20:04あなたも知っているだろうが昔、人が地上に置かれたときから
ヨブ記 20:05神に逆らう者の喜びは、はかなく神を無視する者の楽しみは、つかの間にすぎない。
ヨブ記 20:06たとえ彼が天に達するほど頭が雲に達するほど上って行っても
ヨブ記 20:07自分の汚物と同様、永久に失われ探す者は、「どこへ行ってしまったのか」と言わなければならなくなる。
ヨブ記 20:08夢のように飛び去り夜の幻のように消えうせだれも見いだすことはないだろう。
ヨブ記 20:09彼を見ていた目はもう彼を見ることなく彼のいた所も二度と彼を見ない。
ヨブ記 20:10その子らは貧しい人々に償いをし子孫は奪った富を返済しなければならない。
ヨブ記 20:11若さがその骨に溢れていたがそれも彼と共に塵の上に伏すことになろう。
ヨブ記 20:12悪が口に甘いからと舌で抑えて隠しておき
ヨブ記 20:13惜しんで吐き出さず口の中に含んでいれば
ヨブ記 20:14そのパンは胃の中に入ってコブラの毒と変わる。
ヨブ記 20:15呑み込んだ富は吐き出さなければならない。神は彼の腹からそれを取り上げられる。
ヨブ記 20:16彼の飲んだのはコブラの毒。蝮の舌が彼を殺す。
ヨブ記 20:17彼は蜂蜜と乳脂の流れる川のその流れを見ることはない。
ヨブ記 20:18労して獲たものをも呑み込まずに返し商いで富を得ても楽しむことはない。
ヨブ記 20:19なぜなら、貧しい人々を虐げ見捨て自ら建てもしない家を奪い取ったから。
ヨブ記 20:20その腹は満足することを知らず欲望から逃れられず
ヨブ記 20:21食い尽くして、何も残さない。それゆえ、彼の繁栄は長くは続かず
ヨブ記 20:22豊かさの極みにあって欠乏に陥りすべて労苦する手が彼を襲う。
ヨブ記 20:23腹を満たそうとすれば神は燃える怒りを注ぎそれをパンとして彼に浴びせかける
ヨブ記 20:24鉄の武器から逃れても青銅の弓が彼を射抜き
ヨブ記 20:25矢は彼を貫いて背中に出る。それは胆汁にぬれて光り神の威力が彼を圧倒する。
ヨブ記 20:26暗黒が彼の宝を待ち構え吹き起こされたのでもない火が彼をなめ尽くし天幕に残っているものをも滅ぼし尽くす。
ヨブ記 20:27天は彼の罪を暴き地は彼に対して立ち上がる。
ヨブ記 20:28神の怒りの日に、洪水が起こり大水は彼の家をぬぐい去る。神の命令による嗣業はこれだ。
21章
ヨブ記 21:01ヨブは答えた。
ヨブ記 21:02どうか、わたしの言葉を聞いてくれ。聞いてもらうことがわたしの慰めなのだ。
ヨブ記 21:03我慢して、わたしに話をさせてくれ。わたしが話してから、嘲笑うがいい。
ヨブ記 21:04わたしは人間に向かって訴えているのだろうか。なぜ、我慢しなければならないのか。
ヨブ記 21:05わたしに顔を向けてくれ。そして驚き、口に手を当てるがよい。
ヨブ記 21:06わたし自身、これを思うと慄然とし身震いが止まらない。
ヨブ記 21:07なぜ、神に逆らう者が生き永らえ年を重ねてなお、力を増し加えるのか。
ヨブ記 21:08子孫は彼らを囲んで確かに続きその末を目の前に見ることができる。
ヨブ記 21:09その家は平和で、何の恐れもなく神の鞭が彼らに下ることはない。
ヨブ記 21:10彼らの雄牛は常に子をはらませ雌牛は子を産んで、死なせることはない。
ヨブ記 21:11彼らは羊の群れのように子供を送り出しその子らは踊り跳ね
ヨブ記 21:12太鼓や竪琴に合わせて歌い笛を吹いて楽しむ。
ヨブ記 21:13彼らは幸せに人生を送り安らかに陰府に赴く。
ヨブ記 21:14彼らは神に向かって言う。「ほうっておいてください。あなたに従う道など知りたくもない。
ヨブ記 21:15なぜ、全能者に仕えなければならないのか。神に祈って何になるのか。」
ヨブ記 21:16だが、彼らは財産を手にしているではないか。神に逆らう者の考えはわたしから遠い。
ヨブ記 21:17神に逆らう者の灯が消され、災いが襲い神が怒って破滅を下したことが何度あろうか。
ヨブ記 21:18藁のように風に吹き散らされもみ殻のように突風に吹き飛ばされたことがあろうか。
ヨブ記 21:19神は彼への罰をその子らの代にまで延ばしておかれるのか。彼自身を罰して思い知らせてくださればよいのに。
ヨブ記 21:20自分の目で自分の不幸を見全能者の怒りを飲み干せばよいのだ。
ヨブ記 21:21人生の年月が尽きてしまえば残された家はどうなってもよいのだから。
ヨブ記 21:22「人が神に知識を授けえようか。彼は高きにいまし、裁きを行われる」と言う。
ヨブ記 21:23ある人は、死に至るまで不自由なく安泰、平穏の一生を送る。
ヨブ記 21:24彼はまるまると太り骨の髄まで潤っている。
ヨブ記 21:25また、ある人は死に至るまで悩み嘆き幸せを味わうこともない。
ヨブ記 21:26だが、どちらも塵に横たわれば等しく、蛆に覆われるではないか。
ヨブ記 21:27あなたたちの考えはよく分かっている。わたしに対して不法にも悪をたくらんでいるのだ。
ヨブ記 21:28「あの高潔な人の館はどうなりこの神に逆らう者の住まいとした天幕はどうなったのか」とあなたたちは問う。
ヨブ記 21:29通りかかる人々に尋ねなかったのか。両者の残した証しを否定することはできないであろう。
ヨブ記 21:30悪人が災いの日を免れ怒りの日を逃れているのに
ヨブ記 21:31誰が面と向かってその歩んできた道を暴き誰がその仕業を罰するだろうか。
ヨブ記 21:32彼は葬式の行列によって運ばれその墓には番人も立ち
ヨブ記 21:33谷間の土くれさえ彼には快さそうだ。人は皆彼の後に続き彼の前にも、人は数えきれない。
ヨブ記 21:34それなのに空しい言葉でどのようにわたしを慰めるつもりか。あなたたちの反論は欺きにすぎない。
22章
ヨブ記 22:01テマン人エリファズは答えた。
ヨブ記 22:02人間が神にとって有益でありえようか。賢い人でさえ、有益でありえようか。
ヨブ記 22:03あなたが正しいからといって全能者が喜び完全な道を歩むからといって神の利益になるだろうか。
ヨブ記 22:04あなたが神を畏れ敬っているのに神があなたを責めあなたを裁きの座に引き出されるだろうか。
ヨブ記 22:05あなたは甚だしく悪を行い限りもなく不正を行ったのではないか。
ヨブ記 22:06あなたは兄弟から質草を取って何も与えず既に裸の人からなお着物をはぎ取った。
ヨブ記 22:07渇き果てた人に水を与えず飢えた人に食べ物を拒んだ。
ヨブ記 22:08腕力を振るう者が土地をわがものとしもてはやされている者がそこに住む。
ヨブ記 22:09あなたはやもめに何も与えず追い払いみなしごの腕を折った。
ヨブ記 22:10だからこそあなたの周りには至るところに罠があり突然の恐れにあなたはおびえる。
ヨブ記 22:11また、暗黒に包まれて何も見えず洪水があなたを覆っているので
ヨブ記 22:12あなたは言う。「神がいますのは高い天の上で見よ、あのように高い星の群れの頭なのだ。」
ヨブ記 22:13だからあなたは言う。「神が何を知っておられるものか。濃霧の向こうから裁くことができようか。
ヨブ記 22:14雲に遮られて見ることもできず天の丸天井を行き来されるだけだ」と。
ヨブ記 22:15あなたは昔からの道に悪を行う者の歩んだ道に気をつけよ。
ヨブ記 22:16彼らは時ならずして、取り去られ流れがその基までぬぐい去った。
ヨブ記 22:17神に向かって彼らは言っていた。「ほうっておいてくれ全能者と呼ばれる者に何ができる。」
ヨブ記 22:18それに対してあなたは言った。「神はその彼らの家を富で満たされる。神に逆らう者の考えはわたしから遠い。」
ヨブ記 22:19神に従う人なら見抜いて喜び罪のない人なら嘲笑って言うであろう。
ヨブ記 22:20「彼らの財産は確かに無に帰し残ったものも火になめ尽くされる。」
ヨブ記 22:21神に従い、神と和解しなさい。そうすれば、あなたは幸せになるだろう。
ヨブ記 22:22神が口ずから授ける教えを受けその言葉を心に納めなさい。
ヨブ記 22:23もし、全能者のもとに立ち帰りあなたの天幕から不正を遠ざけるならあなたは元どおりにしていただける。
ヨブ記 22:24黄金を塵の中にオフィルの金を川床に置くがよい。
ヨブ記 22:25全能者こそがあなたの黄金あなたにとっての最高の銀となり
ヨブ記 22:26あなたは全能者によって喜びを得神に向かって顔を上げ
ヨブ記 22:27あなたが祈れば聞き入れられ満願の献げ物をすることもできるだろう。
ヨブ記 22:28あなたが決意することは成就し歩む道には光が輝くことだろう。
ヨブ記 22:29倒れている者に、立ち上がれとあなたが言えば目を伏せていた者は救われる。
ヨブ記 22:30清くない者すらあなたの手の潔白によって救われる。
23章
ヨブ記 23:01ヨブは答えた。
ヨブ記 23:02今日も、わたしは苦しみ嘆き呻きのために、わたしの手は重い。
ヨブ記 23:03どうしたら、その方を見いだせるのか。おられるところに行けるのか。
ヨブ記 23:04その方にわたしの訴えを差し出し思う存分わたしの言い分を述べたいのに。
ヨブ記 23:05答えてくださるなら、それを悟り話しかけてくださるなら、理解しよう。
ヨブ記 23:06その方は強い力を振るってわたしと争われるだろうか。いや、わたしを顧みてくださるだろう。
ヨブ記 23:07そうすれば、わたしは神の前に正しいとされわたしの訴えはとこしえに解決できるだろう。
ヨブ記 23:08だが、東に行ってもその方はおられず西に行っても見定められない。
ヨブ記 23:09北にひそんでおられて、とらえることはできず南に身を覆っておられて、見いだせない。
ヨブ記 23:10しかし、神はわたしの歩む道を知っておられるはずだ。わたしを試してくだされば金のようであることが分かるはずだ。
ヨブ記 23:11わたしの足はその方に従って歩みその道を守って、離れたことはない。
ヨブ記 23:12その唇が与えた命令に背かずその口が語った言葉を胸に納めた。
ヨブ記 23:13神がいったん定められたならだれも翻すことはできない。神は望むがままに行われる。
ヨブ記 23:14わたしのために定めたことを実行しほかにも多くのことを定めておられる。
ヨブ記 23:15それゆえ、わたしは御顔におびえ考えれば考えるほど、恐れる。
ヨブ記 23:16神はわたしの勇気を失わせ全能者はわたしをおびえさせる。
ヨブ記 23:17わたしは暗黒を前にし目の前には闇が立ちこめているのになぜ、滅ぼし尽くされずにいるのか。
24章
ヨブ記 24:01なぜ、全能者のもとにはさまざまな時が蓄えられていないのか。なぜ、神を愛する者が神の日を見ることができないのか。
ヨブ記 24:02人は地境を移し家畜の群れを奪って自分のものとし
ヨブ記 24:03みなしごのろばを連れ去りやもめの牛を質草に取る。
ヨブ記 24:04乏しい人々は道から押しのけられこの地の貧しい人々は身を隠す。
ヨブ記 24:05彼らは野ろばのように荒れ野に出て労し、食べ物を求め荒れ地で子に食べさせるパンを捜す。
ヨブ記 24:06自分のものでもない畑で刈り入れをさせられ悪人のぶどう畑で残った房を集める。
ヨブ記 24:07着る物もなく裸で夜を過ごし寒さを防ぐための覆いもない。
ヨブ記 24:08山で激しい雨にぬれても身を避ける所もなく、岩にすがる。
ヨブ記 24:09父のない子は母の胸から引き離され貧しい人の乳飲み子は人質に取られる。
ヨブ記 24:10彼らは身にまとう物もなく、裸で歩き麦束を運びながらも自分は飢え
ヨブ記 24:11並び立つオリーブの間で油を搾り搾り場でぶどうを踏みながらも渇く。
ヨブ記 24:12町では、死にゆく人々が呻き刺し貫かれた人々があえいでいるが神はその惨状に心を留めてくださらない。
ヨブ記 24:13光に背く人々がいる。彼らは光の道を認めず光の射すところにとどまろうとしない。
ヨブ記 24:14人殺しは夜明け前に起き貧しい者、乏しい者を殺し夜になれば盗みを働く。
ヨブ記 24:15姦淫する者の目は、夕暮れを待ちだれにも見られないように、と言って顔を覆う。
ヨブ記 24:16暗黒に紛れて家々に忍び入り日中は閉じこもって、光を避ける。
ヨブ記 24:17このような者には、朝が死の闇だ。朝を破滅の死の闇と認めているのだ。
ヨブ記 24:18「大水に遭えば彼はたちまち消え去る。この地で彼の嗣業は呪われそのぶどう畑に向かう者もいなくなる。
ヨブ記 24:19暑さと乾燥が雪解け水をも消し去るように陰府は罪人を消し去るだろう。
ヨブ記 24:20母の胎も彼を忘れ蛆が彼を好んで食い彼を思い出す者もなくなる不正な行いは木のように折れ砕ける。
ヨブ記 24:21彼は不妊の女を不幸に落としやもめに幸福を与えることはなかった。
ヨブ記 24:22権力者が力を振るい、成功したとしてもその人生は確かではない。
ヨブ記 24:23安穏に生かされているようでもその歩む道に目を注いでおられる方がある。
ヨブ記 24:24だから、しばらくは栄えるが、消え去る。すべて衰えてゆくものと共に倒され麦の穂のように刈り取られるのだ。」
ヨブ記 24:25だが、そうなってはいないのだから誰が、わたしをうそつきと呼びわたしの言葉をむなしいものと断じることができようか。
25章
ヨブ記 25:01シュア人ビルダドは答えた。
ヨブ記 25:02恐るべき支配の力を神は御もとにそなえ天の最も高いところに平和を打ち立てられる。
ヨブ記 25:03まことにその軍勢は数限りなくその光はすべての人の上に昇る。
ヨブ記 25:04どうして、人が神の前に正しくありえよう。どうして、女から生まれた者が清くありえよう。
ヨブ記 25:05月すらも神の前では輝かず星も神の目には清らかではない。
ヨブ記 25:06まして人間は蛆虫人の子は虫けらにすぎない。
26章
ヨブ記 26:01ヨブは答えた。
ヨブ記 26:02あなた自身はどんな助けを力のない者に与えどんな救いを無力な腕にもたらしたというのか。
ヨブ記 26:03どんな忠告を知恵のない者に与えどんな策を多くの人に授けたというのか。
ヨブ記 26:04誰の言葉を取り次いで語っているのか。誰の息吹があなたを通して吹いているのか。
ヨブ記 26:05亡者たち、陰府の淵に住む者たちは水の底でのたうち回る。
ヨブ記 26:06陰府も神の前ではあらわであり滅びの国も覆われてはいない。
ヨブ記 26:07神は聖なる山を茫漠としたさかいに横たわらせ大地を空虚の上につるされた。
ヨブ記 26:08密雲の中に水を蓄えられても雲の底は裂けない。
ヨブ記 26:09神は御自分の雲を広げて玉座を覆い隠される。
ヨブ記 26:10原始の海の面に円を描いて光と暗黒との境とされる。
ヨブ記 26:11天の柱は揺らぎその叱咤に動転する。
ヨブ記 26:12神は御力をもって海を制し英知をもってラハブを打たれた。
ヨブ記 26:13風をもって天をぬぐい御手は逃げる大蛇を刺し貫いた。
ヨブ記 26:14だが、これらは神の道のほんの一端。神についてわたしたちの聞きえることはなんと僅かなことか。その雷鳴の力強さを誰が悟りえよう。
27章
ヨブ記 27:01ヨブは更に言葉をついで主張した。
ヨブ記 27:02わたしの権利を取り上げる神にかけてわたしの魂を苦しめる全能者にかけてわたしは誓う。
ヨブ記 27:03神の息吹がまだわたしの鼻にありわたしの息がまだ残っているかぎり
ヨブ記 27:04この唇は決して不正を語らずこの舌は決して欺きを言わない、と。
ヨブ記 27:05断じて、あなたたちを正しいとはしない。死に至るまで、わたしは潔白を主張する。
ヨブ記 27:06わたしは自らの正しさに固執して譲らない。一日たりとも心に恥じるところはない。
ヨブ記 27:07わたしに敵対する者こそ罪に定められわたしに逆らう者こそ不正とされるべきだ。
ヨブ記 27:08神に命を断たれ、魂を取り上げられるのだから神を無視する者にどんな望みがあろうか。
ヨブ記 27:09災いが彼に臨むときその叫びを神は聞いてくださるだろうか。
ヨブ記 27:10全能者によって喜びを得常に神を呼び求めることができるだろうか。
ヨブ記 27:11わたしがあなたたちに神の手の業を示し全能者について隠さずに語ろう。
ヨブ記 27:12あなたたち自身、それを仰いだのになぜ、空しいことを繰り返すのか。
ヨブ記 27:13神に逆らう者が神から受ける分暴虐な者が全能者から与えられる嗣業は次のとおり。
ヨブ記 27:14たとえ多くの息子があっても、剣にかかり子孫は食べ物にも事欠く。
ヨブ記 27:15残った者が死んで葬られてもやもめたちは泣くことすらしない。
ヨブ記 27:16土を盛るように銀を積み粘土を備えるように衣服を備えても
ヨブ記 27:17その備えた衣服は正しい人が着その銀は潔白な人の所有となる。
ヨブ記 27:18家を建てても、しみの巣のよう番人の作る仮小屋のようなものだ。
ヨブ記 27:19寝るときには豊かであっても、それが最後目を開けば、もう何ひとつない。
ヨブ記 27:20破滅が洪水のように彼を襲いつむじ風が夜の間にさらう。
ヨブ記 27:21東風に運び去られて、彼は消えうせその住まいから吹き払われる。
ヨブ記 27:22神は彼に襲いかかり、許さない。御手から逃れようと彼はあがく。
ヨブ記 27:23神は彼に向かって手をたたきその住まいから彼を吹き飛ばす。
28章
ヨブ記 28:01銀は銀山に産し金は金山で精錬する。
ヨブ記 28:02鉄は砂から採り出し銅は岩を溶かして得る。
ヨブ記 28:03人は暗黒の果てまでも行き死の闇の奥底をも究めて鉱石を捜す。
ヨブ記 28:04地上からはるか深く坑道を掘り行き交う人に忘れられ地下深く身をつり下げて揺れている。
ヨブ記 28:05食物を産み出す大地も下は火のように沸き返っている。
ヨブ記 28:06鉱石にはサファイアも混じり金の粒も含まれている。
ヨブ記 28:07猛禽もその道を知らず禿鷹の目すら、それを見つけることはできない。
ヨブ記 28:08獅子もそこを通らずあの誇り高い獣もそこを踏んだことはない。
ヨブ記 28:09だが人は、硬い岩にまで手を伸ばし山を基から掘り返す。
ヨブ記 28:10岩を切り裂いて進み価値あるものを見落とすことはない。
ヨブ記 28:11川の源をせき止め水に隠れていたものも光のもとに出す。
ヨブ記 28:12では、知恵はどこに見いだされるのか分別はどこにあるのか。
ヨブ記 28:13人間はそれが備えられた場を知らない。それは命あるものの地には見いだされない。
ヨブ記 28:14深い淵は言う「わたしの中にはない。」海も言う「わたしのところにもない。」
ヨブ記 28:15知恵は純金によっても買えず銀幾らと価を定めることもできない。
ヨブ記 28:16オフィルの金も美しい縞めのうもサファイアも、これに並ぶことはできない。
ヨブ記 28:17金も宝玉も知恵に比べられず純金の器すらこれに値しない。
ヨブ記 28:18さんごや水晶は言うに及ばず真珠よりも知恵は得がたい。
ヨブ記 28:19クシュのトパーズも比べられず混じりない金もこれに並ぶことはできない。
ヨブ記 28:20では、知恵はどこから来るのか分別はどこにあるのか。
ヨブ記 28:21すべて命あるものの目にそれは隠されている。空の鳥にすら、それは姿を隠している。
ヨブ記 28:22滅びの国や死は言う「それについて耳にしたことはある。」
ヨブ記 28:23その道を知っているのは神。神こそ、その場所を知っておられる。
ヨブ記 28:24神は地の果てまで見渡し天の下、すべてのものを見ておられる。
ヨブ記 28:25風を測って送り出し水を量って与え
ヨブ記 28:26雨にはその降る時を定め稲妻にはその道を備えられる。
ヨブ記 28:27神は知恵を見、それを計りそれを確かめ、吟味し
ヨブ記 28:28そして、人間に言われた。「主を畏れ敬うこと、それが知恵悪を遠ざけること、それが分別。」
29章
ヨブ記 29:01ヨブは言葉をついで主張した。
ヨブ記 29:02どうか、過ぎた年月を返してくれ神に守られていたあの日々を。
ヨブ記 29:03あのころ、神はわたしの頭上に灯を輝かせその光に導かれてわたしは暗黒の中を歩いた。
ヨブ記 29:04神との親しい交わりがわたしの家にありわたしは繁栄の日々を送っていた。
ヨブ記 29:05あのころ、全能者はわたしと共におられわたしの子らはわたしの周りにいた。
ヨブ記 29:06乳脂はそれで足を洗えるほど豊かでわたしのためにはオリーブ油が岩からすら流れ出た。
ヨブ記 29:07わたしが町の門に出て広場で座に着こうとすると
ヨブ記 29:08若者らはわたしを見て静まり老人らも立ち上がって敬意を表した。
ヨブ記 29:09おもだった人々も話すのをやめ口に手を当てた。
ヨブ記 29:10指導者らも声をひそめ舌を上顎に付けた。
ヨブ記 29:11わたしのことを聞いた耳は皆、祝福しわたしを見た目は皆、賞賛してくれた。
ヨブ記 29:12わたしが身寄りのない子らを助け助けを求める貧しい人々を守ったからだ。
ヨブ記 29:13死にゆく人さえわたしを祝福しやもめの心をもわたしは生き返らせた。
ヨブ記 29:14わたしは正義を衣としてまとい公平はわたしの上着、また冠となった。
ヨブ記 29:15わたしは見えない人の目となり歩けない人の足となった。
ヨブ記 29:16貧しい人々の父となりわたしにかかわりのない訴訟にも尽力した。
ヨブ記 29:17不正を行う者の牙を砕きその歯にかかった人々を奪い返した。
ヨブ記 29:18わたしはこう思っていた「わたしは家族に囲まれて死ぬ。人生の日数は海辺の砂のように多いことだろう。
ヨブ記 29:19わたしは水際に根を張る木枝には夜露を宿すだろう。
ヨブ記 29:20わたしの誉れは常に新しくわたしの弓はわたしの手にあって若返る。」
ヨブ記 29:21人々は黙して待ち望みわたしの勧めに耳を傾けた。
ヨブ記 29:22わたしが語れば言い返す者はなくわたしの言葉は彼らを潤した。
ヨブ記 29:23雨を待つように春の雨に向かって口を開くように彼らはわたしを待ち望んだ。
ヨブ記 29:24彼らが確信を失っているときわたしは彼らに笑顔を向けた。彼らはわたしの顔の光を曇らせることはしなかった。
ヨブ記 29:25わたしは嘆く人を慰め彼らのために道を示してやり首長の座を占め軍勢の中の王のような人物であった。
30章
ヨブ記 30:01だが今は、わたしより若い者らがわたしを嘲笑う。彼らの父親を羊の番犬と並べることすらわたしは忌まわしいと思っていたのだ。
ヨブ記 30:02その手の力もわたしの役には立たず何の気力も残っていないような者らだった。
ヨブ記 30:03無一物で飢え、衰え荒涼とした砂漠や沼地をさまよい
ヨブ記 30:04あかざの葉を摘みれだまの根を食糧としていた。
ヨブ記 30:05彼らは世間から追われ泥棒呼ばわりされ
ヨブ記 30:06身震いさせるような谷間や土の穴、岩の裂け目に宿り
ヨブ記 30:07茨の間で野ろばのようにいななきあざみの下に群がり合っていた。
ヨブ記 30:08愚か者、名もない輩国からたたき出された者らだった。
ヨブ記 30:09ところが今は、わたしが彼らのはやし歌の種嘲りの言葉を浴びる身になってしまった。
ヨブ記 30:10彼らはわたしを忌み嫌って近寄らず平気で顔に唾を吐きかけてくる。
ヨブ記 30:11彼らは手綱を振り切り、わたしを辱めくつわを捨てて勝手にふるまう。
ヨブ記 30:12彼らは生意気にもわたしの右に立ちわたしを追い出し、災いの道を行かせ
ヨブ記 30:13逃げ道を断ち、滅びに追いやろうとする。それを止めてくれる者はない。
ヨブ記 30:14襲って来て甚だしく打ち破り押し寄せて来て廃虚にする。
ヨブ記 30:15死の破滅がわたしを襲いわたしの力は風に吹きさらわれわたしの救いは雲のように消え去った。
ヨブ記 30:16もはや、わたしは息も絶えんばかり苦しみの日々がわたしを捕えた。
ヨブ記 30:17夜、わたしの骨は刺すように痛みわたしをさいなむ病は休むことがない。
ヨブ記 30:18病は肌着のようにまつわりつきその激しさにわたしの皮膚は見る影もなく変わった。
ヨブ記 30:19わたしは泥の中に投げ込まれ塵芥に等しくなってしまった。
ヨブ記 30:20神よわたしはあなたに向かって叫んでいるのにあなたはお答えにならない。御前に立っているのにあなたは御覧にならない。
ヨブ記 30:21あなたは冷酷になり御手の力をもってわたしに怒りを表される。
ヨブ記 30:22わたしを吹き上げ、風に乗せ風のうなりの中でほんろうなさる。
ヨブ記 30:23わたしは知っている。あなたはわたしを死の国へすべて命あるものがやがて集められる家へ連れ戻そうとなさっているのだ。
ヨブ記 30:24人は、嘆き求める者に手を差し伸べ不幸な者を救おうとしないだろうか。
ヨブ記 30:25わたしは苦境にある人と共に泣かなかったろうか。貧しい人のために心を痛めなかったろうか。
ヨブ記 30:26わたしは幸いを望んだのに、災いが来た。光を待っていたのに、闇が来た。
ヨブ記 30:27わたしの胸は沸き返り静まろうとしない。苦しみの日々がわたしに襲いかかっている。
ヨブ記 30:28光を見ることなく、嘆きつつ歩き人々の中に立ち、救いを求めて叫ぶ。
ヨブ記 30:29山犬の兄弟となり駝鳥の仲間となったかのように
ヨブ記 30:30わたしの皮膚は黒くなって、はげ落ち骨は熱に焼けただれている。
ヨブ記 30:31喪の調べをわたしの竪琴は奏で悲しみの歌をわたしの笛は歌う。
31章
ヨブ記 31:01わたしは自分の目と契約を結んでいるのにどうしておとめに目を注いだりしようか。
ヨブ記 31:02上から神がくださる分は何か高きにいます全能者のお与えになるものは何か。
ヨブ記 31:03不正を行う者には災いを悪を行う者には外敵をお与えになるではないか。
ヨブ記 31:04神はわたしの道を見張りわたしの歩みをすべて数えておられるではないか。
ヨブ記 31:05わたしがむなしいものと共に歩きこの足が欺きの道を急いだことは、決してない。もしあるというなら
ヨブ記 31:06正義を秤として量ってもらいたい。神にわたしの潔白を知っていただきたい。
ヨブ記 31:07わたしの歩みが道を外れ目の向くままに心が動いたことは、決してない。この手には、決して汚れはない。もしあるというなら
ヨブ記 31:08わたしの蒔いたものを他人が食べてもよい。わたしの子孫は根絶やしにされてもよい。
ヨブ記 31:09わたしが隣人の妻に心奪われたり門で待ち伏せたりしたことは、決してない。もしあるというなら
ヨブ記 31:10わたしの妻が他人のために粉をひきよその男に犯されてもよい。
ヨブ記 31:11それは恥ずべき行為であり裁かれるべき罪なのだから
ヨブ記 31:12滅びの国までも焼き尽くす火がわたしの収穫を根まで焼き尽くしてもよい。
ヨブ記 31:13わたしが奴隷たちの言い分を聞かずはしための権利を拒んだことは、決してない。もしあるというなら
ヨブ記 31:14神が裁きに立たれるときわたしが何をなしえよう。神が調べられるとき何と答えられよう。
ヨブ記 31:15わたしを胎内に造ってくださった方が彼らをもお造りになり我々は同じ方によって母の胎に置かれたのだから。
ヨブ記 31:16わたしが貧しい人々を失望させやもめが目を泣きつぶしても顧みず
ヨブ記 31:17食べ物を独り占めにしみなしごを飢えさせたことは、決してない。
ヨブ記 31:18いや、わたしは若いころから父となって彼らを育て母の胎を出たときからやもめたちを導く者であった。
ヨブ記 31:19着る物もなく弱り果てている人やからだを覆う物もない貧しい人をわたしが見過ごしにしたことは、決してない。
ヨブ記 31:20彼らは常にわたしの羊の毛でからだを暖めて感謝したのだ。
ヨブ記 31:21わたしが裁きの座で味方の多いのをいいことにしてみなしごに手を振り上げたことは、決してない。もしあるというなら
ヨブ記 31:22わたしの腕は肩から抜け落ちてもよい。肘が砕けてもよい。
ヨブ記 31:23神の下される災いをわたしは恐れる。その怒りには堪えられない。
ヨブ記 31:24わたしが黄金を頼みとし純金があれば安心だと思い
ヨブ記 31:25財宝の多いことを喜び自分の力を強大だと思ったことは、決してない。
ヨブ記 31:26太陽の輝き、満ち欠ける月を仰いで
ヨブ記 31:27ひそかに心を迷わせ口づけを投げたことは、決してない。もしあるというなら
ヨブ記 31:28これもまた、裁かれるべき罪である。天にいます神を否んだことになるのだから。
ヨブ記 31:29わたしを憎む者の不幸を喜び彼が災いに遭うのを見てわたしがはやしたてたことは、決してない。
ヨブ記 31:30呪いをかけて人の命を求めることによって自分の口が罪を犯すのを許したことは決してない。
ヨブ記 31:31わたしの天幕に住んでいた人々が「彼が腹いっぱい肉をくれればよいのに」と言ったことは決してない。
ヨブ記 31:32見知らぬ人さえ野宿させたことはない。わが家の扉はいつも旅人に開かれていた。
ヨブ記 31:33わたしがアダムのように自分の罪を隠し咎を胸の内に秘めていたことは、決してない。もしあるというなら
ヨブ記 31:34群衆の前に震え、一族の侮りにおののき黙して門の内にこもっていただろう。
ヨブ記 31:35どうか、わたしの言うことを聞いてください。見よ、わたしはここに署名する。全能者よ、答えてください。わたしと争う者が書いた告訴状を
ヨブ記 31:36わたしはしかと肩に担い冠のようにして頭に結び付けよう。
ヨブ記 31:37わたしの歩みの一歩一歩を彼に示し君主のように彼と対決しよう。
ヨブ記 31:38わたしの畑がわたしに対して叫び声をあげその畝が泣き
ヨブ記 31:39わたしが金を払わずに収穫を奪って食べ持ち主を死に至らしめたことは、決してない。もしあるというなら
ヨブ記 31:40小麦の代わりに茨が生え大麦の代わりに雑草が生えてもよい。ヨブは語り尽くした。
32章
ヨブ記 32:01ここで、この三人はヨブに答えるのをやめた。ヨブが自分は正しいと確信していたからである。
ヨブ記 32:02さて、エリフは怒った。この人はブズ出身でラム族のバラクエルの子である。ヨブが神よりも自分の方が正しいと主張するので、彼は怒った。
ヨブ記 32:03また、ヨブの三人の友人が、ヨブに罪のあることを示す適切な反論を見いだせなかったので、彼らに対しても怒った。
ヨブ記 32:04彼らが皆、年長だったので、エリフはヨブに話しかけるのを控えていたが、
ヨブ記 32:05この三人の口から何の反論も出ないのを見たので怒ったのである。
ヨブ記 32:06ブズ人バラクエルの子、エリフは言った。わたしは若くあなたたちは年をとっておられる。だからわたしは遠慮しわたしの意見をあえて言わなかった。
ヨブ記 32:07日数がものを言い年数が知恵を授けると思っていた。
ヨブ記 32:08しかし、人の中には霊があり悟りを与えるのは全能者の息吹なのだ。
ヨブ記 32:09日を重ねれば賢くなるというのではなく老人になればふさわしい分別ができるのでもない。
ヨブ記 32:10それゆえ、わたしの言うことも聞いてほしい。わたしの意見を述べてみたいと思う。
ヨブ記 32:11わたしはあなたたちの言葉を待ちその考えに耳を傾け言葉を尽くして論じるのを聞き
ヨブ記 32:12その論拠を理解しようとした。だが、あなたたちの中にはヨブを言い伏せ彼の言葉に反論しうる者がない。
ヨブ記 32:13「いい知恵がある。彼を負かすのは神であって人ではないと言おう」などと考えるべきではない。
ヨブ記 32:14ヨブはわたしに対して議論したのではないがわたしはあなたたちのような論法で答えようとは思わない。
ヨブ記 32:15彼らは気を挫かれて、答えようとせず言うべき言葉を失っている。
ヨブ記 32:16わたしは待ったが、彼らは語らず行き詰まり、もう答えようとしない。
ヨブ記 32:17それならわたしが自分の言い分を述べさせてもらおう。わたしの意見を言わせてもらおう。
ヨブ記 32:18言いたいことはたくさんある。腹の内で霊がわたしを駆り立てている。
ヨブ記 32:19見よ、わたしの腹は封じられたぶどう酒の袋新しい酒で張り裂けんばかりの革袋のようだ。
ヨブ記 32:20わたしも話して、気持を静めたい。唇を開いて、答えたい。
ヨブ記 32:21いや、わたしはだれの顔を立てようともしない。人間にへつらうことはしたくない。
ヨブ記 32:22気づかずにへつらうようなことを言ったらどうか造り主が直ちにわたしを退けてくださるように。
33章
ヨブ記 33:01さてヨブよ、わたしの言葉を聞きわたしの言うことによく耳を傾けよ。
ヨブ記 33:02見よ、わたしは口を開き舌は口の中で動き始める。
ヨブ記 33:03わたしの言葉はわたしの心を率直に表し唇は知っていることをはっきりと語る。
ヨブ記 33:04神の霊がわたしを造り全能者の息吹がわたしに命を与えたのだ。
ヨブ記 33:05答えられるなら、答えてみよ。備えをして、わたしの前に立て。
ヨブ記 33:06神の前では、わたしもあなたと同じように土から取られたひとかけらのものにすぎない。
ヨブ記 33:07見よ、わたしには脅かすような威力はない。あなたを押さえつけようとしているのではない。
ヨブ記 33:08あなたが話すのはわたしの耳に入り声も言葉もわたしは聞いた。
ヨブ記 33:09「わたしは潔白で、罪を犯していない。わたしは清く、とがめられる理由はない。
ヨブ記 33:10それでも神はわたしに対する不満を見いだしわたしを敵視される。
ヨブ記 33:11わたしに足枷をはめ行く道を見張っておられる。」
ヨブ記 33:12ここにあなたの過ちがある、と言おう。神は人間よりも強くいます。
ヨブ記 33:13なぜ、あなたは神と争おうとするのか。神はそのなさることをいちいち説明されない。
ヨブ記 33:14神は一つのことによって語られまた、二つのことによって語られるが人はそれに気がつかない。
ヨブ記 33:15人が深い眠りに包まれ、横たわって眠ると夢の中で、夜の幻の中で
ヨブ記 33:16神は人の耳を開き懲らしめの言葉を封じ込められる。
ヨブ記 33:17人が行いを改め、誇りを抑え
ヨブ記 33:18こうして、その魂が滅亡を免れ命が死の川を渡らずに済むようにされる。
ヨブ記 33:19苦痛に責められて横たわる人があるとする。骨のうずきは絶えることなく
ヨブ記 33:20命はパンをいとい魂は好みの食べ物をすらいとう。
ヨブ記 33:21肉は消耗して見えなくなり見えなかった骨は姿を現し
ヨブ記 33:22魂は滅亡に命はそれを奪うものに近づいてゆく。
ヨブ記 33:23千人に一人でもこの人のために執り成しその正しさを示すために遣わされる御使いがあり
ヨブ記 33:24彼を憐れんで「この人を免除し、滅亡に落とさないでください。代償を見つけて来ました」と言ってくれるなら
ヨブ記 33:25彼の肉は新しくされて若者よりも健やかになり再び若いときのようになるであろう。
ヨブ記 33:26彼は神に祈って受け入れられ歓びの叫びの内に御顔を仰ぎ再び神はこの人を正しいと認められるであろう。
ヨブ記 33:27彼は人々の前でたたえて歌うであろう。「わたしは罪を犯し正しいことを曲げた。それはわたしのなすべきことではなかった。
ヨブ記 33:28しかし神はわたしの魂を滅亡から救い出された。わたしは命を得て光を仰ぐ」と。
ヨブ記 33:29まことに神はこのようになさる。人間のために、二度でも三度でも。
ヨブ記 33:30その魂を滅亡から呼び戻し命の光に輝かせてくださる。
ヨブ記 33:31ヨブよ、耳を傾けてわたしの言うことを聞け。沈黙せよ、わたしに語らせよ。
ヨブ記 33:32わたしに答えて言うことがあるなら、語れ。正しい主張を聞くのがわたしの望みだ。
ヨブ記 33:33言うことがなければ、耳を傾けよ。沈黙せよ、わたしがあなたに知恵を示そう。
34章
ヨブ記 34:01エリフは更に言った。
ヨブ記 34:02知恵ある者はわたしの言葉を聞き知識ある者はわたしに耳を傾けよ。
ヨブ記 34:03耳は言葉を聞き分け口は食べ物を味わう。
ヨブ記 34:04わたしたちは何が正しいかを見分け何が善いかを識別しよう。
ヨブ記 34:05ヨブはこう言っている。「わたしは正しい。だが神は、この主張を退けられる。
ヨブ記 34:06わたしは正しいのに、うそつきとされ罪もないのに、矢を射かけられて傷ついた。」
ヨブ記 34:07ヨブのような男がいるだろうか。水に代えて嘲りで喉をうるおし
ヨブ記 34:08悪を行う者にくみし神に逆らう者と共に歩む。
ヨブ記 34:09「神に喜ばれようとしても何の益もない」と彼は言っている。
ヨブ記 34:10さて、分別ある者は、わたしの言葉を聞け。神には過ちなど、決してない。全能者には不正など、決してない。
ヨブ記 34:11神は人間の行いに従って報いおのおのの歩みに従って与えられるのだ。
ヨブ記 34:12神が罪を犯すことは決してない。全能者は正義を曲げられない。
ヨブ記 34:13誰が神に全地をゆだね全世界を負わせたというのか。
ヨブ記 34:14もし神が御自分にのみ、御心を留めその霊と息吹を御自分に集められるなら
ヨブ記 34:15生きとし生けるものは直ちに息絶え人間も塵に返るだろう。
ヨブ記 34:16理解しようとして、これを聞け。わたしの語る声に耳を傾けよ。
ヨブ記 34:17正義を憎む者が統治できようか。正しく、また、力強いお方をあなたは罪に定めるのか。
ヨブ記 34:18王者に向かって「ならず者」と言い貴い方に向かって「逆らう者」と言うのか。
ヨブ記 34:19身分の高い者をひいきすることも貴族を貧者より尊重することもないお方御手によってすべての人は造られた。
ヨブ記 34:20これらの人も瞬く間にしかも真夜中に、死んでいく。権力ある者は身を震わせて消え去り力ある者は人の手によらず、退けられる。
ヨブ記 34:21神は人の歩む道に目を注ぎその一歩一歩を見ておられる。
ヨブ記 34:22悪を行う者が身を隠そうとしても暗黒もなければ、死の闇もない。
ヨブ記 34:23人は神の前に出て裁きを受けるのだが神はその時を定めてはおられない。
ヨブ記 34:24数知れない権力者を打ち倒し彼らに代えて他の人々を立てられる。
ヨブ記 34:25彼らの行いを知っておられるので夜の間にそれを覆し、彼らを砕き
ヨブ記 34:26神に逆らう者として見せしめに、彼らを打たれる。
ヨブ記 34:27彼らが神に従わずその道を何ひとつ受け入れなかったからだ。
ヨブ記 34:28その時、弱い者の叫びは神に届き貧しい者の叫びは聞かれる。
ヨブ記 34:29神が黙っておられるのに罪に定めうる者があろうか。神が顔を背けられるのに目を注ぐ者があろうか国に対してであれ人間に対してであれ。
ヨブ記 34:30神は、神を無視する者が王となり民を罠にかけることがないようにされる。
ヨブ記 34:31人が神に対してこう言ったとする。「わたしは罰を受けました。もう悪いことはいたしません。
ヨブ記 34:32わたしには見えないことを、示してください。わたしは不正を行いましたがもういたしません。」
ヨブ記 34:33この言葉にどう報いるかを決めるのはあなたか。あなたは神を軽んじているではないか。態度を決めるのは、わたしではなくあなただ。よく考えて話しなさい。
ヨブ記 34:34理解ある人はわたしに言うだろう。知恵ある人はわたしに同意するだろう。
ヨブ記 34:35「ヨブはよく分かって話しているのではない。その言葉は思慮に欠けている。
ヨブ記 34:36悪人のような答え方をヨブはする。彼を徹底的に試すべきだ。
ヨブ記 34:37まことに彼は過ちに加えて罪を犯しわたしたちに疑惑の念を起こさせ神に向かってまくしたてている。」
35章
ヨブ記 35:01エリフは更に言った。
ヨブ記 35:02「神はわたしを正しいとしてくださるはずだ」とあなたは言っているがあなたのこの考えは正当だろうか。
ヨブ記 35:03またあなたは言う。「わたしが過ちを犯したとしてもあなたに何の利益がありわたしにどれほどの得があるのか。」
ヨブ記 35:04あなたに、また傍らにいる友人たちにわたしはひとこと言いたい。
ヨブ記 35:05天を仰ぎ、よく見よ。頭上高く行く雲を眺めよ。
ヨブ記 35:06あなたが過ちを犯したとしても神にとってどれほどのことだろうか。繰り返し背いたとしても神にとってそれが何であろう。
ヨブ記 35:07あなたが正しくあってもそれで神に何かを与えることになり神があなたの手から何かを受け取ることになるだろうか。
ヨブ記 35:08あなたが逆らっても、それはあなたと同じ人間にあなたが正しくてもそれは人の子にかかわるだけなのだ。
ヨブ記 35:09抑圧が激しくなれば人は叫びをあげ権力者の腕にひしがれて、助けを求める。
ヨブ記 35:10しかし、だれも言わない「どこにいますのか、わたしの造り主なる神夜、歌を与える方
ヨブ記 35:11地の獣によって教え空の鳥によって知恵を授ける方は」と。
ヨブ記 35:12だから、叫んでも答えてくださらないのだ。悪者が高慢にふるまうからだ。
ヨブ記 35:13神は偽りを聞かれず全能者はそれを顧みられない。
ヨブ記 35:14あなたは神を見ることができないと言うがあなたの訴えは御前にある。あなたは神を待つべきなのだ。
ヨブ記 35:15今はまだ、怒りの時ではなく神はこの甚だしい無駄口を無視なさるので
ヨブ記 35:16ヨブは空しく口数を増し愚かにも言葉を重ねている。
36章
ヨブ記 36:01エリフは更に言葉を続けた。
ヨブ記 36:02待て、もう少しわたしに話させてくれ。神について言うべきことがまだある。
ヨブ記 36:03遠くまで及ぶわたしの考えを述べてわたしの造り主が正しいということを示そう。
ヨブ記 36:04まことにわたしの言うことに偽りはない。完全な知識を持つ方をあなたに示そう。
ヨブ記 36:05まことに神は力強く、たゆむことなく力強く、知恵に満ちておられる。
ヨブ記 36:06神に逆らう者を生かしてはおかず貧しい人に正しい裁きをしてくださる。
ヨブ記 36:07神に従う人から目を離すことなく王者と共に座につかせとこしえに、彼らを高められる。
ヨブ記 36:08捕われの身となって足枷をはめられ苦悩の縄に縛られている人があれば
ヨブ記 36:09その行いを指摘しその罪の重さを指し示される。
ヨブ記 36:10その耳を開いて戒め悪い行いを改めるように諭される。
ヨブ記 36:11もし、これに耳を傾けて従うなら彼らはその日々を幸いのうちに年月を恵みのうちに全うすることができる。
ヨブ記 36:12しかし、これに耳を傾けなければ死の川を渡り、愚か者のまま息絶える。
ヨブ記 36:13神を無視する心を持つ者は鎖につながれていても怒りに燃え、助けを求めようとしない。
ヨブ記 36:14彼らの魂は若いうちに死を迎え命は神殿男娼のように短い。
ヨブ記 36:15神は貧しい人をその貧苦を通して救い出し苦悩の中で耳を開いてくださる。
ヨブ記 36:16神はあなたにも苦難の中から出ようとする気持を与え苦難に代えて広い所でくつろがせあなたのために食卓を整え豊かな食べ物を備えてくださるのだ。
ヨブ記 36:17あなたが罪人の受ける刑に服するなら裁きの正しさが保たれるだろう。
ヨブ記 36:18だから注意せよ富の力に惑わされないように。身代金が十分あるからといって道を誤らないように。
ヨブ記 36:19苦難を経なければ、どんなに叫んでも力を尽くしても、それは役に立たない。
ヨブ記 36:20夜をあえぎ求めるな。人々がその場で消え去らねばならない夜を。
ヨブ記 36:21警戒せよ悪い行いに顔を向けないように。苦悩によって試されているのはまさにこのためなのだ。
ヨブ記 36:22まことに神は力に秀でている。神のような教師があるだろうか。
ヨブ記 36:23誰が神の道を見張り「あなたのすることは悪い」と言えようか。
ヨブ記 36:24世の人は神の御業に賛美の歌をうたう。あなたも心して、ほめたたえよ。
ヨブ記 36:25人は皆、御業を仰ぎはるかかなたから望み見ている。
ヨブ記 36:26まことに神は偉大、神を知ることはできずその齢を数えることもできない。
ヨブ記 36:27神は水滴を御もとに集め霧のような雨を降らす。
ヨブ記 36:28雲は雨となって滴り多くの人の上に降り注ぐ。
ヨブ記 36:29どのように雨雲が広がり神の仮庵が雷鳴をとどろかせるかを悟りうる者があろうか。
ヨブ記 36:30神はその上に光を放ち海の根を覆われる。
ヨブ記 36:31それによって諸国の民を治め豊かに食べ物を与えられる。
ヨブ記 36:32神は御手に稲妻の光をまとい的を定め、それに指令し
ヨブ記 36:33御自分の思いを表される。悪に対する激しい怒りを。
37章
ヨブ記 37:01それゆえ、わたしの心は破れんばかりに激しく打つ。
ヨブ記 37:02聞け、神の御声のとどろきをその口から出る響きを。
ヨブ記 37:03閃光は天の四方に放たれ稲妻は地の果てに及ぶ。
ヨブ記 37:04雷鳴がそれを追い厳かな声が響きわたる。御声は聞こえるが、稲妻の跡はない。
ヨブ記 37:05神は驚くべき御声をとどろかせわたしたちの知りえない大きな業を成し遂げられる。
ヨブ記 37:06神は命じられる。雪には、「地に降り積もれ」雨には、「激しく降れ」と。
ヨブ記 37:07人の手の業をすべて封じ込めすべての人間に御業を認めさせられる。
ヨブ記 37:08獣は隠れがに入り、巣に伏す。
ヨブ記 37:09嵐がその蓄えられている所を出ると寒さがまき散らされる。
ヨブ記 37:10神が息を吹きかければ氷ができ水の広がりは凍って固まる。
ヨブ記 37:11雲は雨を含んで重くなり密雲は稲妻を放つ。
ヨブ記 37:12雨雲はここかしこに垂れこめ導かれるままに姿を変え命じられるところをあまねく地の面に行う。
ヨブ記 37:13懲らしめのためにも、大地のためにもそして恵みを与えるためにも神はこれを行わせられる。
ヨブ記 37:14ヨブよ、耳を傾け神の驚くべき御業について、よく考えよ。
ヨブ記 37:15あなたは知っているかどのように神が指図して密雲の中から稲妻を輝かせるかを。
ヨブ記 37:16あなたは知っているか完全な知識を持つ方が垂れこめる雨雲によって驚くべき御業を果たされることを。
ヨブ記 37:17南風が吹いて大地が黙すときにはあなたの衣すら熱くなるというのに
ヨブ記 37:18鋳て造った鏡のような堅い大空をあなたは、神と共に固めることができるとでもいうのか。
ヨブ記 37:19神に何と申し上げるべきかをわたしたちに言ってみよ。暗黒を前にしてわたしたちに何の申し立てができようか。
ヨブ記 37:20わたしが話したとしても神に対して説明になるだろうか。人間が何か言ったところで神が言い負かされるだろうか。
ヨブ記 37:21今、光は見えないがそれは雲のかなたで輝いている。やがて風が吹き、雲を払うと
ヨブ記 37:22北から黄金の光が射し恐るべき輝きが神を包むだろう。
ヨブ記 37:23全能者を見いだすことはわたしたちにはできない。神は優れた力をもって治めておられる。憐れみ深い人を苦しめることはなさらない。
ヨブ記 37:24それゆえ、人は神を畏れ敬う。人の知恵はすべて顧みるに値しない。
38章
ヨブ記 38:01主は嵐の中からヨブに答えて仰せになった。
ヨブ記 38:02これは何者か。知識もないのに、言葉を重ねて神の経綸を暗くするとは。
ヨブ記 38:03男らしく、腰に帯をせよ。わたしはお前に尋ねる、わたしに答えてみよ。
ヨブ記 38:04わたしが大地を据えたときお前はどこにいたのか。知っていたというなら理解していることを言ってみよ。
ヨブ記 38:05誰がその広がりを定めたかを知っているのか。誰がその上に測り縄を張ったのか。
ヨブ記 38:06基の柱はどこに沈められたのか。誰が隅の親石を置いたのか。
ヨブ記 38:07そのとき、夜明けの星はこぞって喜び歌い神の子らは皆、喜びの声をあげた。
ヨブ記 38:08海は二つの扉を押し開いてほとばしり母の胎から溢れ出た。
ヨブ記 38:09わたしは密雲をその着物とし濃霧をその産着としてまとわせた。
ヨブ記 38:10しかし、わたしはそれに限界を定め二つの扉にかんぬきを付け
ヨブ記 38:11「ここまでは来てもよいが越えてはならない。高ぶる波をここでとどめよ」と命じた。
ヨブ記 38:12お前は一生に一度でも朝に命令し曙に役割を指示したことがあるか
ヨブ記 38:13大地の縁をつかんで神に逆らう者どもを地上から払い落とせと。
ヨブ記 38:14大地は粘土に型を押していくように姿を変えすべては装われて現れる。
ヨブ記 38:15しかし、悪者どもにはその光も拒まれ振り上げた腕は折られる。
ヨブ記 38:16お前は海の湧き出るところまで行き着き深淵の底を行き巡ったことがあるか。
ヨブ記 38:17死の門がお前に姿を見せ死の闇の門を見たことがあるか。
ヨブ記 38:18お前はまた、大地の広がりを隅々まで調べたことがあるか。そのすべてを知っているなら言ってみよ。
ヨブ記 38:19光が住んでいるのはどの方向か。暗黒の住みかはどこか。
ヨブ記 38:20光をその境にまで連れていけるか。暗黒の住みかに至る道を知っているか。
ヨブ記 38:21そのときお前は既に生まれていて人生の日数も多いと言うのならこれらのことを知っているはずだ。
ヨブ記 38:22お前は雪の倉に入ったことがあるか。霰の倉を見たことがあるか。
ヨブ記 38:23災いの時のために戦いや争いの日のためにわたしはこれらを蓄えているのだ。
ヨブ記 38:24光が放たれるのはどの方向か。東風が地上に送られる道はどこか。
ヨブ記 38:25誰が豪雨に水路を引き稲妻に道を備え
ヨブ記 38:26まだ人のいなかった大地に無人であった荒れ野に雨を降らせ
ヨブ記 38:27乾ききったところを潤し青草の芽がもえ出るようにしたのか。
ヨブ記 38:28雨に父親があるだろうか。誰が露の滴を産ませるのか。
ヨブ記 38:29誰の腹から霰は出てくるのか。天から降る霜は誰が産むのか。
ヨブ記 38:30水は凍って石のようになり深淵の面は固く閉ざされてしまう。
ヨブ記 38:31すばるの鎖を引き締めオリオンの綱を緩めることがお前にできるか。
ヨブ記 38:32時がくれば銀河を繰り出し大熊を子熊と共に導き出すことができるか。
ヨブ記 38:33天の法則を知りその支配を地上に及ぼす者はお前か。
ヨブ記 38:34お前が雨雲に向かって声をあげれば洪水がお前を包むだろうか。
ヨブ記 38:35お前が送り出そうとすれば稲妻が「はい」と答えて出て行くだろうか。
ヨブ記 38:36誰が鴇に知恵を授け誰が雄鶏に分別を与えたのか。
ヨブ記 38:37誰が知恵をもって雲を数え天にある水の袋を傾けるのか。
ヨブ記 38:38塵が溶けて形を成し土くれが一塊となるように。
ヨブ記 38:39お前は雌獅子のために獲物を備えその子の食欲を満たしてやることができるか。
ヨブ記 38:40雌獅子は茂みに待ち伏せその子は隠れがにうずくまっている。
ヨブ記 38:41誰が烏のために餌を置いてやるのかその雛が神に向かって鳴き食べ物を求めて迷い出るとき。
39章
ヨブ記 39:01お前は岩場の山羊が子を産む時を知っているか。雌鹿の産みの苦しみを見守ることができるか。
ヨブ記 39:02月が満ちるのを数え産むべき時を知ることができるか。
ヨブ記 39:03雌鹿はうずくまって産み子を送り出す。
ヨブ記 39:04その子らは強くなり、野で育ち出ていくと、もう帰ってこない。
ヨブ記 39:05誰が野生のろばに自由を与え野ろばを解き放ってやったのか。
ヨブ記 39:06その住みかとして荒れ地を与えねぐらとして不毛の地を与えたのはわたしだ。
ヨブ記 39:07彼らは町の雑踏を笑い追い使う者の呼び声に従うことなく
ヨブ記 39:08餌を求めて山々を駆け巡り緑の草はないかと探す。
ヨブ記 39:09野牛が喜んでお前の僕となりお前の小屋で夜を過ごすことがあろうか。
ヨブ記 39:10お前は野牛に綱をつけて畝を行かせお前に従わせて谷間の畑を掘り起こさせることができるか。
ヨブ記 39:11力が強いといって、頼りにし仕事を任せることができるか。
ヨブ記 39:12野牛が穀物をもたらし実りを集めてくれると期待するのか。
ヨブ記 39:13駝鳥は勢いよく羽ばたくがこうのとりのような羽毛を持っているだろうか。
ヨブ記 39:14駝鳥は卵を地面に置き去りにし砂の上で暖まるにまかせ
ヨブ記 39:15獣の足がこれを踏みつけ野の獣が踏みにじることも忘れている。
ヨブ記 39:16その雛を自分のものではないかのようにあしらい自分の産んだものが無に帰しても平然としている。
ヨブ記 39:17神が知恵を貸し与えず分別を分け与えなかったからだ。
ヨブ記 39:18だが、誇って駆けるときには馬と乗り手を笑うほどだ。
ヨブ記 39:19お前は馬に力を与えその首をたてがみで装うことができるか。
ヨブ記 39:20馬をいなごのように跳ねさせることができるか。そのいななきには恐るべき威力があり
ヨブ記 39:21谷間で砂をけって喜び勇み武器に怖じることなく進む。
ヨブ記 39:22恐れを笑い、ひるむことなく剣に背を向けて逃げることもない。
ヨブ記 39:23その上に箙が音をたて槍と投げ槍がきらめくとき
ヨブ記 39:24身を震わせ、興奮して地をかき角笛の音に、じっとしてはいられない。
ヨブ記 39:25角笛の合図があればいななき戦いも、隊長の怒号も、鬨の声も遠くにいながら、かぎつけている。
ヨブ記 39:26鷹が翼を広げて南へ飛ぶのはお前が分別を与えたからなのか。
ヨブ記 39:27鷲が舞い上がり、高い所に巣を作るのはお前が命令したからなのか。
ヨブ記 39:28鷲は岩場に住み牙のような岩や砦の上で夜を過ごす。
ヨブ記 39:29その上から餌を探してはるかかなたまで目を光らせている。
ヨブ記 39:30その雛は血を飲むことを求め死骸の傍らには必ずいる。
40章
ヨブ記 40:01ヨブに答えて、主は仰せになった。
ヨブ記 40:02全能者と言い争う者よ、引き下がるのか。神を責めたてる者よ、答えるがよい。
ヨブ記 40:03ヨブは主に答えて言った。
ヨブ記 40:04わたしは軽々しくものを申しました。どうしてあなたに反論などできましょう。わたしはこの口に手を置きます。
ヨブ記 40:05ひと言語りましたが、もう主張いたしません。ふた言申しましたが、もう繰り返しません。
ヨブ記 40:06主は嵐の中からヨブに答えて仰せになった。
ヨブ記 40:07男らしく、腰に帯をせよ。お前に尋ねる。わたしに答えてみよ。
ヨブ記 40:08お前はわたしが定めたことを否定し自分を無罪とするためにわたしを有罪とさえするのか。
ヨブ記 40:09お前は神に劣らぬ腕をもち神のような声をもって雷鳴をとどろかせるのか。
ヨブ記 40:10威厳と誇りで身を飾り栄えと輝きで身を装うがよい。
ヨブ記 40:11怒って猛威を振るいすべて驕り高ぶる者を見れば、これを低くし
ヨブ記 40:12すべて驕り高ぶる者を見れば、これを挫き神に逆らう者を打ち倒し
ヨブ記 40:13ひとり残らず塵に葬り去り顔を包んで墓穴に置くがよい。
ヨブ記 40:14そのとき初めて、わたしはお前をたたえよう。お前が自分の右の手で勝利を得たことになるのだから。
ヨブ記 40:15見よ、ベヘモットを。お前を造ったわたしはこの獣をも造った。これは牛のように草を食べる。
ヨブ記 40:16見よ、腰の力と腹筋の勢いを。
ヨブ記 40:17尾は杉の枝のようにたわみ腿の筋は固く絡み合っている。
ヨブ記 40:18骨は青銅の管骨組みは鋼鉄の棒を組み合わせたようだ。
ヨブ記 40:19これこそ神の傑作造り主をおいて剣をそれに突きつける者はない。
ヨブ記 40:20山々は彼に食べ物を与える。野のすべての獣は彼に戯れる。
ヨブ記 40:21彼がそてつの木の下や浅瀬の葦の茂みに伏せると
ヨブ記 40:22そてつの影は彼を覆い川辺の柳は彼を包む。
ヨブ記 40:23川が押し流そうとしても、彼は動じない。ヨルダンが口に流れ込んでも、ひるまない。
ヨブ記 40:24まともに捕えたり罠にかけてその鼻を貫きうるものがあろうか。
ヨブ記 40:25お前はレビヤタンを鉤にかけて引き上げその舌を縄で捕えて屈服させることができるか。
ヨブ記 40:26お前はその鼻に綱をつけ顎を貫いてくつわをかけることができるか。
ヨブ記 40:27彼がお前に繰り返し憐れみを乞い丁重に話したりするだろうか。
ヨブ記 40:28彼がお前と契約を結び永久にお前の僕となったりするだろうか。
ヨブ記 40:29お前は彼を小鳥のようにもてあそび娘たちのためにつないでおくことができるか。
ヨブ記 40:30お前の仲間は彼を取り引きにかけ商人たちに切り売りすることができるか。
ヨブ記 40:31お前はもりで彼の皮をやすで頭を傷だらけにすることができるか。
ヨブ記 40:32彼の上に手を置いてみよ。戦うなどとは二度と言わぬがよい。
41章
ヨブ記 41:01勝ち目があると思っても、落胆するだけだ。見ただけでも打ちのめされるほどなのだから。
ヨブ記 41:02彼を挑発するほど勇猛な者はいまい。いるなら、わたしの前に立て。
ヨブ記 41:03あえてわたしの前に立つ者があればその者には褒美を与えよう。天の下にあるすべてのものはわたしのものだ。
ヨブ記 41:04彼のからだの各部についてわたしは黙ってはいられない。力のこもった背と見事な体格について。
ヨブ記 41:05誰が彼の身ごしらえを正面から解き上下の顎の間に押し入ることができようか。
ヨブ記 41:06誰がその顔の扉を開くことができようか。歯の周りには殺気がある。
ヨブ記 41:07背中は盾の列封印され、固く閉ざされている。
ヨブ記 41:08その盾は次々と連なって風の吹き込む透き間もない。
ヨブ記 41:09一つの盾はその仲間に結びつきつながりあって、決して離れない。
ヨブ記 41:10彼がくしゃみをすれば、両眼は曙のまばたきのように、光を放ち始める。
ヨブ記 41:11口からは火炎が噴き出し火の粉が飛び散る。
ヨブ記 41:12煮えたぎる鍋の勢いで鼻からは煙が吹き出る。
ヨブ記 41:13喉は燃える炭火口からは炎が吹き出る。
ヨブ記 41:14首には猛威が宿り顔には威嚇がみなぎっている。
ヨブ記 41:15筋肉は幾重にも重なり合いしっかり彼を包んでびくともしない。
ヨブ記 41:16心臓は石のように硬く石臼のように硬い。
ヨブ記 41:17彼が立ち上がれば神々もおののき取り乱して、逃げ惑う。
ヨブ記 41:18剣も槍も、矢も投げ槍も彼を突き刺すことはできない。
ヨブ記 41:19鉄の武器も麦藁となり青銅も腐った木となる。
ヨブ記 41:20弓を射ても彼を追うことはできず石投げ紐の石ももみ殻に変わる。
ヨブ記 41:21彼はこん棒を藁と見なし投げ槍のうなりを笑う。
ヨブ記 41:22彼の腹は鋭い陶器の破片を並べたよう。打穀機のように土の塊を砕き散らす。
ヨブ記 41:23彼は深い淵を煮えたぎる鍋のように沸き上がらせ海をるつぼにする。
ヨブ記 41:24彼の進んだ跡には光が輝き深淵は白髪をなびかせる。
ヨブ記 41:25この地上に、彼を支配する者はいない。彼はおののきを知らぬものとして造られている。
ヨブ記 41:26驕り高ぶるものすべてを見下し誇り高い獣すべての上に君臨している。
42章
ヨブ記 42:01ヨブは主に答えて言った。
ヨブ記 42:02あなたは全能であり御旨の成就を妨げることはできないと悟りました。
ヨブ記 42:03「これは何者か。知識もないのに神の経綸を隠そうとするとは。」そのとおりです。わたしには理解できず、わたしの知識を超えた驚くべき御業をあげつらっておりました。
ヨブ記 42:04「聞け、わたしが話す。お前に尋ねる、わたしに答えてみよ。」
ヨブ記 42:05あなたのことを、耳にしてはおりました。しかし今、この目であなたを仰ぎ見ます。
ヨブ記 42:06それゆえ、わたしは塵と灰の上に伏し自分を退け、悔い改めます。
ヨブ記 42:07主はこのようにヨブに語ってから、テマン人エリファズに仰せになった。「わたしはお前とお前の二人の友人に対して怒っている。お前たちは、わたしについてわたしの僕ヨブのように正しく語らなかったからだ。
ヨブ記 42:08しかし今、雄牛と雄羊を七頭ずつわたしの僕ヨブのところに引いて行き、自分のためにいけにえをささげれば、わたしの僕ヨブはお前たちのために祈ってくれるであろう。わたしはそれを受け入れる。お前たちはわたしの僕ヨブのようにわたしについて正しく語らなかったのだが、お前たちに罰を与えないことにしよう。」
ヨブ記 42:09テマン人エリファズ、シュア人ビルダド、ナアマ人ツォファルは行って、主が言われたことを実行した。そして、主はヨブの祈りを受け入れられた。
ヨブ記 42:10ヨブが友人たちのために祈ったとき、主はヨブを元の境遇に戻し、更に財産を二倍にされた。
ヨブ記 42:11兄弟姉妹、かつての知人たちがこぞって彼のもとを訪れ、食事を共にし、主が下されたすべての災いについていたわり慰め、それぞれ銀一ケシタと金の環一つを贈った。
ヨブ記 42:12主はその後のヨブを以前にも増して祝福された。ヨブは、羊一万四千匹、らくだ六千頭、牛一千くびき、雌ろば一千頭を持つことになった。
ヨブ記 42:13彼はまた七人の息子と三人の娘をもうけ、
ヨブ記 42:14長女をエミマ、次女をケツィア、三女をケレン・プクと名付けた。
ヨブ記 42:15ヨブの娘たちのように美しい娘は国中どこにもいなかった。彼女らもその兄弟と共に父の財産の分け前を受けた。
ヨブ記 42:16ヨブはその後百四十年生き、子、孫、四代の先まで見ることができた。
ヨブ記 42:17ヨブは長寿を保ち、老いて死んだ。